贄原くんと3匹の鬼

緋色刹那

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第9話「彼岸華村、鬼伝説」

目白先生の妖怪講座 第9回

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 私だ、目白だ。
 今回は説明する者達が多過ぎて、困っている。
 正直、土竜芋はいらないんじゃないかと思っているくらいだ。まぁ、やるけども。

土竜芋もぐらいも
 別名、彼岸芋。
 見た目は赤く、サツマイモのようななりをしているが、実は妖怪。掘り起こされなかった芋と地中で死んだモグラの未練が集まり、生まれた怨霊だ。
 妖力の保有量が高く、栄養価が高い。しかしひとたび食べると土竜芋に自我を乗っ取られてしまう。自我を乗っ取られた状態の者は土竜芋と同じ存在になるため、襲われない。
 彼岸華村の住人達が平気だったのは、後述する須玉の加護があったお陰だろうね。

水神河藻みなかみかわも
 別名、華鬼橋明梨。彼岸華村の住人。
 かつては川の神だったが、水質汚染などの理由から人間を憎み、鬼となった。ところどころに川の生き物の片鱗が見えるのは、そのせいだろうね。

絹川夕子きぬがわゆうこ
 別名、鬼怒川夕子。彼岸華村の住人。
 生前も教師で、放課後の学校に侵入した殺人鬼によって生徒共々殺害され、地縛霊を経て鬼となった。夕日に当たっている相手の動きを封じられる能力は、生前の彼女の「殺人鬼を止めたい」という思いから生まれたのかもしれないね。

森田桃花もりたとうか
 別名、鬼門モモ。彼岸華村の住人。
 真紅君の妹だが、実際は血が繋がっていない。
 生前、両親から虐待を受けており、殺害された直後に鬼と化し、殺し返した。以来、人間を誰彼構わず襲うようになった。実年齢よりも長く生きているため、大人びている。
 鬼だった記憶を抹消した彼女は、笑顔で過ごしているだろうか?

守王真紅饗呀すおうしんくきょうが
 別名、鬼門真紅。彼岸華村の住人。
 血を操る能力を持つ鬼で、妖力も血から吸い取る。元の姿に戻ると尊大な言動になってしまうクセがある。
 かつて祖父と妹を鬼に殺された怨みから鬼と化し、以来「鬼を殺す鬼」として名を馳せた。実は饗呀の名をつけたのは某黒縄君なのだが、そのことを知る者は誰もいない。本人も覚えていない。

白銀月下舞姫はくぎんげっか まいひめ
 別名、鬼月月音。彼岸華村の住人。 
 大鎌を操る鬼。生前は看護師で、病に苦しむ人間を救うために死を与え続けていた結果、鬼となっていた。間違いに気づいた頃には無意識に人を殺すようになっており、ずっと苦しんでいた。
 彼岸華村へ来る前の饗呀君とは「親友以上、恋人未満」の関係で、互いに好意に気づいていなかったらしい。村に来てからの方が素直だったと暗梨君が言っていたよ。

彼岸暗橋流華ひがんくらはしるか
 別名、華鬼橋暗梨。彼岸華村の住人。
 妖力で作った彼岸花を咲かせ、その真上にいる人物を転移させる能力を持つ鬼。紺太郎君に協力し、人間達を村へ転移させていた。紺太郎君以上に頭が切れる、強者。
 生前は「貧乏」という理由だけで生贄に選ばれた。川に流されていたところを、紺太郎君に救われ、彼の妖力に触れたことで鬼に変えられた。
 なんとか連れ帰ったものの、言うことを聞いてくれるかどうかは分からない。このまま鳥籠の中に閉じ込めておくのは心苦しいなぁ(棒)。

蝕喰群青饗呀むしばみぐんじょうきょうが
 別名、鬼塚紺太郎。彼岸華村の住人。
 饗呀に憧れ、饗呀を名乗っていた鬼。暗梨君をたぶらかし、鬼に変えた悪鬼で、今回の事件の全ての元凶。
 妖力自体は低く、さほど強くはない。暗梨君がいて初めて実現する計画だったようだ。
 本物の饗呀である真紅君に憧れ、親しくなりたいと思っていたようだけど、最期まですれ違い続けてしまった。彼が本当の幸せに気づけていたなら、このような事件は起こらなかったかもしれない。

山神ノ翁魑魅やまがみのおきなすだま
 別名、鬼門須玉。彼岸華村の村長。
 山を統べる鬼で、村や住人達の管理を行なっていた。彼岸華村一帯の山は彼の領域であり、許可された者でなければ、何人も立ち入ることは許されない。
 実は、最初に真紅君が話していた彼岸華村鬼伝説のモデル。かつて森の神だった須玉は異形に襲われ、森に住んでいた村人達に助けを求めた。しかし異形からの報復を恐れた村人達は須玉を見捨ててしまう。
 これに怒った須玉は鬼と化し、異形もろとも村人達を殺害。村を滅ぼしてしまう。
 以降は、人間を憎んでいたものの、次第に「互いに干渉しないことこそが平和への道」と考え、行き場のない鬼を村へ受け入れるようになった。
 彼亡き今、山はどうなってしまうのだろうね?

 如何だっただろうか。
 段ボーイは五代君が丁寧な説明を付けてくれたからいいんじゃないかな。
 いいよね? ね?(無言の圧力)
 次回は五代君のうっかりのせいで、白石君が動くようだ。次は静かに過ごしたいものだね。
 ではまた次回。
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