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第二章
囚われちゃう私
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ある日、久美に誘われてMBTI診断というものをやってみたことがある。人の性格を16タイプに分類するというテストだ。
私はINFJで提唱者という属性らしい。
誠実性の高い感覚の持ち主で、面倒見がよく創造力があるというもので、最近話題のHSP「繊細さん」もINFJに多いみたいだ。
私は人から頼まれたら絶対に断れない。
良く言えばお人好し、悪く言えば嫌われる勇気が無い。
一緒に診断を受けた久美は、INFP(仲介者)で、深く物事を感じ取り、他者への共感が深い性格らしい。うん、当たっている。
桃香や陽斗はEから始まる、所謂外向的な人のことで、私は彼女達を良い意味で同じ人間とは思えない。常に明るく視野が広い。彼女達にも悩みはあるだろうが、必要以上にクヨクヨしない。私が何回人生リセットしても手に入れることの出来ない輝きを放っている。
何回も明るい自分になれるよう努力した。
しかし、それは徒労に終わった。性格は努力で変えようとしても、形状記憶している為、また元に戻る。
MBTIを終えた後、自分の性格について一日中考えた。いつからこんな自分になったのだろう。
小学校低学年までは目立ちたがり屋で、明るい性格をしていた私。
(あっ...。あの時だ。)
沙夜の両親は沙夜が小学二年生の時に離婚している。ママは平日会社員をしており、休日は知り合いのごはん屋さんを手伝い、沙夜の生活を支えてくれている。
離婚した責任を感じたのか躾に厳しくなり、俗に言う教育ママになった。
小学校から塾や習い事をみっちり入れ、交友関係、門限にも厳しかった。
いつしかママと喧嘩が絶えなくなり、居心地も悪くなっていた。本当は大好きなのに素直になれない。
学校から帰り、私服に着替えた沙夜はあることを思い出した。
「明日は母の日だ...。」
沙夜はそう呟くと、学習机に置いてあるブタの貯金箱を割った。三万二千円。
ママにバイトを制限されていた沙夜は、いざという時の為に、小遣いをコツコツ貯めていた。
(少し早いけど、プレゼント渡そう...。)
急いで家を飛び出した沙夜は、街の家電量販店に向かった。
いつも自分の肩や背中を叩いて、辛そうにしているママにマッサージ機をプレゼントしよう。そう思った沙夜は、手が届く値段のクッション型マッサージ機を買った。
家に着いた沙夜は、リビングの照明が付いていることを確認し、サプライズとばかりに扉を開ける。
「じゃーん!ママ買ってきたよ!」
「じゃーんじゃないわよ!何時だと思ってるの?」
予想していたリアクションじゃない。
「こ、これプレゼントなのに...。」
「また、無駄遣いして!」
「ママなんか大嫌い!」
「沙夜!待ちなさい!」
沙夜は丁寧にラッピングされたマッサージ機を床に叩きつけ、急いで階段を上がり自分の部屋に入った。
心が不安定な時は"あれ"に頼るしか無い。
部屋にコーラしか置いていなかった為、それでいつもの量の薬を流し込んだ。
心地よい炭酸のピリピリが食道を通るのを感じながら、沙夜は深い眠りについた。
あれからどれだけの時間が経過したのだろう。
「沙夜!大丈夫?私が悪かったから!」
私の身体を揺すりながら、そう叫ぶ母の後ろには、いつものように自分が首を吊っていた。
私はINFJで提唱者という属性らしい。
誠実性の高い感覚の持ち主で、面倒見がよく創造力があるというもので、最近話題のHSP「繊細さん」もINFJに多いみたいだ。
私は人から頼まれたら絶対に断れない。
良く言えばお人好し、悪く言えば嫌われる勇気が無い。
一緒に診断を受けた久美は、INFP(仲介者)で、深く物事を感じ取り、他者への共感が深い性格らしい。うん、当たっている。
桃香や陽斗はEから始まる、所謂外向的な人のことで、私は彼女達を良い意味で同じ人間とは思えない。常に明るく視野が広い。彼女達にも悩みはあるだろうが、必要以上にクヨクヨしない。私が何回人生リセットしても手に入れることの出来ない輝きを放っている。
何回も明るい自分になれるよう努力した。
しかし、それは徒労に終わった。性格は努力で変えようとしても、形状記憶している為、また元に戻る。
MBTIを終えた後、自分の性格について一日中考えた。いつからこんな自分になったのだろう。
小学校低学年までは目立ちたがり屋で、明るい性格をしていた私。
(あっ...。あの時だ。)
沙夜の両親は沙夜が小学二年生の時に離婚している。ママは平日会社員をしており、休日は知り合いのごはん屋さんを手伝い、沙夜の生活を支えてくれている。
離婚した責任を感じたのか躾に厳しくなり、俗に言う教育ママになった。
小学校から塾や習い事をみっちり入れ、交友関係、門限にも厳しかった。
いつしかママと喧嘩が絶えなくなり、居心地も悪くなっていた。本当は大好きなのに素直になれない。
学校から帰り、私服に着替えた沙夜はあることを思い出した。
「明日は母の日だ...。」
沙夜はそう呟くと、学習机に置いてあるブタの貯金箱を割った。三万二千円。
ママにバイトを制限されていた沙夜は、いざという時の為に、小遣いをコツコツ貯めていた。
(少し早いけど、プレゼント渡そう...。)
急いで家を飛び出した沙夜は、街の家電量販店に向かった。
いつも自分の肩や背中を叩いて、辛そうにしているママにマッサージ機をプレゼントしよう。そう思った沙夜は、手が届く値段のクッション型マッサージ機を買った。
家に着いた沙夜は、リビングの照明が付いていることを確認し、サプライズとばかりに扉を開ける。
「じゃーん!ママ買ってきたよ!」
「じゃーんじゃないわよ!何時だと思ってるの?」
予想していたリアクションじゃない。
「こ、これプレゼントなのに...。」
「また、無駄遣いして!」
「ママなんか大嫌い!」
「沙夜!待ちなさい!」
沙夜は丁寧にラッピングされたマッサージ機を床に叩きつけ、急いで階段を上がり自分の部屋に入った。
心が不安定な時は"あれ"に頼るしか無い。
部屋にコーラしか置いていなかった為、それでいつもの量の薬を流し込んだ。
心地よい炭酸のピリピリが食道を通るのを感じながら、沙夜は深い眠りについた。
あれからどれだけの時間が経過したのだろう。
「沙夜!大丈夫?私が悪かったから!」
私の身体を揺すりながら、そう叫ぶ母の後ろには、いつものように自分が首を吊っていた。
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