177 / 327
第9話「彼岸華村、鬼伝説」
伍:村の住人達
しおりを挟む
〈午前九時十分頃 ???〉陽斗
トンネルを抜けると、どういうわけか、先程と同じ村に出た。遠目に木造校舎が見えるので、間違いない。
「あれ? 何で?」
陽斗は首を傾げた。確かに、真っ直ぐトンネルを抜けてきたはずだ。
試しに二、三度、トンネルに入ってみたが、やはり入口にはたどり着けず、村に戻ってきてしまった。
「おかしいなぁ……ちょうどおじいさんもいないみたいだし、村の人を探して、どうやったら外に出られるか聞いてみようかな」
陽斗は片っ端から家々を訪ねて回った。今置かれている状況が異形の仕業かもしれないとは微塵も考えていなかった。
「ごめんくださーい! どなたかいらっしゃいませんかー!」
インターホンがなかったため、木の引き戸をノックし、声をかける。しかしどの家も物音一つせず、無人だった。
それどころか、道中誰とも会わず、入口で会ったおじいさんすらも現れなかった。
「まさか、誰もいないなんて……どうしよう?」
その時、遠くから「カランカラン」と鐘の鳴る音が聞こえた。トンネルから出てきた時に最初に目についた、あの木造校舎からだった。
「もしかして、みんなあの校舎にいるのかな?」
陽斗は鐘の音に引き寄せられるように、木造校舎に向かって歩き出した。
・
〈午前九時四十分頃 ???校〉
その頃、木造校舎では数人の生徒達が、教室で授業を受けていた。
陽斗と同い年くらいの、十代前半から後半の生徒がほとんどだったが、一人だけ小学生くらいの子供が混じっている。彼らにとってはいつも通りの光景なのか、誰も違和感を持たず、平然と授業を受けていた。
また、この村独特の文化なのか、教師も生徒も着物に袴という時代錯誤な格好で授業を受けていた。加えて男子は腰、女子は髪に、各々好みの色の彼岸花の飾りをつけており、華やかだった。
・
陽斗が鐘の音を聞いたのは、ちょうど授業が終わった頃だった。
教卓の上に置いていた小さな鐘を、若い女性教師が「カランカラン」と鳴らす。その鐘の音を合図に、生徒達は立ち上がった。
「起立、礼、着席ー」
きちんと挨拶をし、席をつく。
中にはだるそうに頭を下げる者もいれば、元気よく挨拶する者もいた。
その中の一人、若草色の彼岸花と着物を身につけたおさげの女子生徒は、授業が終わると机から数冊の本を取り出し、二階の図書室へ向かった。
きしむ階段を駆け上がり、早足で駆け込む。図書室は無人で、司書すらいなかった。
女子生徒は慣れた手つきで返却カードにハンコを押すと、本を元あった棚に返却した。
全ての本を返却し終えると、別の棚に向かい、棚から本を引き抜く。すると、棚の向こうにいた目と目があった。
「キャッ?!」
女子生徒は驚いて跳び上がる。
棚の向こうにいた人物は「悪ぃ、悪ぃ!」とヘラヘラ笑いながら現れた。
彼は先程、教室で女子生徒と一緒に授業を受けていた男子生徒で、紺色の着物と袴を身にまとっていた。腰の彼岸花は、毒々しい青色のものをつけている。髪は短く刈っており、坊主頭に近かった。
「ものすごい勢いで教室を出て行ったもんだから、何かあったのかと思ってさ!」
「紺太郎君が心配するようなことは何もないよ。昨日読み終わった本を返しに来ただけ」
女子生徒は寂しそうに棚から本を手に取り、貸し出しカードを抜き取った。何度も読み返した、思い出の一冊だった。
「私達、今年で卒業でしょ? 村を出たらしばらくは帰ってこられないし、今のうちに読みたかった本を全部読んでおこうと思って」
「明梨は進学だもんなー。俺は家業継がなくちゃなんねぇから、羨ましいぜ。帰って来る時は、外の土産たんまり買ってきてくれよな」
「……うん」
女子生徒、明梨は複雑そうに頷く。
今年の卒業生のうち、村を出て進学するのは彼女だけだった。他は皆、家業を継ぐために村に残る。
明梨の家にも家業はあったが、幼い頃に双子の姉が継いだため、彼女は自由に進路を選ぶことが出来た。もっとも、明梨自身はそのことをずっと悩んでいた。
「今さらだけど、本当に村を出ていいのかな? 私、外の世界でやっていける自信なんてないよ。家業を暗梨に押しつけて出て行くのも申し訳ないし。あの子こそ、外の世界に出て行くべきなんじゃないかな」
