贄原くんと3匹の鬼

第10.5話「ブラック・クリスマス side暗梨」

目白先生の妖怪講座 第１０．５回

　私だ、目白だ。
　今回は暗梨君がゴスロリ専門店で遭遇した異形化したマネキンと試着室の鏡について話そうと思う。
　同じ異形である暗梨君すらも襲った、彼らの生態とは？

『マネキン、あるいは叫ぶ形骸』
　ゴスロリ専門店「エリザベート＝バートリー」のマネキン達。
　従業員の呼び込みを真似、客や店員を追いかけ回していた。真っ黒な眼孔と口を開き、人間を捕らえては霊力を吸い取る。ずっと店にいたので、「店から出る」という選択肢が頭に浮かばなかったようだ。
　最終的には全員暗梨君に名曽野駅のホームへ飛ばされ、共食いの果てに消滅した。黒縄君が店に戻し損ねたので、「駅のホームにマネキンが！」とちょっとした騒ぎになっていたようだね。

『試着室、あるいはカガミノテ』
　ゴスロリ専門店「エリザベート＝バートリー」の試着室にある鏡。壁に貼りついているので、出歩くことはできない。
　鏡の中から手を伸ばし、試着室に入った人間を引き込む。完全に鏡に入った人間は出られず、ゆるかに消化される。
　最終的に、暗梨君が鏡の中から伸びた手を名曽野駅のホームへ飛ばした。本体の鏡から切り離されたことで動かなくなった。蒼劔君によって浄化された後はただの鏡の破片に戻ったので、マネキンほど騒がれはしなかったようだ。
　本体の方も蒼劔君によってただの鏡に戻った。ただ、マネキン達にカーテンを破かれてしまったので、修繕が必要みたいだね。

　如何だっただろうか。
　暗梨君が盗んだ商品は、ちゃんと立て替えておいた。これからの彼女の働きに期待したいね。
　術者協会の彼らは今回の件を全て把握しているようだが、暗梨君のこともバレてしまったのだろうか？　それは……困るなぁ。
　ではまた次回。