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第9話「彼岸華村、鬼伝説」
参拾:放置されていた鬼
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〈午前二時十分 廃村〉陽斗
蒼劔が月音とモモと戦っていた頃、陽斗は紺太郎の肩に担がれ、共に廃村の前へ転移してきた。彼のそばには、先程まではいなかった暗梨も控えていた。
幸い、百物語をしていたオカ研の面々は八十個目あたりで寝落ちしており、紺太郎に捕まっている陽斗を目撃することも、百物語を完遂することもなかった。そもそも、蝋燭の火をLEDライトで代用した時点で、百物語として成り立っているかは微妙だったが。
「ひー、ふー、みー、よー……霊力の質は低いが、前菜にはちょうどいいだろ」
「えっ、成田君達を食べる気?!」
「当然。そのために、わざわざ寄ったんだからよ」
紺太郎は大剣を抜くと、刃に黒い風を纏わせた。風は龍のようにうねり、竜巻の形に変じて刃に纏わりつく。
準備を終えると、紺太郎は大剣を結界に向かって大きく振りかぶった。
「まずは結界からだな……上手く破壊出来るといいが」
「や、やめろーッ!」
陽斗はもがき、声を上げる。
小さな竜巻をまとった大剣は見るからに強そうで、結界を破壊するどころか、結界ごと成田達を殺しかねなかった。紺太郎もそのつもりだったのか、「あまり動くなよ」と殺意のこもった眼差しで陽斗を睨みつけた。
「お前のせいで的がズレて、そこの崖が崩れたら、アイツらもお前も生き埋めになって死ぬんだからな。そうなったら全部、お前の責任だ。お前のせいで、仲間達は殺されるんだ」
「ぼ、僕の……?」
陽斗は紺太郎に言われた通りの光景を想像し、青ざめる。体は無意識のうちに硬直していた。
「良し、良し。そのまま頼むぜ」
紺太郎は陽斗が動かなくなった隙に、大剣を振り下ろそうとした。
しかし大剣は後ろから何かに引っ張られ、いくら力を込めても微動だにしなかった。振り返ると、大剣に紺太郎の手ごと黒い鎖が大量に巻きつけられ、縛られていた。
鎖の先は崖の地中に繋がっており、いくら引っ張っても抜けなかった。
「おい、暗梨! どうなってんだこれぇ!」
「地中に埋まってた、バカデケェ岩に巻きつかせておいたンだよ。俺じゃなきゃ、抜けねェけどな」
聞き慣れた声に、青ざめていた陽斗はハッと正気を取り戻した。
「この声は……黒縄君!」
振り返ると、崖の上に腰掛け、こちらをニヤニヤしながら見下ろしている黒縄がいた。
「よォ、クソガキ。生きてたか」
「生きてるよぉ! 黒縄君も無事で良かった! でも、何で結界の外にいるの?」
「知らねェ。目ェ覚めたら、追い出されてた。五代が無線で"罠張っといてプリーズ"とかなんとかって頼んできたし、俺を結界の護衛にでもするつもりだったんじゃねェの?」
黒縄の言葉に、五代は自室で「違う、違う!」と盛大に首を振り、否定していたが、彼の言葉が陽斗達に届くことはなかった。
「くそッ! おい、暗梨ぃ! 何処へ行ったァ!」
紺太郎は必死に手を引っ張りながら、暗梨を探して周囲を見回す。
しかしいくら呼びかけても暗梨は答えない。それどころか、気配すら感じられなかった。
「お前、五月蝿ェよ。ちったァ黙ってろ」
終いには黒縄が鎖を操り、長さを縮めたことで、紺太郎は崖へ引っ張られ、後頭部を崖で思い切りぶつけた。
「ッてぇ!」
その衝撃で一瞬、陽斗を担いでいた手の力が緩む。
黒縄はその隙をつき、陽斗の体に鎖を巻きつけ、崖の上まで引っ張り上げた。
「あッ!」
「ひひッ! すり抜けらンねェよう、崖の中に鉄板を仕込ンどいたからな。蒼劔が戻って来るまで、そこで大人しくしてな」
「わーい! 黒縄君、ありがとー!」
「一つ、"貸し"な。俺の言うこと、何でも聞けよ」
「えー。タダじゃないのー?」
「俺がタダでテメェを助ける訳ねェだろ、バーカ」
「ケチー」
崖の上で親しげ(?)にやり取りする二人に、紺太郎はチッと舌打ちした。
「まさか、アイツらの他にも仲間がいたとはな。贄原、お前何者だ?」
「何者って言われても……ごく普通の高校生だよ?」
「ごく普通の高校生はそんな妙な霊力してねぇし、鬼と術者と五代童子の知り合いなんかいねぇ」
「そっかぁ」
陽斗は分かっているような分かっていないような、ぽえーっとした顔で紺太郎を見下ろした。