「んなこと言ったって、仕方ないだろー。とっくの昔に継いじまったんだから」
それに、と紺太郎は意地の悪い笑みを浮かべ、言った。
「本当に外に出られるかどうかなんて、分かんねぇぞ」
・
月音はトイレから教室へ戻る道中、明梨を背負って階段を下りてきた紺太郎と出くわした。
「紺太郎?」
「うぉっ?! 月音ぇ?!」
あからさまに慌てる紺太郎を、訝しげに睨みつける。
彼女は紺太郎と明梨のクラスメイトで、幼馴染だった。
切長の目をしたかなりの美人で、髪を肩口で真っ直ぐに切り揃え、月下美人が刺繍された銀色の着物と袴を身に纏っている。彼岸花の髪飾りも、月下美人を思わせる白い彼岸花だった。
顔立ちもさることながら、彼女の髪は着物の刺繍と同じ銀色で、誰しも一目見れば忘れられなくなるような容姿をしていた。窓から差し込む日光を、髪の毛一本一本が反射し、チカチカと輝いている。その姿は美しくもあり、異質でもあった。
紺太郎は月音と目が合った途端、「やべっ」と声を漏らし、彼女の横をすり抜けて行こうとした。
しかし、月音は一瞬見えた紺太郎の焦った表情を目ざとく捉えていた。立ち去ろうとする彼の肩を瞬時につかみ、背後から睨みつける。
「明梨、また貧血で倒れたの? 今度は何て言ったのよ?」
「別に。こいつがいつまで経ってもウジウジしてるから、"暗梨が引きこもってんのに、村から出られるのかよ"って、本当のことを言ってやっただけだ」
紺太郎は月音の手を肩から退け、吐き捨てるように言った。
「"外に出て上手くやっていける自信がない"だぁ? 笑わせんな。俺達なんて、はなから村から出られねぇって決まってるっつーの。このまま暗梨が引きこもってくれれば、こいつの進学もおじゃんになんのにな」
「そんな酷いこと言わないで。明梨だって、悩んでるんだから」
「へーへー、すいませんでしたぁ」
紺太郎はめんどくさそうに謝る。
月音は「明梨にも謝っときなさいよ」と叱った後、ふと不安をこぼした。
「……暗梨、本当に大丈夫なのかしら。"家業"を継いでから、ずっと部屋に引きこもってるんでしょう?」
「あぁ。もう五年になるな。明梨も顔を見てないって言ってたぞ」
「そろそろ調味料が底を尽くのよね……あの子がいないと、仕入れに行けないから困るわ」
「部屋で死んでるか、鬼病に罹って我を忘れてるかもしれねぇな」
鬼病、と聞き、月音は眉をひそめた。
「縁起でもないこと言わないで。第一、本当に鬼病に罹っていたら、一緒に住んでる明梨が無事でいられるはずないでしょう?」
「それもそうだな。あの病に罹った人間は、我を忘れて暴れ回るもんな」
紺太郎はヘラヘラと笑い、廊下の突き当たりにある保健室へと去っていく。
「……ったく、少しは相手の気持ちを考えてから言いなさいよ」
月音も踵を返し、教室へ戻っていった。
・
〈午前九時五十分頃 ???校〉
紺太郎は明梨を保健室のベッドへ寝かせると、遅刻しないよう走って教室に戻った。
図書室同様、保健室も無人で静まり返っている。
「こら! 廊下は走っちゃダメって言ってるでしょ!」
「サーセン、サーセン」
教室から紺太郎が教師に叱られている声が聞こえてくる中、明梨はゆっくりと瞼を開いた。
その瞳は濁った黄緑色へと変化し、瞳孔が縦に伸びていた。
トンネルを抜けると、どういうわけか、先程と同じ村に出た。遠目に木造校舎が見えるので、間違いない。
「あれ? 何で?」
陽斗は首を傾げた。確かに、真っ直ぐトンネルを抜けてきたはずだ。
試しに二、三度、トンネルに入ってみたが、やはり入口にはたどり着けず、村に戻ってきてしまった。
「おかしいなぁ……ちょうどおじいさんもいないみたいだし、村の人を探して、どうやったら外に出られるか聞いてみようかな」
陽斗は片っ端から家々を訪ねて回った。今置かれている状況が異形の仕業かもしれないとは微塵も考えていなかった。
「ごめんくださーい! どなたかいらっしゃいませんかー!」
インターホンがなかったため、木の引き戸をノックし、声をかける。しかしどの家も物音一つせず、無人だった。
それどころか、道中誰とも会わず、入口で会ったおじいさんすらも現れなかった。
「まさか、誰もいないなんて……どうしよう?」
その時、遠くから「カランカラン」と鐘の鳴る音が聞こえた。トンネルから出てきた時に最初に目についた、あの木造校舎からだった。
