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第2話「贄原くんの災厄な五日間」前編
2日目:映画館(後編)
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その言葉を聞いた瞬間、朱羅は頭が真っ白になった。
スクリーンでは敵のボスが兜を取り、対峙している深夜レッドに正体を明かしていた。彼は深夜レッドの死んだはずの父親だった。
『タカシ、私と共に来い。そうすれば、この世界はお前の意のままに動く。あの子もお前の物に出来るぞ』
『俺は……どうすれば……!』
映画館にはレッドの悲痛な声が大音量で響いていたが、朱羅の耳には届いていなかった。
「どういう……ことですか」
「なんじゃ、知らんかったのか! まぁ、己の負けた諍いなど、自慢にもならんからのお。話さんで当然じゃて」
朱羅は黒縄を侮辱され、思わずムッとする。
武仭山鉄衣は朱羅の態度を全く気にすることなく、当時のことについて話し出した。
「前の黒縄はな、地獄八鬼を義賊のような組織にしようと考えておったらしい。強き鬼や私腹を肥やす金持ち、冷酷な役人を成敗することに生き甲斐を見出し、活動しておった」
スクリーンの深夜レッドは今まで助けてきた人々を思い返す。老若男女、誰もが深夜レッドに感謝し、笑顔を見せていた。
「しかし、他の奴らは違った。弱き者を甚振ることにこそ、生き甲斐を持っておった。儂もその1人じゃ。地獄八鬼に入る以前より、気に入った武器を他人から奪い、己の物としてきた。殺してでもな」
武仭山鉄衣はニカっと歯を見せて笑い、朱羅を見下ろす。
朱羅は憎悪に満ちた眼差しで武仭山鉄衣を睨み返した。
「ある時、前の黒縄以外の地獄八鬼の者共が密かに人間の村を襲う計画を立てておった。それを知った前の黒縄は奴らに計画を中止するよう言った」
スクリーンの深夜レッドが父親に『俺は仲間にはならない!』と宣言していた。
父親は『残念だ』と背後のモニターを指差す。そこには大量の敵達が街を襲っている様子が映し出されていた。逃げ惑う人々の中には、レッドが守ろうとした彼女もいた。
レッドは『計画を中止しろ!』と父親に迫る。しかし父親は首を横に振った。
『もう遅い。お前はここから世界の終わりを見届けるのだ』
レッドはなす術なく、ただ呆然とモニターを見つめていた。
「当然、奴らは前の黒縄の話など聞かなかった。最終的に前の黒縄は脱退し、姿を晦ました。残った奴らは代わりの黒縄をたまたま近くにおった儂に任命し、その日の内に村を襲った」
「……貴様もその村を襲ったのか?」
その瞬間、朱羅の声の調子が変わった。普段の温厚な朱羅の口から発せられたとが思えないほど低く冷たい声に、背後にいた陽斗は背筋が震えた。
しかし武仭山鉄衣はその変化に気づいていない。当時のことを思い出し、恍惚の表情を浮かべている。
「おうとも! 大した武器はなかったが、村人共を淘汰するのは実に快感であった! 途中で前の黒縄が邪魔に入ったが、儂が鎖を熱したらすぐに倒れおったわ。それでも儂らを止めようとしたんで、他の奴らからも返り討ちにあっておったのう。ほとぼりが冷めた頃には、ボロ切れのように地面に転がっておったわ! いやぁ、愉快愉快!」
「……五代殿」
朱羅は胸ポケットからスマホを取り出し、五代に呼びかけた。
スマホの向こうで深夜戦隊ナイトレンジャーのレビューを書いていた五代は『何すか?! 今、手が離せねーんすけど?!』と朱羅の様子にも気づかず、軽く返した。
「今、あの男が話していた内容は本当ですか?」
『ちょい待ちー』
五代は陽斗達の記憶を辿り、現在の状況を理解した途端、無言になった。
