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第75話 一方その頃の現実世界
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◇ ◇ ◇
乙音が意識を手放している間、彼女の命を救うべく医者達は必死の処置を行っていた。アルグレートも同席し必要があれば魔力を医者達に回し続ける。
乙音の身体から出血したのは双子の胎児の魔力が暴走した為。これは人間の女性が母体となっている時且つ陣痛と破水が起きた出産間近のタイミングで稀に起こる現象なのだが、確率で言うと大体0.1%ほどのもの。それと乙音にはまだ出産の兆候が見られなかったために、これまで順調に来ていた医者達は乙音の母体で胎児の魔力暴走が起こる可能性を排除してしまっていたのだった。
「まだ子宮口は開いていないのに、なぜ魔力暴走が……?」
「私どもも驚いております。まさかこのタイミングで起こるとは……胎児はどちらともアルグレート様以上の魔力量になるかもしれません」
「なっ……オトネ頼む。無事でいてくれ! 俺の魔力ならどんどん回す! 魔力をオトネの胎の中に注ぎ込んで中和させろ!」
「はっ! 仰せのままに!」
魔力暴走の処置のひとつに、父親の魔力を母体に移すというものがある。専用のチューブ型の魔法道具を血圧測定器のように腕に巻いて使い、魔力を回すのだ。父親だけでは賄いきれない場合、同じ種族の者が追加で魔力を回す事もある。
そしてこの暴走により、乙音が身ごもっている双子はどちらとも竜人である事が判明。竜人はただでさえ無尽蔵の魔力を誇る亜人最強種。その魔力暴走はひとたび起こればほぼ確実に母体を死に至らしめる。
「まだ血が止まらないぞ! これ以上出血すればオトネ様が危ない!」
「輸血パック! 輸血パックを更に用意しろ!」
ちなみにアルグース帝国にも輸血という概念及び治療法は存在するが、魔法が関わっている部分が乙音やアナスタシアらがいた世界とは異なっている。
「アルグレート様、顔色が」
「俺は大丈夫だ。竜人の魔力は無尽蔵だからな」
だがこれはアルグレートの強がり。いきなり乙音の胎児が魔力暴走となり乙音が死地をさまよっているというショックだけでなく、魔力をガンガン後先考えずに回している事から疲労はすでにかなり溜まっている。
「まだ中和されないか……!」
「双子なので、中々中和されないのかもしれません……!」
「ぐっ、諦めるか! オトネとオトネと俺のかわいい子の為にも……!」
歯を食いしばり目を見開くアルグレート。だが誰の目から見ても疲労が溜まっているのは明らかだったがここで彼を止めるのは戦力的なものと彼のプライドからして不可能だった。
ここでメイドのひとりがある考えに至る。
「……マリア様も応援に駆けつけてくださるようにお願いすれば……」
そう。マリアも竜人なので魔力は申し分ない。マリアが加わればマリアとアルグレートの2人で魔力を回せるようになるのでアルグレートの負担も減る。
「そうね。その方がいいわ……」
「……アルグレート様には気づかれないように……」
と、彼から離れた場所で話し合う3人のメイドは覚悟を決めると部屋を飛び出してその足でオフスキー家の屋敷へと向かった。
当のマリアは屋敷の中庭で紅茶を飲んでいる最中である。赤いバラが咲き乱れた中庭は四方八方を屋敷の石壁に囲まれており、まるで秘密基地のようなミステリアスで幻想的な雰囲気を漂わせていた。
屋敷に入ったメイド3人はオフスキー家のメイドに事態を簡略に伝えると、すぐさまマリアの元へと説明しに行った。
「オトネ様が? うそでしょ……わかりましたわ。参ります」
紅茶を飲み干しティーカップを置きかつかつと靴音を鳴らしながらマリアは中庭から出ていく。
「すぐに馬車を用意してくださいまし」
「かしこまりました、マリアお嬢様」
用意された馬車に乗り込んだマリアは、グスタフ家の屋敷に到着すると彼女の元へとやってきたメイド3人の案内を受けて乙音がいる部屋に入った。
「こちらですわね! アルグレート様、助太刀に参りましたわ」
まさかマリアが来ると思ってみなかったアルグレートは一瞬口をぽかんと開けた。だがそこは年季の入った関係の2人。それにマリアを呼んだメイド3人とも目が合ったアルグレートはすぐさまマリアが来た意味を理解し彼女へと頭を下げる。
「すまないマリア! 魔力を回すのを手伝っていただけないか? 俺はオトネを失いたくない。大事な人を失うのは嫌だ!」
