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第9話「彼岸華村、鬼伝説」
拾漆:吸血の鬼
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〈??時 鬼門宅前〉陽斗
「ブハッ! えっ?! 何で僕、こんなところに?!」
陽斗は息苦しさと土の臭いで目が覚め、土の中から脱した。潜っていたのは、鬼門宅のすぐ横だった。
陽斗は月明かりを頼りに、ポンプ式の水道まで歩き、顔と頭を洗った。無意識のうちに土を掘っていたらしく、爪の中には土がギッチリと詰まっていた。
「僕、どうしちゃったんだろう? 夢遊病かなぁ?」
貸してもらった寝巻きの袖で、水滴を拭う。
その時、鬼門の家から誰かが出て来た。突然聞こえたドアを開く音に、陽斗は思わず体を強張らせる。
やがて陽斗の視界に現れたのは、真紅だった。素足に寝巻きのまま、フラフラとした足取りで月音の家に向かって歩いていく。
「なーんだ、真紅君かぁ」
相手が真紅だと分かり、陽斗はホッと安心する。
しかし、彼の額に見慣れないツノが生えているのを見て、全身から血の気が引いていった。
「……嘘」
それは紛れもなくツノだった。月の光を受け、血のように赤黒く輝いている。
よく見ると彼の瞳も赤く変色しており、口には牙が生えていた。
「あ……あわわわ……」
(し、真紅君まで鬼病に罹っちゃった……!)
陽斗は口を手で塞ぎ、なるべく気配を殺してやり過ごす。
幸い、真紅は陽斗に気づくことなく、月音の家のドアを開き、中へ入っていった。
ドアの鍵は閉まったままだったが、真紅がドアノブを握ると同時に、彼の手から赤い液体が滲み、それが鍵穴から中へ入って内側から鍵を開いていた。さながらスライムのような生き物に見えた。
「鍵、開いてるじゃん! 月音さん、もっと警戒して!」
真紅が開けたとは知らない陽斗は青ざめ、慌てて月音の家へ走る。玄関のドアをそっと開き、中へ忍び込んだ。
・
〈??時 鬼月宅〉陽斗
家の中は真っ暗だった。真紅の気配もない。
ただ、二階からかすかに物音が聞こえていた。正確な時間は分からないが、こんな暗い中で月音がまだ起きているとは思えなかった。
「……ゴクリ」
陽斗は壁に立てかけられていたホウキを手に、恐る恐る階段を上る。階段がミシミシと音を立てるたびに、陽斗は悲鳴を上げそうになった。
(うぅ……お願いだから静かにしててよぉ)
陽斗は階段を恨みながらも、なんとか無事に二階へたどり着いた。
二階にはいくつか部屋があったが、一つだけドアが半開きになっている部屋があった。物音はそこから聞こえていた。
(何事もありませんように。何事もありませんように。何事もありませんように……)
陽斗は心の中で必死に祈り、意を決してドアの隙間から部屋の中を覗き込んだ。
そこには寝ている月音に覆い被さり、彼女の首筋に噛みついている真紅がいた。先程見た強靭な牙が月音の首筋に食い込み、傷口からは真っ赤な血が垂れている。
真紅はその血を音を立てて啜り、満足そうに舌舐めずりをした。
(だ……ダメだったぁーッ!)
・
〈午前五時二十分 廃村〉蒼劔
「饗呀が、ここで?!」
蒼劔は不知火の言葉に驚き、声を上げた。
「百年ほど前から噂を聞かなくなっていたが、まさか死んでいたのか……」
「それがそうでもないんだよ」
不知火は眉をひそめ、言った。
「確かに、ここはかつて"禁足地"と呼ばれていたほど、高濃度の妖力が充満している。饗呀のような獰猛な鬼すらも殺すほどの、強力な異形がウジャウジャいるのが普通だ。だから饗呀がこの地で絶命したと聞いた時は、なんら違和感を持たなかった。だが、実際は違った」
不知火は周囲を見回し、異形の姿を探す。
やはり土竜芋以外の異形の姿を捉えることは出来なかった。
「この通り、異形は地中の土竜芋を除けば、一匹もいない。土竜芋も高い妖力を保有してはいるが、大した強さではない。こんな安全かつ高濃度の妖力が立ち込めている場所は、なかなかお目にかかれない。土に潜ってしまう副作用さえなんとかなれば、土竜芋も食べ放題だ。その上、立ち入りが許可されている現在では、人間の方からこの山へやって来る。案外、彼岸華村の噂を流したのは彼かもしれないね。ここまで至れり尽くせりなんて……鬼にとっては、絶好の住処じゃないかい?」
・
〈??時 鬼月宅〉陽斗
凄惨な現場に、陽斗は絶句する。
月音の生死は分からないが、ひどく青ざめた顔をしていた。
目を覚ます様子もなく、ぐったりと布団に身を預けている。月明かりに照らされているせいで、余計に青白く見えた。
(た、助けなきゃ! でも、どうすれば……)
拝借してきたホウキに視線を落とし、考える。しかしどんなに頭を悩ませても、いいアイデアは出なかった。
そうこうしている間にも、月音は真紅に血を吸われ、青ざめていく。もはや猶予はなかった。
(紺太郎君に殺されそうになった時、月音さんは僕を助けてくれた! 今度は僕が助ける番だ!)