『……』
「どういうことか説明して頂けますか? 五代殿の話では、黒縄様も村人を襲っていたとのことでしたよね?」
五代は暫く無言を貫いた後、小声で『……ごめんちゃい』と謝った。
『どうもそのデカブツの言う通りみたいっす。だって黒縄氏の主観だと、めっちゃ家壊してるように見えたからさぁ……まさか地獄八鬼8人に対して、たった1人で立ち向かってたなんて思わないじゃん? やっぱ主観情報だけじゃ、情報量が足んないよネー。あはは……』
五代は誤魔化すようにスマホの向こうで、力なく笑う。しかし彼は止めなく伝わってくる朱羅の心の声に、震えていた。
「……そうですか。お手数かけて申し訳ありません。もうよろしいですよ。どうぞ、作業にお戻りになって下さい」
朱羅は淡々とそう告げると、スマホを通話状態に保ったまま、胸ポケットへ仕舞った。
『え、なんか怖い……朱羅氏、もしかして俺つんにオコだったりする? そうだよね? 絶対そうだよね? な、なんかすみません』
スマホが胸ポケットに仕舞われた後も五代は謝っていたが、朱羅は聴こえていないのか無視しているのか、答えなかった。
朱羅は無表情のまま、武仭山鉄衣に礼を言った。
「ありがとうございます。お陰で真実を知ることが出来ました。ご協力、感謝いたします」
「お、おぉそうか。良かったのう」
「えぇ」
朱羅は目に憎悪を宿したまま、口角を上げて笑みを作った。その瞬間、彼の茶色い瞳が金色に変わった。
直後、武仭山鉄衣の腹に朱羅の拳が入った。「めきっ」と何かが折れる音が陽斗の耳にも聞こえた。
武仭山鉄衣は朱羅の動きに追いつけず、その場に膝をつく。
「ガッ……!」
彼が腹に手を当てて身を屈めると、すかさず朱羅は彼の両腕に向かって両手を振り下ろし、骨を折った。続けて彼の両足の骨も軽く蹴りつけ、折っておく。
武仭山鉄衣は身動きが取れなくなり、床へ崩れ落ちた。
「お、お主……何だ、その力は?! 半分人間の半端者ではなかったのか?!」
圧倒的な力を前に、武仭山鉄衣は苦痛に顔を歪めながら声を絞り出し、朱羅に尋ねた。
朱羅は彼のカゴから自身の金棒を取り出し、状態を確認しながら答えた。
「仰る通り、半端者ですよ。妖力も弱いし、術だって使えない」
ただ、と朱羅は武仭山鉄衣の首を掴み、彼を冷たく見下ろした。
「体が丈夫なのが取り柄でしてね、不思議と力が湧いてくるのですよ」
朱羅はそのまま武仭山鉄衣の首を引っ張り、出口に向かった。陽斗も後をついていこうとしたが、『ついていっちゃダメだ!』とポケットに入れていたスマホから聞こえた五代の声に足を止められた。
「ど、どうして?」
『陽斗氏の心臓に悪いからさ。ドッキリびっくり衝撃映像って奴だよ。陽斗氏はここで大人しく、深夜戦隊ナイトレンジャーを観ているといい』
陽斗は朱羅が心配だったが、持ち場を離れることも出来ず、その場に留まることにした。
出口から出ていく直前、朱羅は陽斗を振り返って微笑んだ。
「では、少々お待ち下さい」
彼の額には血のように真っ赤なツノが1本、生えていた。
・
映画が終わり、陽斗が館内を掃除していると、朱羅が1人で戻ってきた。額にツノはなく、目の色も戻っていたが、何故か右手が真っ赤に腫れていた。持っている金棒も、油を塗ったのかと思うほどテラテラと輝いている。
「どうしたの、朱羅さん! さっきの鬼にやられたの?!」
慌てて陽斗は朱羅へ駆け寄り、彼の手をハンカチで包んだ。
どこか虚な目をしていた朱羅はそこで意識が正常に戻り、「大丈夫ですよ」と微笑んだ。
「少々熱が入ってしまっただけですから。この程度の腫れなら、すぐに治ります。それより、映画はどうなりました?」
