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第14話 エドワード様の帰還
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「え、もう隣国へ帰られたんですか?」
この日の午前中。私は魔法薬の入った木箱を持って野戦病院に訪れていた。負傷兵の数は昨日と比べると少し減ったように思ったので近くにいた衛生兵に何かあったのかと尋ねると、昨日の夕方にエドワード様と回復した兵併せて数十人程が隣国へと帰還したのだと教えてくれた。
「そうだったんですか……」
「そうなんです。なんでも王太子は隣国での公務に戻られる必要があるとかで……それにさっき停戦協定に合意したとかで一旦は戦争は休止になりました。なので負傷兵の数も落ち着くでしょう」
「なるほど。それなら良いのですが」
この野戦病院はそのまま野戦病院として残しておく事も決まったそうだ。たまたま近くを通りがかった衛生兵を統括する人物に魔法薬を持ってきた事を伝えると、持ってきた魔法薬のうち半分ほどで良いと言われた。
「わかりました」
彼が指示する場所に魔法薬を置き、私は徒歩で屋敷に戻った。
エドワード様と出来れば挨拶したかったが、こればっかりは仕方ない。
(私が王宮にいる時に帰ったんだな……)
次またエドワード様と会える日が来るだろうか。いや、そんな日はもうないかもしれない。私は侯爵の血こそ引くが薬師の資格を持つただのメイドの端くれだ。身分が違い過ぎる。
屋敷に戻る道中。私はやはり気になったので再び野戦病院に戻り、エドワード様がいた個室に入る。そこには勿論誰もいなかった。
「ああ……」
シーツの敷かれたベッドこそあるが毛布は無い。窓もしっかりと施錠されている。暗くてエドワード様がいた痕跡は跡形もなくなくなっていた。
「……」
(いなくなってしまった)
なんでだろう。ただエドワード様がいなくなっただけで胸がこんなにも苦しい。それに早くエドワード様にお会いしたいという気持ちが湧いてくる。
もしかして私、エドワード様を好きになってしまったのだろうか。
(こんな私では、結ばれるわけがないというのに。無駄なのに……)
身分違いな事も何もかも理解しているはずなのに、エドワード様を欲している。早く会って、あの夜にした事をもう一度したい。彼との交わりを想像しただけで下腹部が熱くなるのと同時に胸の中が苦しくなって泣きそうになって来る。
「……エドワード様……」
ここまで自分が熱く感情をコントロールできなくなるのは初めてかもしれない。私はその場から立ち去りながらあふれ出る涙を両手の甲で数回拭ったのだった。
(早く、早くエドワード様にお会いしたい……)
屋敷に戻り、工場に入る時レゼッタとばったりと鉢合わせしてしまった。こういうタイミングの悪い時に限ってと思っていると、彼女はにたりと笑いながらお姉様? と口を開く。
「いかがなさいましたか?」
「私、エドワード様をお助けした事を国王陛下に話した。と言った事覚えている?」
「はい。何かありました?」
「それで今度国王陛下の仲介でエドワード様と会わせてくれる事になったの!」
「え?」
もしかして、またエドワード様と会えるのだろうか。
この日の午前中。私は魔法薬の入った木箱を持って野戦病院に訪れていた。負傷兵の数は昨日と比べると少し減ったように思ったので近くにいた衛生兵に何かあったのかと尋ねると、昨日の夕方にエドワード様と回復した兵併せて数十人程が隣国へと帰還したのだと教えてくれた。
「そうだったんですか……」
「そうなんです。なんでも王太子は隣国での公務に戻られる必要があるとかで……それにさっき停戦協定に合意したとかで一旦は戦争は休止になりました。なので負傷兵の数も落ち着くでしょう」
「なるほど。それなら良いのですが」
この野戦病院はそのまま野戦病院として残しておく事も決まったそうだ。たまたま近くを通りがかった衛生兵を統括する人物に魔法薬を持ってきた事を伝えると、持ってきた魔法薬のうち半分ほどで良いと言われた。
「わかりました」
彼が指示する場所に魔法薬を置き、私は徒歩で屋敷に戻った。
エドワード様と出来れば挨拶したかったが、こればっかりは仕方ない。
(私が王宮にいる時に帰ったんだな……)
次またエドワード様と会える日が来るだろうか。いや、そんな日はもうないかもしれない。私は侯爵の血こそ引くが薬師の資格を持つただのメイドの端くれだ。身分が違い過ぎる。
屋敷に戻る道中。私はやはり気になったので再び野戦病院に戻り、エドワード様がいた個室に入る。そこには勿論誰もいなかった。
「ああ……」
シーツの敷かれたベッドこそあるが毛布は無い。窓もしっかりと施錠されている。暗くてエドワード様がいた痕跡は跡形もなくなくなっていた。
「……」
(いなくなってしまった)
なんでだろう。ただエドワード様がいなくなっただけで胸がこんなにも苦しい。それに早くエドワード様にお会いしたいという気持ちが湧いてくる。
もしかして私、エドワード様を好きになってしまったのだろうか。
(こんな私では、結ばれるわけがないというのに。無駄なのに……)
身分違いな事も何もかも理解しているはずなのに、エドワード様を欲している。早く会って、あの夜にした事をもう一度したい。彼との交わりを想像しただけで下腹部が熱くなるのと同時に胸の中が苦しくなって泣きそうになって来る。
「……エドワード様……」
ここまで自分が熱く感情をコントロールできなくなるのは初めてかもしれない。私はその場から立ち去りながらあふれ出る涙を両手の甲で数回拭ったのだった。
(早く、早くエドワード様にお会いしたい……)
屋敷に戻り、工場に入る時レゼッタとばったりと鉢合わせしてしまった。こういうタイミングの悪い時に限ってと思っていると、彼女はにたりと笑いながらお姉様? と口を開く。
「いかがなさいましたか?」
「私、エドワード様をお助けした事を国王陛下に話した。と言った事覚えている?」
「はい。何かありました?」
「それで今度国王陛下の仲介でエドワード様と会わせてくれる事になったの!」
「え?」
もしかして、またエドワード様と会えるのだろうか。
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