125 / 327
第6.5話「祖母の絵」
参:夢の羽根
しおりを挟む
パエリアを食べ終え、陽斗は蒼劔と連れ立って近所の銭湯へ風呂に入りに行った。
「たっだいまー!」
やがて陽斗は牛乳瓶に入ったフルーツ牛乳、蒼劔は自動販売機で購入したぜんざいを片手に帰宅すると、部屋の壁からげっそりとした顔の五代の首が生えてきた。どうやら頭部のみ壁をすり抜け、陽斗の部屋に侵入してきたらしい。
2人を出迎えた五代の目は血走り、両方の鼻の穴から鼻血が垂れていた。
「お~か~え~り~」
「ご、五代さん、大丈夫?! ともかく、鼻血拭いて! 畳に落ちたら、取るの大変だから!」
陽斗は慌ててポケットティッシュを何枚か五代に差し出す。
すると五代は壁からニュルっと手を出し、ポケットティッシュを受け取った。真っ白なティッシュは、鼻に当てると一瞬で真っ赤に染まった。
「出来たよぉ、陽斗氏のお祖母様の夢の羽根。いやぁ、短時間で集中するのはキッツイわぁ。脳汁が沸騰しそう」
「本当に沸騰すればいいのにな」
大袈裟に苦労をアピールする五代に、蒼劔はチッと舌を打つ。
「蒼劔君、そんなこと言わないの。せっかく五代さんが頑張ってくれたんだから」
陽斗は追加のポケットティッシュを五代に渡し、彼を擁護した。
五代は陽斗に庇われて気を良くしたのか、これ見よがしに蒼劔に向かってニマニマと笑みを見せた。
「ソウダゾー。五代さん、ボッチで頑張ったんダゾー。褒~め~ろ~よ~」
「いいから、さっさと夢の羽根を寄越せ」
蒼劔は壁から生えている五代に手を突き出す。
しかし五代は「あーダメダメ」と、もう一方の手を壁から出し、ヒラヒラと振った。
「夢の羽根は繊細なの! うっかり、強い妖力に触れたら、夢の羽根に入ってる記憶に影響が出ちゃうんだお! だから、蒼劔は絶対に触らないよう注意してね? つーわけで陽斗氏、オイラの部屋までカモン!」
「ほーい」
陽斗はドアから廊下へ出て、隣の五代の部屋のドアを開いた。鍵は開いていた。
部屋に入ると、五代は既に壁から頭と両手を引っ込め、ファスナーのついた透明なビニール袋を手に、待っていた。
「はい、陽斗氏。出来立てホヤホヤの夢の羽根よ。袋から出して、使ってねっ」
「ありがとう、五代さん」
陽斗は大事に袋を受け取る。
中に入っていたのは、虹色の光を帯びた純白の羽根だった。羽根ペンと同じくらいの大きさの羽根で、左右に動かすと光の反射具合が変わり、虹色の光の色合いが変化した。
「綺麗な羽根だね……」
「元々は夢見鳥っていう妖怪の羽根で出来てるんだよ。"桃源郷"と呼ばれてる、清浄な気で満ちた異界にしか生息していない希少種でね。羽根1枚買うのに、何十万もかかるんさ」
「何十万?!」
陽斗は金額を聞いて、目を丸くした。
うっかり羽根を落としそうになり、床に着く前に慌ててつかんだ。
「そんな貴重な物、僕に貸していいの?!」
「いいの、いいの。どうせ、オイラは使わないし。どうぞ、陽斗氏が使ってくんしゃいな」
「あ、ありがとう……」
陽斗は夢の羽根が入ったビニール袋を大事に抱え、蒼劔と共に部屋を出て行った。軽かったはずの羽根が金額を聞いただけで、腕にずっしりと重くのしかかっているように感じた。
・
陽斗は自室へ戻ると、布団を敷き、夢の羽根を枕の下に置いた。五代の言いつけ通り、ビニール袋から出した状態で置く。
部屋の電灯を消し、布団に入ると、陽斗はおそるおそる枕に頭を乗せた。何十万円もの大金の上に頭を乗せていると思うと、生きた心地がしなかった。
「うわー……僕、今すっごいもったいないことしてるよ。大丈夫かな? バチが当たったりしない? 朝になったら、夢の羽根が枕の下で干物みたいになってたらどうしよう?」
「心配するな。曲がりなりにも、妖怪の羽根だからな。見た目よりも頑丈になっているはずだ」
不安そうな陽斗に、部屋の隅で座っていた蒼劔は冷静に返した。
「そっか! それなら安心だね!」
「あぁ。だから、さっさと寝ろ」
「はーい」
陽斗は素直に目を閉じ、眠りについた。
やがて寝息が聞こえてくると、枕の下で夢の羽根が虹色に輝き出した。