「レッドは戦隊ヒーローに就職して、世界を救ったよ。その後にヒロインの女の子に告白したんだけど、“年収100億の男じゃないと嫌”って振られちゃったんだ。でも、ずっとレッドのファンだった女の子と結婚して、幸せな家庭を築いたんだよ。いい話だよねぇ」
「それはおめでたい! 何故あんなにもお客様が少なかったのか、不思議ですね」
「ホントだねぇ」
陽斗と朱羅は不思議そうに首を傾げたが、ネットのレビューサイトでは非難轟々だった。
陽斗達と一緒に映画を聞いていた五代も評価を1にし、『まごう事なきクソ映画。金と時間を返して欲しい』と感想を投稿していた。
「そういえば、朱羅さんこれからどうするの? 黒縄さん、仇じゃなかったんでしょ?」
朱羅に後ろで一連の話を聞いていた陽斗は、不安げに尋ねた。もし彼が「戻る」と答えたら、蒼劔に戻ってきてもらうつもりだった。
しかし朱羅は「関係ありません」と首を振った。
「黒縄様が仇でないとしても、今のあの方が行おうとしていることは間違っています。私には従者として、主人の行いを正す役目があります。それを全うするまでは、私は陽斗殿のボディガードです」
「朱羅さん……」
陽斗は安心したように笑みを浮かべた。
五代も陽斗のスマホから2人の会話を聞いていたが、朱羅が映画館を出て戻ってくるまでに何をしていたのか読み取ってしまい、その記憶を抹消しようと魔法少女もののアニソンを聴きまくっていた。
『知らない……俺は知らない……なんも見てないし聞いてない……でも暫くはお肉、食べれないかも』
・
その後、映画館のゴミ捨て場で大量の武器が捨てられているのが発見された。警察も駆けつけ、ちょっとした騒動にはなったが、結局いつ誰が捨てたのかまでは分からず、死傷者も見つからなかったため、「謎の珍事件」として処理された。
しかし、一部の人達がそこで山伏の格好をした男の死体を見たという証言が続出し、「謎の珍事件」は「山伏の男の怪談」として広まっていった。
スクリーンでは敵のボスが兜を取り、対峙している深夜レッドに正体を明かしていた。彼は深夜レッドの死んだはずの父親だった。
『タカシ、私と共に来い。そうすれば、この世界はお前の意のままに動く。あの子もお前の物に出来るぞ』
『俺は……どうすれば……!』
映画館にはレッドの悲痛な声が大音量で響いていたが、朱羅の耳には届いていなかった。
「どういう……ことですか」
「なんじゃ、知らんかったのか! まぁ、己の負けた諍いなど、自慢にもならんからのお。話さんで当然じゃて」
朱羅は黒縄を侮辱され、思わずムッとする。
武仭山鉄衣は朱羅の態度を全く気にすることなく、当時のことについて話し出した。
「前の黒縄はな、地獄八鬼を義賊のような組織にしようと考えておったらしい。強き鬼や私腹を肥やす金持ち、冷酷な役人を成敗することに生き甲斐を見出し、活動しておった」
スクリーンの深夜レッドは今まで助けてきた人々を思い返す。老若男女、誰もが深夜レッドに感謝し、笑顔を見せていた。
「しかし、他の奴らは違った。弱き者を甚振ることにこそ、生き甲斐を持っておった。儂もその1人じゃ。地獄八鬼に入る以前より、気に入った武器を他人から奪い、己の物としてきた。殺してでもな」
武仭山鉄衣はニカっと歯を見せて笑い、朱羅を見下ろす。
朱羅は憎悪に満ちた眼差しで武仭山鉄衣を睨み返した。
「ある時、前の黒縄以外の地獄八鬼の者共が密かに人間の村を襲う計画を立てておった。それを知った前の黒縄は奴らに計画を中止するよう言った」
スクリーンの深夜レッドが父親に『俺は仲間にはならない!』と宣言していた。
父親は『残念だ』と背後のモニターを指差す。そこには大量の敵達が街を襲っている様子が映し出されていた。逃げ惑う人々の中には、レッドが守ろうとした彼女もいた。