「もしかして、みんなあの校舎にいるのかな?」
陽斗は鐘の音に引き寄せられるように、木造校舎に向かって歩き出した。
・
〈午前九時四十分頃 ???校〉
その頃、木造校舎では数人の生徒達が、教室で授業を受けていた。
陽斗と同い年くらいの、十代前半から後半の生徒がほとんどだったが、一人だけ小学生くらいの子供が混じっている。彼らにとってはいつも通りの光景なのか、誰も違和感を持たず、平然と授業を受けていた。
また、この村独特の文化なのか、教師も生徒も着物に袴という時代錯誤な格好で授業を受けていた。加えて男子は腰、女子は髪に、各々好みの色の彼岸花の飾りをつけており、華やかだった。
・
陽斗が鐘の音を聞いたのは、ちょうど授業が終わった頃だった。
教卓の上に置いていた小さな鐘を、若い女性教師が「カランカラン」と鳴らす。その鐘の音を合図に、生徒達は立ち上がった。
「起立、礼、着席ー」
きちんと挨拶をし、席をつく。
中にはだるそうに頭を下げる者もいれば、元気よく挨拶する者もいた。
その中の一人、若草色の彼岸花と着物を身につけたおさげの女子生徒は、授業が終わると机から数冊の本を取り出し、二階の図書室へ向かった。
きしむ階段を駆け上がり、早足で駆け込む。図書室は無人で、司書すらいなかった。
女子生徒は慣れた手つきで返却カードにハンコを押すと、本を元あった棚に返却した。
全ての本を返却し終えると、別の棚に向かい、棚から本を引き抜く。すると、棚の向こうにいた目と目があった。
「キャッ?!」
女子生徒は驚いて跳び上がる。
棚の向こうにいた人物は「悪ぃ、悪ぃ!」とヘラヘラ笑いながら現れた。
彼は先程、教室で女子生徒と一緒に授業を受けていた男子生徒で、紺色の着物と袴を身にまとっていた。腰の彼岸花は、毒々しい青色のものをつけている。髪は短く刈っており、坊主頭に近かった。
「ものすごい勢いで教室を出て行ったもんだから、何かあったのかと思ってさ!」
「紺太郎君が心配するようなことは何もないよ。昨日読み終わった本を返しに来ただけ」
女子生徒は寂しそうに棚から本を手に取り、貸し出しカードを抜き取った。何度も読み返した、思い出の一冊だった。
「私達、今年で卒業でしょ? 村を出たらしばらくは帰ってこられないし、今のうちに読みたかった本を全部読んでおこうと思って」
「明梨は進学だもんなー。俺は家業継がなくちゃなんねぇから、羨ましいぜ。帰って来る時は、外の土産たんまり買ってきてくれよな」
「……うん」
女子生徒、明梨は複雑そうに頷く。
今年の卒業生のうち、村を出て進学するのは彼女だけだった。他は皆、家業を継ぐために村に残る。
明梨の家にも家業はあったが、幼い頃に双子の姉が継いだため、彼女は自由に進路を選ぶことが出来た。もっとも、明梨自身はそのことをずっと悩んでいた。
「今さらだけど、本当に村を出ていいのかな? 私、外の世界でやっていける自信なんてないよ。家業を暗梨に押しつけて出て行くのも申し訳ないし。あの子こそ、外の世界に出て行くべきなんじゃないかな」
「んなこと言ったって、仕方ないだろー。とっくの昔に継いじまったんだから」
それに、と紺太郎は意地の悪い笑みを浮かべ、言った。
「本当に外に出られるかどうかなんて、分かんねぇぞ」
・
月音はトイレから教室へ戻る道中、明梨を背負って階段を下りてきた紺太郎と出くわした。
「紺太郎?」
「うぉっ?! 月音ぇ?!」
あからさまに慌てる紺太郎を、訝しげに睨みつける。
彼女は紺太郎と明梨のクラスメイトで、幼馴染だった。
切長の目をしたかなりの美人で、髪を肩口で真っ直ぐに切り揃え、月下美人が刺繍された銀色の着物と袴を身に纏っている。彼岸花の髪飾りも、月下美人を思わせる白い彼岸花だった。
顔立ちもさることながら、彼女の髪は着物の刺繍と同じ銀色で、誰しも一目見れば忘れられなくなるような容姿をしていた。窓から差し込む日光を、髪の毛一本一本が反射し、チカチカと輝いている。その姿は美しくもあり、異質でもあった。
紺太郎は月音と目が合った途端、「やべっ」と声を漏らし、彼女の横をすり抜けて行こうとした。
しかし、月音は一瞬見えた紺太郎の焦った表情を目ざとく捉えていた。立ち去ろうとする彼の肩を瞬時につかみ、背後から睨みつける。