「……始まったか」
蒼劔は静かに虹色の光を見つめ、眠っている陽斗を見守った。
・
「……ふぇ?」
陽斗は気がつくと、実家の居間に座っていた。どうやら夢を見ているらしく、周囲は昼間のように明るい。何処からか、美味しそうな匂いがした。
「ここ……僕の家だ。ってことは、これは僕の昔の記憶?」
陽斗は周囲を見回し、状況を確認する。妙に視点が低く、ありとあらゆるものが大きく見えた。
移動しようにも足が覚束なく、卓袱台に手をついてやっと立ち上がることが出来た。しかし卓袱台から手を離し、一歩、二歩と進んだところで転け、畳に手をついた。
「あいたた……夢の中って、こんなに体が動かしづらいの? なんか頭も重いし……」
ふと、陽斗は畳についた自分の手をよく見た。彼の手はぷくぷくとした、幼い子供のような手に変わっていた。
「うわっ、何これ?! ちっちゃい子の手になってる! なんか、クリームパンみたいで美味しそう!」
陽斗は再度畳に腰を下ろすと、物珍しそうに自分の手を観察した。
その時、居間の襖が開き、誰かが部屋に入ってきた。同時に、美味しそうな匂いも居間へ入り込んでくる。
「陽斗、何してるの?」
部屋に入ってきた人物は陽斗を見て、声をかけた。少々枯れた、女の声だった。
陽斗はその声を耳にした途端、無性に懐かしい気持ちになり、胸が苦しくなった。
「誰……?」
陽斗は居間へ入ってきた人物の方へと目を向けたが、視点が低いせいで足元しか見えなかった。
白い足袋を履いた女の足で、黒い着物の裾もわずかに見えた。
「全然見えないや。でも、この夢が僕の記憶なら、きっとこの女の人は……」
女は座っている陽斗を迂回し、卓袱台にトレーを置くと、運んできた料理を卓袱台の上へ移した。
陽斗は卓袱台に手をつき、料理を覗き込む。プラスチックの可愛らしいデザインの皿に、あらかじめケチャップがかけられた小さめのオムライスが盛られていた。
「わぁ! オムライスだー! 懐かしいなぁ、よくおばあちゃんが作ってくれたんだよねー」
女は皿を卓袱台に置くと、壁際に寄せられていた子供用の椅子を持ってきて、卓袱台の前に置いた。畳の上に座っていた陽斗を持ち上げ、椅子に座らせる。
椅子に座ったことで陽斗の視点はグッと高くなり、卓袱台の上の様子がよく見えた。卓袱台には陽斗の分と思われるオムライスの他に、キャラクターものの小さなお碗に入った味噌汁、プラスチックのスプーン、女の分と思われる大きめのオムライスと味噌汁が入ったお碗が置いてあった。
「それじゃ、いただきましょうかね」
女は陽斗を椅子に座らせると、彼の首に食事用のエプロンをつけさせた。そこで初めて、陽斗は女の顔を見た。
「おばあちゃん……!」
その女性は、まごうことなく陽斗の祖母だった。
「たっだいまー!」
やがて陽斗は牛乳瓶に入ったフルーツ牛乳、蒼劔は自動販売機で購入したぜんざいを片手に帰宅すると、部屋の壁からげっそりとした顔の五代の首が生えてきた。どうやら頭部のみ壁をすり抜け、陽斗の部屋に侵入してきたらしい。
2人を出迎えた五代の目は血走り、両方の鼻の穴から鼻血が垂れていた。
「お~か~え~り~」
「ご、五代さん、大丈夫?! ともかく、鼻血拭いて! 畳に落ちたら、取るの大変だから!」
陽斗は慌ててポケットティッシュを何枚か五代に差し出す。
すると五代は壁からニュルっと手を出し、ポケットティッシュを受け取った。真っ白なティッシュは、鼻に当てると一瞬で真っ赤に染まった。
「出来たよぉ、陽斗氏のお祖母様の夢の羽根。いやぁ、短時間で集中するのはキッツイわぁ。脳汁が沸騰しそう」
「本当に沸騰すればいいのにな」
大袈裟に苦労をアピールする五代に、蒼劔はチッと舌を打つ。
「蒼劔君、そんなこと言わないの。せっかく五代さんが頑張ってくれたんだから」
陽斗は追加のポケットティッシュを五代に渡し、彼を擁護した。
五代は陽斗に庇われて気を良くしたのか、これ見よがしに蒼劔に向かってニマニマと笑みを見せた。
「ソウダゾー。五代さん、ボッチで頑張ったんダゾー。褒~め~ろ~よ~」
「いいから、さっさと夢の羽根を寄越せ」