レッドは『計画を中止しろ!』と父親に迫る。しかし父親は首を横に振った。
『もう遅い。お前はここから世界の終わりを見届けるのだ』
レッドはなす術なく、ただ呆然とモニターを見つめていた。
「当然、奴らは前の黒縄の話など聞かなかった。最終的に前の黒縄は脱退し、姿を晦ました。残った奴らは代わりの黒縄をたまたま近くにおった儂に任命し、その日の内に村を襲った」
「……貴様もその村を襲ったのか?」
その瞬間、朱羅の声の調子が変わった。普段の温厚な朱羅の口から発せられたとが思えないほど低く冷たい声に、背後にいた陽斗は背筋が震えた。
しかし武仭山鉄衣はその変化に気づいていない。当時のことを思い出し、恍惚の表情を浮かべている。
「おうとも! 大した武器はなかったが、村人共を淘汰するのは実に快感であった! 途中で前の黒縄が邪魔に入ったが、儂が鎖を熱したらすぐに倒れおったわ。それでも儂らを止めようとしたんで、他の奴らからも返り討ちにあっておったのう。ほとぼりが冷めた頃には、ボロ切れのように地面に転がっておったわ! いやぁ、愉快愉快!」
「……五代殿」
朱羅は胸ポケットからスマホを取り出し、五代に呼びかけた。
スマホの向こうで深夜戦隊ナイトレンジャーのレビューを書いていた五代は『何すか?! 今、手が離せねーんすけど?!』と朱羅の様子にも気づかず、軽く返した。
「今、あの男が話していた内容は本当ですか?」
『ちょい待ちー』
五代は陽斗達の記憶を辿り、現在の状況を理解した途端、無言になった。
『……』
「どういうことか説明して頂けますか? 五代殿の話では、黒縄様も村人を襲っていたとのことでしたよね?」
五代は暫く無言を貫いた後、小声で『……ごめんちゃい』と謝った。
『どうもそのデカブツの言う通りみたいっす。だって黒縄氏の主観だと、めっちゃ家壊してるように見えたからさぁ……まさか地獄八鬼8人に対して、たった1人で立ち向かってたなんて思わないじゃん? やっぱ主観情報だけじゃ、情報量が足んないよネー。あはは……』
五代は誤魔化すようにスマホの向こうで、力なく笑う。しかし彼は止めなく伝わってくる朱羅の心の声に、震えていた。
「……そうですか。お手数かけて申し訳ありません。もうよろしいですよ。どうぞ、作業にお戻りになって下さい」
朱羅は淡々とそう告げると、スマホを通話状態に保ったまま、胸ポケットへ仕舞った。
『え、なんか怖い……朱羅氏、もしかして俺つんにオコだったりする? そうだよね? 絶対そうだよね? な、なんかすみません』
スマホが胸ポケットに仕舞われた後も五代は謝っていたが、朱羅は聴こえていないのか無視しているのか、答えなかった。
朱羅は無表情のまま、武仭山鉄衣に礼を言った。
「ありがとうございます。お陰で真実を知ることが出来ました。ご協力、感謝いたします」
「お、おぉそうか。良かったのう」
「えぇ」
朱羅は目に憎悪を宿したまま、口角を上げて笑みを作った。その瞬間、彼の茶色い瞳が金色に変わった。
直後、武仭山鉄衣の腹に朱羅の拳が入った。「めきっ」と何かが折れる音が陽斗の耳にも聞こえた。
武仭山鉄衣は朱羅の動きに追いつけず、その場に膝をつく。
「ガッ……!」
彼が腹に手を当てて身を屈めると、すかさず朱羅は彼の両腕に向かって両手を振り下ろし、骨を折った。続けて彼の両足の骨も軽く蹴りつけ、折っておく。
武仭山鉄衣は身動きが取れなくなり、床へ崩れ落ちた。
「お、お主……何だ、その力は?! 半分人間の半端者ではなかったのか?!」
圧倒的な力を前に、武仭山鉄衣は苦痛に顔を歪めながら声を絞り出し、朱羅に尋ねた。