「……これ以上、あいつからは何も聞き出せそうもないな」
紺太郎は早々に陽斗を切り捨て、今度は黒縄に尋ねた。
「で、お前は何者だ? 気配は鬼のようだが、かなり妖力が弱いな。"術の黒縄"の名にあやかった、低級の鬼か?」
「うっせェ! 俺がその"術の黒縄"だよ! テメェをとっ捕まえるために鎖と鉄板を作ったせいで、消耗しただけだ!」
「ハハッ! その程度で消耗するなんざ、弱過ぎるだろ! 黒縄なわけねぇじゃん! よく今まで生きてこられたなァ!」
紺太郎は完全に舐め腐った態度で黒縄を嘲笑し、挑発した。この調子で黒縄を怒らせ、無闇に妖力を消耗させれば、自ずと逃げる隙が出来るのではと紺太郎は考えていた。
故に、踏み抜いてしまった……黒縄の最大の地雷を。
「なんなら、俺がお前の妖力を喰ってやろうか?! 俺なら、もっと有意義に妖力を使えるぜ! 人間共を滅ぼして、鬼が支配する世界に作り変えるとかなァ!」
「……へぇ」
その瞬間、空気がピンと張りつめた。心なしか、温度が二、三度低くなった気がする。
黒縄は今までギャンギャン噛みついていた反応とは裏腹に、薄く微笑し、生ゴミでも見るような冷めた目で紺太郎を見下ろしていた。
「誰が、誰の妖力を喰うって? ちょっとお兄さん、よく聞こえなかったなァ……もういっぺん、言ってもらえる?」
「だから……もがッ!」
紺太郎が答えようとした直後、地中から生き物のようにトラバサミが飛び出し、彼の口ごと顔の下半分に噛みついた。トラバサミの刃は紺太郎の頬に食いつき、離れない。
紺太郎が顔半分に噛みついたトラバサミと格闘している間に地中からは次から次へとトラバサミが飛び出し、紺太郎の体のいたるところへ噛みついた。
「ぎゃぁぁぁ! 暗梨ぃ! 早く助けろぉ!」
あまりに凄惨な光景に、陽斗は紺太郎にトラバサミが噛みつく前に目を背け、耳を塞いだ。
「ひぇぇ……紺太郎君、大丈夫かなぁ?」
「大丈夫なわけねェだろ。俺様を本気で怒らせたンだからよ。どうやら敵はアイツだけみてェだし、仕掛けてた罠、全部アイツで処理しとくわ」
黒縄は横倒しになった三日月のように口角を吊り上げ、嗤っていた。
土竜芋で回復した黒縄の力は、本物だった。
「ほぉら飛べー、爆ぜろー、粉々になれー」
「ぎゃぁぁッ! うがぁぁッ! ぐぉぉッ!」
「お、鬼だ……鬼がいる……!」
蒼劔が月音とモモと戦っていた頃、陽斗は紺太郎の肩に担がれ、共に廃村の前へ転移してきた。彼のそばには、先程まではいなかった暗梨も控えていた。
幸い、百物語をしていたオカ研の面々は八十個目あたりで寝落ちしており、紺太郎に捕まっている陽斗を目撃することも、百物語を完遂することもなかった。そもそも、蝋燭の火をLEDライトで代用した時点で、百物語として成り立っているかは微妙だったが。
「ひー、ふー、みー、よー……霊力の質は低いが、前菜にはちょうどいいだろ」
「えっ、成田君達を食べる気?!」
「当然。そのために、わざわざ寄ったんだからよ」
紺太郎は大剣を抜くと、刃に黒い風を纏わせた。風は龍のようにうねり、竜巻の形に変じて刃に纏わりつく。
準備を終えると、紺太郎は大剣を結界に向かって大きく振りかぶった。
「まずは結界からだな……上手く破壊出来るといいが」
「や、やめろーッ!」
陽斗はもがき、声を上げる。
小さな竜巻をまとった大剣は見るからに強そうで、結界を破壊するどころか、結界ごと成田達を殺しかねなかった。紺太郎もそのつもりだったのか、「あまり動くなよ」と殺意のこもった眼差しで陽斗を睨みつけた。
「お前のせいで的がズレて、そこの崖が崩れたら、アイツらもお前も生き埋めになって死ぬんだからな。そうなったら全部、お前の責任だ。お前のせいで、仲間達は殺されるんだ」
「ぼ、僕の……?」
陽斗は紺太郎に言われた通りの光景を想像し、青ざめる。体は無意識のうちに硬直していた。
「良し、良し。そのまま頼むぜ」
紺太郎は陽斗が動かなくなった隙に、大剣を振り下ろそうとした。
しかし大剣は後ろから何かに引っ張られ、いくら力を込めても微動だにしなかった。振り返ると、大剣に紺太郎の手ごと黒い鎖が大量に巻きつけられ、縛られていた。
鎖の先は崖の地中に繋がっており、いくら引っ張っても抜けなかった。
「おい、暗梨! どうなってんだこれぇ!」
「地中に埋まってた、バカデケェ岩に巻きつかせておいたンだよ。俺じゃなきゃ、抜けねェけどな」