蒼劔は壁から生えている五代に手を突き出す。
しかし五代は「あーダメダメ」と、もう一方の手を壁から出し、ヒラヒラと振った。
「夢の羽根は繊細なの! うっかり、強い妖力に触れたら、夢の羽根に入ってる記憶に影響が出ちゃうんだお! だから、蒼劔は絶対に触らないよう注意してね? つーわけで陽斗氏、オイラの部屋までカモン!」
「ほーい」
陽斗はドアから廊下へ出て、隣の五代の部屋のドアを開いた。鍵は開いていた。
部屋に入ると、五代は既に壁から頭と両手を引っ込め、ファスナーのついた透明なビニール袋を手に、待っていた。
「はい、陽斗氏。出来立てホヤホヤの夢の羽根よ。袋から出して、使ってねっ」
「ありがとう、五代さん」
陽斗は大事に袋を受け取る。
中に入っていたのは、虹色の光を帯びた純白の羽根だった。羽根ペンと同じくらいの大きさの羽根で、左右に動かすと光の反射具合が変わり、虹色の光の色合いが変化した。
「綺麗な羽根だね……」
「元々は夢見鳥っていう妖怪の羽根で出来てるんだよ。"桃源郷"と呼ばれてる、清浄な気で満ちた異界にしか生息していない希少種でね。羽根1枚買うのに、何十万もかかるんさ」
「何十万?!」
陽斗は金額を聞いて、目を丸くした。
うっかり羽根を落としそうになり、床に着く前に慌ててつかんだ。
「そんな貴重な物、僕に貸していいの?!」
「いいの、いいの。どうせ、オイラは使わないし。どうぞ、陽斗氏が使ってくんしゃいな」
「あ、ありがとう……」
陽斗は夢の羽根が入ったビニール袋を大事に抱え、蒼劔と共に部屋を出て行った。軽かったはずの羽根が金額を聞いただけで、腕にずっしりと重くのしかかっているように感じた。
・
陽斗は自室へ戻ると、布団を敷き、夢の羽根を枕の下に置いた。五代の言いつけ通り、ビニール袋から出した状態で置く。
部屋の電灯を消し、布団に入ると、陽斗はおそるおそる枕に頭を乗せた。何十万円もの大金の上に頭を乗せていると思うと、生きた心地がしなかった。
「うわー……僕、今すっごいもったいないことしてるよ。大丈夫かな? バチが当たったりしない? 朝になったら、夢の羽根が枕の下で干物みたいになってたらどうしよう?」
「心配するな。曲がりなりにも、妖怪の羽根だからな。見た目よりも頑丈になっているはずだ」
不安そうな陽斗に、部屋の隅で座っていた蒼劔は冷静に返した。
「そっか! それなら安心だね!」
「あぁ。だから、さっさと寝ろ」
「はーい」
陽斗は素直に目を閉じ、眠りについた。
やがて寝息が聞こえてくると、枕の下で夢の羽根が虹色に輝き出した。
「……始まったか」
蒼劔は静かに虹色の光を見つめ、眠っている陽斗を見守った。
・
「……ふぇ?」
陽斗は気がつくと、実家の居間に座っていた。どうやら夢を見ているらしく、周囲は昼間のように明るい。何処からか、美味しそうな匂いがした。
「ここ……僕の家だ。ってことは、これは僕の昔の記憶?」
陽斗は周囲を見回し、状況を確認する。妙に視点が低く、ありとあらゆるものが大きく見えた。
移動しようにも足が覚束なく、卓袱台に手をついてやっと立ち上がることが出来た。しかし卓袱台から手を離し、一歩、二歩と進んだところで転け、畳に手をついた。
「あいたた……夢の中って、こんなに体が動かしづらいの? なんか頭も重いし……」
ふと、陽斗は畳についた自分の手をよく見た。彼の手はぷくぷくとした、幼い子供のような手に変わっていた。
「うわっ、何これ?! ちっちゃい子の手になってる! なんか、クリームパンみたいで美味しそう!」
陽斗は再度畳に腰を下ろすと、物珍しそうに自分の手を観察した。
その時、居間の襖が開き、誰かが部屋に入ってきた。同時に、美味しそうな匂いも居間へ入り込んでくる。
「陽斗、何してるの?」
部屋に入ってきた人物は陽斗を見て、声をかけた。少々枯れた、女の声だった。
陽斗はその声を耳にした途端、無性に懐かしい気持ちになり、胸が苦しくなった。
「誰……?」
陽斗は居間へ入ってきた人物の方へと目を向けたが、視点が低いせいで足元しか見えなかった。