朱羅は彼のカゴから自身の金棒を取り出し、状態を確認しながら答えた。
「仰る通り、半端者ですよ。妖力も弱いし、術だって使えない」
ただ、と朱羅は武仭山鉄衣の首を掴み、彼を冷たく見下ろした。
「体が丈夫なのが取り柄でしてね、不思議と力が湧いてくるのですよ」
朱羅はそのまま武仭山鉄衣の首を引っ張り、出口に向かった。陽斗も後をついていこうとしたが、『ついていっちゃダメだ!』とポケットに入れていたスマホから聞こえた五代の声に足を止められた。
「ど、どうして?」
『陽斗氏の心臓に悪いからさ。ドッキリびっくり衝撃映像って奴だよ。陽斗氏はここで大人しく、深夜戦隊ナイトレンジャーを観ているといい』
陽斗は朱羅が心配だったが、持ち場を離れることも出来ず、その場に留まることにした。
出口から出ていく直前、朱羅は陽斗を振り返って微笑んだ。
「では、少々お待ち下さい」
彼の額には血のように真っ赤なツノが1本、生えていた。
・
映画が終わり、陽斗が館内を掃除していると、朱羅が1人で戻ってきた。額にツノはなく、目の色も戻っていたが、何故か右手が真っ赤に腫れていた。持っている金棒も、油を塗ったのかと思うほどテラテラと輝いている。
「どうしたの、朱羅さん! さっきの鬼にやられたの?!」
慌てて陽斗は朱羅へ駆け寄り、彼の手をハンカチで包んだ。
どこか虚な目をしていた朱羅はそこで意識が正常に戻り、「大丈夫ですよ」と微笑んだ。
「少々熱が入ってしまっただけですから。この程度の腫れなら、すぐに治ります。それより、映画はどうなりました?」
「レッドは戦隊ヒーローに就職して、世界を救ったよ。その後にヒロインの女の子に告白したんだけど、“年収100億の男じゃないと嫌”って振られちゃったんだ。でも、ずっとレッドのファンだった女の子と結婚して、幸せな家庭を築いたんだよ。いい話だよねぇ」
「それはおめでたい! 何故あんなにもお客様が少なかったのか、不思議ですね」
「ホントだねぇ」
陽斗と朱羅は不思議そうに首を傾げたが、ネットのレビューサイトでは非難轟々だった。
陽斗達と一緒に映画を聞いていた五代も評価を1にし、『まごう事なきクソ映画。金と時間を返して欲しい』と感想を投稿していた。
「そういえば、朱羅さんこれからどうするの? 黒縄さん、仇じゃなかったんでしょ?」
朱羅に後ろで一連の話を聞いていた陽斗は、不安げに尋ねた。もし彼が「戻る」と答えたら、蒼劔に戻ってきてもらうつもりだった。
しかし朱羅は「関係ありません」と首を振った。
「黒縄様が仇でないとしても、今のあの方が行おうとしていることは間違っています。私には従者として、主人の行いを正す役目があります。それを全うするまでは、私は陽斗殿のボディガードです」
「朱羅さん……」
陽斗は安心したように笑みを浮かべた。
五代も陽斗のスマホから2人の会話を聞いていたが、朱羅が映画館を出て戻ってくるまでに何をしていたのか読み取ってしまい、その記憶を抹消しようと魔法少女もののアニソンを聴きまくっていた。
『知らない……俺は知らない……なんも見てないし聞いてない……でも暫くはお肉、食べれないかも』
・
その後、映画館のゴミ捨て場で大量の武器が捨てられているのが発見された。警察も駆けつけ、ちょっとした騒動にはなったが、結局いつ誰が捨てたのかまでは分からず、死傷者も見つからなかったため、「謎の珍事件」として処理された。
しかし、一部の人達がそこで山伏の格好をした男の死体を見たという証言が続出し、「謎の珍事件」は「山伏の男の怪談」として広まっていった。
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