「てやーっ!」
陽斗はドアの陰から飛び出し、真紅に向かってホウキを振り下ろした。致命傷とはいかないまでも、月音を連れ出す隙が出来れば御の字だと思った。
次の瞬間、
「五月蝿い」
と真紅が煩わしそうにホウキに向かって手をかざした。
するとホウキは真紅に一撃も攻撃を与えることなく、瞬時に溶け、赤い液体と化した。液体は床へこぼれ、陽斗の手を赤く汚した。
陽斗はまさかホウキが溶けたとは思わず、「へっ?」と目を丸くした。勢い余って手からすっこ抜けたと思い、周囲を見回したが、ホウキは見つからなかった。
「ど……どうしよう?」
唯一の武器を失くし、苦笑いを浮かべる。
恐る恐る真紅に目を向けると、彼は月音から顔を上げ、赤く輝く瞳で陽斗をジッと見据えていた。その眼差しは、睨むと言うよりは、陽斗を観察しているようだった。
「……見逃してやったのに、わざわざ来るとはな」
真紅は陽斗の足元へ手をかざし、吐き捨てるように言った。
「去ね。貴様の血など、興味はない」
陽斗が立っていた床が赤い液体となり、溶ける。
陽斗はなすすべなく落下し、一階の廊下へ尻餅をついた。
「あ痛っ!」
尻をさすりながら、立ち上がる。
天井を見ると、元通りに塞がっていた。階段の前にも先程はなかった壁が出来ており、部屋に行けなくなっていた。
「……モモちゃんに何て言えばいいんだろう?」
陽斗は何も出来ない自分を悔やみながら、鬼門の家に戻っていった。
(月音ちゃんが済んだら、次はモモちゃんを狙うかもしれない。僕の血には興味がないって言ってたから、たぶん狙われないんだろうなぁ。だったら、今のうちに出入り口を固めておかないと)
自分には何が出来るか考え、模索する。
いくら考えても「蒼劔君がいれば、簡単に解決出来るのになぁ」と考えずにはいられなかった。
「ブハッ! えっ?! 何で僕、こんなところに?!」
陽斗は息苦しさと土の臭いで目が覚め、土の中から脱した。潜っていたのは、鬼門宅のすぐ横だった。
陽斗は月明かりを頼りに、ポンプ式の水道まで歩き、顔と頭を洗った。無意識のうちに土を掘っていたらしく、爪の中には土がギッチリと詰まっていた。
「僕、どうしちゃったんだろう? 夢遊病かなぁ?」
貸してもらった寝巻きの袖で、水滴を拭う。
その時、鬼門の家から誰かが出て来た。突然聞こえたドアを開く音に、陽斗は思わず体を強張らせる。
やがて陽斗の視界に現れたのは、真紅だった。素足に寝巻きのまま、フラフラとした足取りで月音の家に向かって歩いていく。
「なーんだ、真紅君かぁ」
相手が真紅だと分かり、陽斗はホッと安心する。
しかし、彼の額に見慣れないツノが生えているのを見て、全身から血の気が引いていった。
「……嘘」
それは紛れもなくツノだった。月の光を受け、血のように赤黒く輝いている。
よく見ると彼の瞳も赤く変色しており、口には牙が生えていた。
「あ……あわわわ……」
(し、真紅君まで鬼病に罹っちゃった……!)
陽斗は口を手で塞ぎ、なるべく気配を殺してやり過ごす。
幸い、真紅は陽斗に気づくことなく、月音の家のドアを開き、中へ入っていった。
ドアの鍵は閉まったままだったが、真紅がドアノブを握ると同時に、彼の手から赤い液体が滲み、それが鍵穴から中へ入って内側から鍵を開いていた。さながらスライムのような生き物に見えた。
「鍵、開いてるじゃん! 月音さん、もっと警戒して!」
真紅が開けたとは知らない陽斗は青ざめ、慌てて月音の家へ走る。玄関のドアをそっと開き、中へ忍び込んだ。
・
〈??時 鬼月宅〉陽斗
家の中は真っ暗だった。真紅の気配もない。
ただ、二階からかすかに物音が聞こえていた。正確な時間は分からないが、こんな暗い中で月音がまだ起きているとは思えなかった。
「……ゴクリ」
陽斗は壁に立てかけられていたホウキを手に、恐る恐る階段を上る。階段がミシミシと音を立てるたびに、陽斗は悲鳴を上げそうになった。
(うぅ……お願いだから静かにしててよぉ)
陽斗は階段を恨みながらも、なんとか無事に二階へたどり着いた。
二階にはいくつか部屋があったが、一つだけドアが半開きになっている部屋があった。物音はそこから聞こえていた。
(何事もありませんように。何事もありませんように。何事もありませんように……)
陽斗は心の中で必死に祈り、意を決してドアの隙間から部屋の中を覗き込んだ。
そこには寝ている月音に覆い被さり、彼女の首筋に噛みついている真紅がいた。先程見た強靭な牙が月音の首筋に食い込み、傷口からは真っ赤な血が垂れている。
真紅はその血を音を立てて啜り、満足そうに舌舐めずりをした。
(だ……ダメだったぁーッ!)