「明梨、また貧血で倒れたの? 今度は何て言ったのよ?」
「別に。こいつがいつまで経ってもウジウジしてるから、"暗梨が引きこもってんのに、村から出られるのかよ"って、本当のことを言ってやっただけだ」
紺太郎は月音の手を肩から退け、吐き捨てるように言った。
「"外に出て上手くやっていける自信がない"だぁ? 笑わせんな。俺達なんて、はなから村から出られねぇって決まってるっつーの。このまま暗梨が引きこもってくれれば、こいつの進学もおじゃんになんのにな」
「そんな酷いこと言わないで。明梨だって、悩んでるんだから」
「へーへー、すいませんでしたぁ」
紺太郎はめんどくさそうに謝る。
月音は「明梨にも謝っときなさいよ」と叱った後、ふと不安をこぼした。
「……暗梨、本当に大丈夫なのかしら。"家業"を継いでから、ずっと部屋に引きこもってるんでしょう?」
「あぁ。もう五年になるな。明梨も顔を見てないって言ってたぞ」
「そろそろ調味料が底を尽くのよね……あの子がいないと、仕入れに行けないから困るわ」
「部屋で死んでるか、鬼病に罹って我を忘れてるかもしれねぇな」
鬼病、と聞き、月音は眉をひそめた。
「縁起でもないこと言わないで。第一、本当に鬼病に罹っていたら、一緒に住んでる明梨が無事でいられるはずないでしょう?」
「それもそうだな。あの病に罹った人間は、我を忘れて暴れ回るもんな」
紺太郎はヘラヘラと笑い、廊下の突き当たりにある保健室へと去っていく。
「……ったく、少しは相手の気持ちを考えてから言いなさいよ」
月音も踵を返し、教室へ戻っていった。
・
〈午前九時五十分頃 ???校〉
紺太郎は明梨を保健室のベッドへ寝かせると、遅刻しないよう走って教室に戻った。
図書室同様、保健室も無人で静まり返っている。
「こら! 廊下は走っちゃダメって言ってるでしょ!」
「サーセン、サーセン」
教室から紺太郎が教師に叱られている声が聞こえてくる中、明梨はゆっくりと瞼を開いた。
その瞳は濁った黄緑色へと変化し、瞳孔が縦に伸びていた。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
皇太后(おかあ)様におまかせ!〜皇帝陛下の純愛探し〜
菰野るり
キャラ文芸
皇帝陛下はお年頃。
まわりは縁談を持ってくるが、どんな美人にもなびかない。
なんでも、3年前に一度だけ出逢った忘れられない女性がいるのだとか。手がかりはなし。そんな中、皇太后は自ら街に出て息子の嫁探しをすることに!
この物語の皇太后の名は雲泪(ユンレイ)、皇帝の名は堯舜(ヤオシュン)です。つまり【後宮物語〜身代わり宮女は皇帝陛下に溺愛されます⁉︎〜】の続編です。しかし、こちらから読んでも楽しめます‼︎どちらから読んでも違う感覚で楽しめる⁉︎こちらはポジティブなラブコメです。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
オレは視えてるだけですが⁉~訳ありバーテンダーは霊感パティシエを飼い慣らしたい
凍星
キャラ文芸
幽霊が視えてしまうパティシエ、葉室尊。できるだけ周りに迷惑をかけずに静かに生きていきたい……そんな風に思っていたのに⁉ バーテンダーの霊能者、久我蒼真に出逢ったことで、どういう訳か、霊能力のある人達に色々絡まれる日常に突入⁉「オレは視えてるだけだって言ってるのに、なんでこうなるの??」霊感のある主人公と、彼の秘密を暴きたい男の駆け引きと絆を描きます。BL要素あり。

夢の中でもう一人のオレに丸投げされたがそこは宇宙生物の撃退に刀が重宝されている平行世界だった
竹井ゴールド
キャラ文芸
オレこと柊(ひいらぎ)誠(まこと)は夢の中でもう一人のオレに泣き付かれて、余りの泣き言にうんざりして同意するとーー
平行世界のオレと入れ替わってしまった。
平行世界は宇宙より外敵宇宙生物、通称、コスモアネモニー(宇宙イソギンチャク)が跋扈する世界で、その対策として日本刀が重宝されており、剣道の実力、今(いま)総司のオレにとってはかなり楽しい世界だった。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる