贄原くんと3匹の鬼

緋色刹那

文字の大きさ
上 下
152 / 327
第7.5話「M,Iの記録」

目白先生の妖怪講座 第7.5回

しおりを挟む
 私だ、目白だ。
 今回は飯沼君に憑依した鬼、玉母について解説しようと思う。
 かの「霊護院の巫女」を陥れた諸悪の根源たる彼女は、如何なる鬼だったのだろうか?

山井猫鬼やまいびょうき玉母たまも
 鬼。頭に猫の耳のように、三角錐の紫色のツノがついている。
 猫のような顔をした女性。
 髪は黒く長く、真っ直ぐに切り揃えている。瞳孔が縦に開いた金色の瞳を持つ。エノコログサ柄の紫色の着物を着ている。
 人間の霊力を破壊する致死の煙を放つ強力な鬼で、術者の間でも有名だった。
 元は化け猫だったが、己の子供を人間に殺された怨みから鬼となり、人間に化けて人々を襲うようになった。そのため、話し方が辿々しい。
 飯沼君の霊力を奪い、さらなる力を得ようとしていたが、逆に飯沼に力を奪われ、自我が消滅してしまった。もし飯沼君があのまま鬼になっていたら、彼女のように人間達を殺して回っていたのかもしれない。
 ……「もしそうなっていたら、先生は飯沼さんに手を下していましたか?」か。
 私は何もしないよ。代わりに、他の術者達が彼女を始末していただろうから。彼女は上手く隠れていたつもりでも、気づいている術者は必ずいるさ。

 如何だっただろうか。
 飯沼君が正しい知識を持つ優秀な術者の弟子になっていたら、彼女の人生はまた違ったものになっていたのかもしれないね。
 ではまた次回。
しおりを挟む

処理中です...