・
〈午前五時二十分 廃村〉蒼劔
「饗呀が、ここで?!」
蒼劔は不知火の言葉に驚き、声を上げた。
「百年ほど前から噂を聞かなくなっていたが、まさか死んでいたのか……」
「それがそうでもないんだよ」
不知火は眉をひそめ、言った。
「確かに、ここはかつて"禁足地"と呼ばれていたほど、高濃度の妖力が充満している。饗呀のような獰猛な鬼すらも殺すほどの、強力な異形がウジャウジャいるのが普通だ。だから饗呀がこの地で絶命したと聞いた時は、なんら違和感を持たなかった。だが、実際は違った」
不知火は周囲を見回し、異形の姿を探す。
やはり土竜芋以外の異形の姿を捉えることは出来なかった。
「この通り、異形は地中の土竜芋を除けば、一匹もいない。土竜芋も高い妖力を保有してはいるが、大した強さではない。こんな安全かつ高濃度の妖力が立ち込めている場所は、なかなかお目にかかれない。土に潜ってしまう副作用さえなんとかなれば、土竜芋も食べ放題だ。その上、立ち入りが許可されている現在では、人間の方からこの山へやって来る。案外、彼岸華村の噂を流したのは彼かもしれないね。ここまで至れり尽くせりなんて……鬼にとっては、絶好の住処じゃないかい?」
・
〈??時 鬼月宅〉陽斗
凄惨な現場に、陽斗は絶句する。
月音の生死は分からないが、ひどく青ざめた顔をしていた。
目を覚ます様子もなく、ぐったりと布団に身を預けている。月明かりに照らされているせいで、余計に青白く見えた。
(た、助けなきゃ! でも、どうすれば……)
拝借してきたホウキに視線を落とし、考える。しかしどんなに頭を悩ませても、いいアイデアは出なかった。
そうこうしている間にも、月音は真紅に血を吸われ、青ざめていく。もはや猶予はなかった。
(紺太郎君に殺されそうになった時、月音さんは僕を助けてくれた! 今度は僕が助ける番だ!)
「てやーっ!」
陽斗はドアの陰から飛び出し、真紅に向かってホウキを振り下ろした。致命傷とはいかないまでも、月音を連れ出す隙が出来れば御の字だと思った。
次の瞬間、
「五月蝿い」
と真紅が煩わしそうにホウキに向かって手をかざした。
するとホウキは真紅に一撃も攻撃を与えることなく、瞬時に溶け、赤い液体と化した。液体は床へこぼれ、陽斗の手を赤く汚した。
陽斗はまさかホウキが溶けたとは思わず、「へっ?」と目を丸くした。勢い余って手からすっこ抜けたと思い、周囲を見回したが、ホウキは見つからなかった。
「ど……どうしよう?」
唯一の武器を失くし、苦笑いを浮かべる。
恐る恐る真紅に目を向けると、彼は月音から顔を上げ、赤く輝く瞳で陽斗をジッと見据えていた。その眼差しは、睨むと言うよりは、陽斗を観察しているようだった。
「……見逃してやったのに、わざわざ来るとはな」
真紅は陽斗の足元へ手をかざし、吐き捨てるように言った。
「去ね。貴様の血など、興味はない」
陽斗が立っていた床が赤い液体となり、溶ける。
陽斗はなすすべなく落下し、一階の廊下へ尻餅をついた。
「あ痛っ!」
尻をさすりながら、立ち上がる。
天井を見ると、元通りに塞がっていた。階段の前にも先程はなかった壁が出来ており、部屋に行けなくなっていた。
「……モモちゃんに何て言えばいいんだろう?」
陽斗は何も出来ない自分を悔やみながら、鬼門の家に戻っていった。
(月音ちゃんが済んだら、次はモモちゃんを狙うかもしれない。僕の血には興味がないって言ってたから、たぶん狙われないんだろうなぁ。だったら、今のうちに出入り口を固めておかないと)
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