聞き慣れた声に、青ざめていた陽斗はハッと正気を取り戻した。
「この声は……黒縄君!」
振り返ると、崖の上に腰掛け、こちらをニヤニヤしながら見下ろしている黒縄がいた。
「よォ、クソガキ。生きてたか」
「生きてるよぉ! 黒縄君も無事で良かった! でも、何で結界の外にいるの?」
「知らねェ。目ェ覚めたら、追い出されてた。五代が無線で"罠張っといてプリーズ"とかなんとかって頼んできたし、俺を結界の護衛にでもするつもりだったんじゃねェの?」
黒縄の言葉に、五代は自室で「違う、違う!」と盛大に首を振り、否定していたが、彼の言葉が陽斗達に届くことはなかった。
「くそッ! おい、暗梨ぃ! 何処へ行ったァ!」
紺太郎は必死に手を引っ張りながら、暗梨を探して周囲を見回す。
しかしいくら呼びかけても暗梨は答えない。それどころか、気配すら感じられなかった。
「お前、五月蝿ェよ。ちったァ黙ってろ」
終いには黒縄が鎖を操り、長さを縮めたことで、紺太郎は崖へ引っ張られ、後頭部を崖で思い切りぶつけた。
「ッてぇ!」
その衝撃で一瞬、陽斗を担いでいた手の力が緩む。
黒縄はその隙をつき、陽斗の体に鎖を巻きつけ、崖の上まで引っ張り上げた。
「あッ!」
「ひひッ! すり抜けらンねェよう、崖の中に鉄板を仕込ンどいたからな。蒼劔が戻って来るまで、そこで大人しくしてな」
「わーい! 黒縄君、ありがとー!」
「一つ、"貸し"な。俺の言うこと、何でも聞けよ」
「えー。タダじゃないのー?」
「俺がタダでテメェを助ける訳ねェだろ、バーカ」
「ケチー」
崖の上で親しげ(?)にやり取りする二人に、紺太郎はチッと舌打ちした。
「まさか、アイツらの他にも仲間がいたとはな。贄原、お前何者だ?」
「何者って言われても……ごく普通の高校生だよ?」
「ごく普通の高校生はそんな妙な霊力してねぇし、鬼と術者と五代童子の知り合いなんかいねぇ」
「そっかぁ」
陽斗は分かっているような分かっていないような、ぽえーっとした顔で紺太郎を見下ろした。
「……これ以上、あいつからは何も聞き出せそうもないな」
紺太郎は早々に陽斗を切り捨て、今度は黒縄に尋ねた。
「で、お前は何者だ? 気配は鬼のようだが、かなり妖力が弱いな。"術の黒縄"の名にあやかった、低級の鬼か?」
「うっせェ! 俺がその"術の黒縄"だよ! テメェをとっ捕まえるために鎖と鉄板を作ったせいで、消耗しただけだ!」
「ハハッ! その程度で消耗するなんざ、弱過ぎるだろ! 黒縄なわけねぇじゃん! よく今まで生きてこられたなァ!」
紺太郎は完全に舐め腐った態度で黒縄を嘲笑し、挑発した。この調子で黒縄を怒らせ、無闇に妖力を消耗させれば、自ずと逃げる隙が出来るのではと紺太郎は考えていた。
故に、踏み抜いてしまった……黒縄の最大の地雷を。
「なんなら、俺がお前の妖力を喰ってやろうか?! 俺なら、もっと有意義に妖力を使えるぜ! 人間共を滅ぼして、鬼が支配する世界に作り変えるとかなァ!」
「……へぇ」
その瞬間、空気がピンと張りつめた。心なしか、温度が二、三度低くなった気がする。
黒縄は今までギャンギャン噛みついていた反応とは裏腹に、薄く微笑し、生ゴミでも見るような冷めた目で紺太郎を見下ろしていた。
「誰が、誰の妖力を喰うって? ちょっとお兄さん、よく聞こえなかったなァ……もういっぺん、言ってもらえる?」
「だから……もがッ!」
紺太郎が答えようとした直後、地中から生き物のようにトラバサミが飛び出し、彼の口ごと顔の下半分に噛みついた。トラバサミの刃は紺太郎の頬に食いつき、離れない。
紺太郎が顔半分に噛みついたトラバサミと格闘している間に地中からは次から次へとトラバサミが飛び出し、紺太郎の体のいたるところへ噛みついた。
「ぎゃぁぁぁ! 暗梨ぃ! 早く助けろぉ!」
あまりに凄惨な光景に、陽斗は紺太郎にトラバサミが噛みつく前に目を背け、耳を塞いだ。
「ひぇぇ……紺太郎君、大丈夫かなぁ?」
「大丈夫なわけねェだろ。俺様を本気で怒らせたンだからよ。どうやら敵はアイツだけみてェだし、仕掛けてた罠、全部アイツで処理しとくわ」
黒縄は横倒しになった三日月のように口角を吊り上げ、嗤っていた。
土竜芋で回復した黒縄の力は、本物だった。
「ほぉら飛べー、爆ぜろー、粉々になれー」
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