白い足袋を履いた女の足で、黒い着物の裾もわずかに見えた。
「全然見えないや。でも、この夢が僕の記憶なら、きっとこの女の人は……」
女は座っている陽斗を迂回し、卓袱台にトレーを置くと、運んできた料理を卓袱台の上へ移した。
陽斗は卓袱台に手をつき、料理を覗き込む。プラスチックの可愛らしいデザインの皿に、あらかじめケチャップがかけられた小さめのオムライスが盛られていた。
「わぁ! オムライスだー! 懐かしいなぁ、よくおばあちゃんが作ってくれたんだよねー」
女は皿を卓袱台に置くと、壁際に寄せられていた子供用の椅子を持ってきて、卓袱台の前に置いた。畳の上に座っていた陽斗を持ち上げ、椅子に座らせる。
椅子に座ったことで陽斗の視点はグッと高くなり、卓袱台の上の様子がよく見えた。卓袱台には陽斗の分と思われるオムライスの他に、キャラクターものの小さなお碗に入った味噌汁、プラスチックのスプーン、女の分と思われる大きめのオムライスと味噌汁が入ったお碗が置いてあった。
「それじゃ、いただきましょうかね」
女は陽斗を椅子に座らせると、彼の首に食事用のエプロンをつけさせた。そこで初めて、陽斗は女の顔を見た。
「おばあちゃん……!」
その女性は、まごうことなく陽斗の祖母だった。
0
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
百合系サキュバス達に一目惚れされた
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
学園戦記三国志~リュービ、二人の美少女と義兄妹の契りを結び、学園において英雄にならんとす 正史風味~
トベ・イツキ
キャラ文芸
三国志×学園群像劇!
平凡な少年・リュービは高校に入学する。
彼が入学したのは、一万人もの生徒が通うマンモス校・後漢学園。そして、その生徒会長は絶大な権力を持つという。
しかし、平凡な高校生・リュービには生徒会なんて無縁な話。そう思っていたはずが、ひょんなことから黒髪ロングの清楚系な美女とお団子ヘアーのお転婆な美少女の二人に助けられ、さらには二人が自分の妹になったことから運命は大きく動き出す。
妹になった二人の美少女の後押しを受け、リュービは謀略渦巻く生徒会の選挙戦に巻き込まれていくのであった。
学園を舞台に繰り広げられる新三国志物語ここに開幕!
このお話は、三国志を知らない人も楽しめる。三国志を知ってる人はより楽しめる。そんな作品を目指して書いてます。
今後の予定
第一章 黄巾の乱編
第二章 反トータク連合編
第三章 群雄割拠編
第四章 カント決戦編
第五章 赤壁大戦編
第六章 西校舎攻略編←今ココ
第七章 リュービ会長編
第八章 最終章
作者のtwitterアカウント↓
https://twitter.com/tobeitsuki?t=CzwbDeLBG4X83qNO3Zbijg&s=09
※このお話は2019年7月8日にサービスを終了したラノゲツクールに同タイトルで掲載していたものを小説版に書き直したものです。
※この作品は小説家になろう・カクヨムにも公開しています。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
MASK 〜黒衣の薬売り〜
天瀬純
キャラ文芸
【薬売り“黒衣 漆黒”による現代ファンタジー】
黒い布マスクに黒いスーツ姿の彼“薬売り”が紹介する奇妙な薬たち…。
いくつもの短編を通して、薬売りとの交流を“あらゆる人物視点”で綴られる現代ファンタジー。
ぜひ、お立ち寄りください。
デリバリー・デイジー
SoftCareer
キャラ文芸
ワケ有りデリヘル嬢デイジーさんの奮闘記。
これを読むと君もデリヘルに行きたくなるかも。いや、行くんじゃなくて呼ぶんだったわ……あっ、本作品はR-15ですが、デリヘル嬢は18歳にならないと呼んじゃだめだからね。
※もちろん、内容は百%フィクションですよ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる