異世界転移した処女看護師と竜人公爵様の子作り契約婚

二位関りをん

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第67話 一方その頃のアルグレート④

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 アルグレートは書斎にて、ツォルグと執務にあたっていた。彼は公爵として領地経営を抜かりなく執り行わなければならない。もし何かやらかしたら公爵の座を取り上げられ平民となってしまう。

「アルグレート様、次はこちらでございます」
「ん、エイティン家からまた野菜を送るだと?」
「おや、どうやら実家からの書類でございましたか。これはこれは」
「いや君わかっていただろう。嘘をつくんじゃない」

 エイティン家。五大公爵家の中のひとつでツォルグの実家。アルグレート曰くお人よしの多いこの一族は子だくさんでも有名である。どうやら代々多産の加護があるのと、三つ子や双子が生まれて来る確率が高い事、妾腹など関係なく認知し子を育てる事、そして竜人ではない孤児みなしごや乙音のような異世界転移者に貴族の妾の子の一部を養子に迎え入れて援助している事でも知られている。
 一応竜人という事で基本番は異世界転移者の女性である事が多いのだが、それにしてもこの多さは尋常ではないと言えるだろう。

(屋敷はいつも賑やかでしたねぇ、兄達から遊びを教えてもらう事もありました)

 そしてツォルグはエイティン家の10番目の子。当然兄達がたくさんいる為跡継ぎでもない彼は案外のびのびと育った。そしてある時執事の仕事に興味を持ち、そしてアルグレートの執事となったのである。彼が執事になった事でグスタフ家とエイティン家は更に強い繋がりを持つようになった。

「ツォルグ、実家には顔を出さなくて良いのか?」
「アルグレート様、お気遣いありがとうございます。その点についてはご心配なく」
「そう言われても俺は君の主だ。心配してしまうものでな」
「……オトネ様が来られてから、アルグレート様はますます慈悲深くなりましたね」

 アルグレートの脳内には乙音の顔がよぎる。本当なら彼女をこの世界に引き留めたいし、出来る事なら彼女の元へとついていきたいし死ぬまで共にいたい。アルグレートはそう考えていた。しかし無理に引き留めるのは乙音の為にはならないし、己が乙音の世界に行く事は非常に危険である事も知っている。
 
(……オトネは今頃何をしているのだろうか)

 アルグレートは敢えて、乙音を見守る事に徹し続ける。今すぐ抱き締めて、独占して、愛を囁いて、溺れるほど肉欲を味わい尽くしたいという欲望を胸の奥にしまい続けている。

(本当なら、この世界に留まってほしい。今すぐにでも抱き締めたいけど、それはダメだ。オトネ自身が決める事なのだから俺があれこれ横やりを入れるのはダメだ……)
「アルグレート様、どうされましたか?」
「? ああ、いや……少々ぼうっとしていた」
「そうでございますか。では、こちらを……」

 ツォルグはアルグレートがぼうっとしていたのは乙音を思い浮かべていた事を理解している。だが、言葉に出すのは野暮だと判断し、何も言わなかったのだ。
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