「勿論でございますわ。さあ、参ります!」
2人はありったけの魔力を乙音の胎めがけて注ぎ込む。彼女の生還と双子の誕生を祈って。
「! 破水だ! もう出産の兆候が表れてきたぞ!」
魔力が中和されはじめたのと同時に、なんと母体は破水を迎えた。乙音が気を失ったまま出産を迎えようとしていると言う事で屋敷中が騒然となる。
「オトネ、頑張れ! あと少しだ!」
「オトネ様しっかり! 頑張って!」
乙音が意識を手放している間、彼女の命を救うべく医者達は必死の処置を行っていた。アルグレートも同席し必要があれば魔力を医者達に回し続ける。
乙音の身体から出血したのは双子の胎児の魔力が暴走した為。これは人間の女性が母体となっている時且つ陣痛と破水が起きた出産間近のタイミングで稀に起こる現象なのだが、確率で言うと大体0.1%ほどのもの。それと乙音にはまだ出産の兆候が見られなかったために、これまで順調に来ていた医者達は乙音の母体で胎児の魔力暴走が起こる可能性を排除してしまっていたのだった。
「まだ子宮口は開いていないのに、なぜ魔力暴走が……?」
「私どもも驚いております。まさかこのタイミングで起こるとは……胎児はどちらともアルグレート様以上の魔力量になるかもしれません」
「なっ……オトネ頼む。無事でいてくれ! 俺の魔力ならどんどん回す! 魔力をオトネの胎の中に注ぎ込んで中和させろ!」
「はっ! 仰せのままに!」
魔力暴走の処置のひとつに、父親の魔力を母体に移すというものがある。専用のチューブ型の魔法道具を血圧測定器のように腕に巻いて使い、魔力を回すのだ。父親だけでは賄いきれない場合、同じ種族の者が追加で魔力を回す事もある。
そしてこの暴走により、乙音が身ごもっている双子はどちらとも竜人である事が判明。竜人はただでさえ無尽蔵の魔力を誇る亜人最強種。その魔力暴走はひとたび起こればほぼ確実に母体を死に至らしめる。
「まだ血が止まらないぞ! これ以上出血すればオトネ様が危ない!」
「輸血パック! 輸血パックを更に用意しろ!」
ちなみにアルグース帝国にも輸血という概念及び治療法は存在するが、魔法が関わっている部分が乙音やアナスタシアらがいた世界とは異なっている。
「アルグレート様、顔色が」
「俺は大丈夫だ。竜人の魔力は無尽蔵だからな」
だがこれはアルグレートの強がり。いきなり乙音の胎児が魔力暴走となり乙音が死地をさまよっているというショックだけでなく、魔力をガンガン後先考えずに回している事から疲労はすでにかなり溜まっている。
「まだ中和されないか……!」
「双子なので、中々中和されないのかもしれません……!」
「ぐっ、諦めるか! オトネとオトネと俺のかわいい子の為にも……!」
歯を食いしばり目を見開くアルグレート。だが誰の目から見ても疲労が溜まっているのは明らかだったがここで彼を止めるのは戦力的なものと彼のプライドからして不可能だった。
ここでメイドのひとりがある考えに至る。
「……マリア様も応援に駆けつけてくださるようにお願いすれば……」
そう。マリアも竜人なので魔力は申し分ない。マリアが加わればマリアとアルグレートの2人で魔力を回せるようになるのでアルグレートの負担も減る。
「そうね。その方がいいわ……」
「……アルグレート様には気づかれないように……」
と、彼から離れた場所で話し合う3人のメイドは覚悟を決めると部屋を飛び出してその足でオフスキー家の屋敷へと向かった。
当のマリアは屋敷の中庭で紅茶を飲んでいる最中である。赤いバラが咲き乱れた中庭は四方八方を屋敷の石壁に囲まれており、まるで秘密基地のようなミステリアスで幻想的な雰囲気を漂わせていた。
屋敷に入ったメイド3人はオフスキー家のメイドに事態を簡略に伝えると、すぐさまマリアの元へと説明しに行った。
「オトネ様が? うそでしょ……わかりましたわ。参ります」
紅茶を飲み干しティーカップを置きかつかつと靴音を鳴らしながらマリアは中庭から出ていく。
「すぐに馬車を用意してくださいまし」
「かしこまりました、マリアお嬢様」
用意された馬車に乗り込んだマリアは、グスタフ家の屋敷に到着すると彼女の元へとやってきたメイド3人の案内を受けて乙音がいる部屋に入った。
「こちらですわね! アルグレート様、助太刀に参りましたわ」
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