異世界転移した処女看護師と竜人公爵様の子作り契約婚

二位関りをん

文字の大きさ
65 / 78

第64話 ごめんね、添い寝は出来ないや

しおりを挟む
「これで以上になります」
「代読ありがとうございます」

 メイドが去っていくのを見届けると、外の景色は雲で覆われてちょっと暗くなってきた。照明をつけるか否か迷う暗さだけど、めんどくさいからこのままにしておこう。

「自分で考えろ、か」

 無難ともいえる返信内容が記された手紙を、私はベッド横の机の引き出しの中に入れた。アルグレートには見せなくていいだろう。
 
「自分ではわからないから手紙書いたのになあ……」

 彼女達に答えを出してもらおうなんておこがましいのは十分理解しているけど、自分で考えろと言われた事に対してがっかりした気分もある。でも今の脳みそではいくら考えたって良い考えは浮かんでこない。

「アルグレートも向こうへ連れてく? でもそれだとグスタフ公爵家に迷惑をかけちゃうし……」
 
 結局答えが出ないまま、そしてアルグレートと話を切り出せないまま時間だけが過ぎ去っていった。

◇ ◇ ◇

 自堕落ともいえる日々を過ごし、いよいよ安定期に突入した。つわり専用の魔法薬ともおさらばしたが代わりにおなかが目立ってきている。なので着ているドレスも締め付けが弱めでお腹も目立ちにくいデザインのものになっている。

「おはようございます。オトネ様。今日もよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」

 今朝も日勤のメイド達から挨拶を受けた。食欲はつわりが収まったタイミングで増え、毎日のように朝食をおかわりしてしまっている。う~ん、食べ過ぎはよくないけど食欲にブレーキが利かないんだよね。

「オトネ様、こちらもしよろしければ目を通してみてくださいとアルグレート様からのお達しでございます」

 アルグレートからというパンフレットには、丘を歩く妊婦の姿が描かれている。

「これは……」
「散歩ですね。アルグース帝国では妊婦の健康法のひとつでもあります。田舎の爽やかな空気を吸いながら散歩するのが良いのだとか」

 確かに運動も大事だもんね、屋敷の周りをウォーキングしてみようか……。
 すると部屋の外から入るぞ。と彼の声が聞こえてくる。

「どうぞ~」
「オトネ、失礼するぞ。良かったら俺と近くの丘でも歩いてみないか?」
「いいよ、ぜひぜひ!」
「それと……今日の夜からまた一緒に寝たい」

 私はこれまでアルグレートと別れて自室で眠ってたが、安定期に突入した事で医者からの許可が降り、ツォルグさんとも相談した結果、添い寝だけなら大丈夫という事になったらしい。 
 でも、私はそんな気にはなれなかった。

「ごめん、それはやめておく」
「どうしてだ?」
「だって……これは契約婚だから」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

『階段対策会議(※恋愛)――年上騎士団長の健康管理が過剰です』

星乃和花
恋愛
【完結済:全9話】 経理兼給仕のクラリスは、騎士団で働くただの事務員――のはずだった。 なのに、年上で情緒に欠ける騎士団長グラントにある日突然こう言われる。 「君は転倒する可能性がある。――健康管理対象にする」 階段対策会議、動線の変更、手をつなぐのは転倒防止、ストール支給は防寒対策。 全部合理的、全部正しい。……正しいはずなのに! 「頬が赤い。必要だ」 「君を、大事にしたい」 真顔で“強い言葉”を投下してくる団長に、乙女心を隠すクラリスの心拍数は業務超過。 さらに副団長ローレンは胃薬片手に「恋は会議にするな!!」と絶叫中!? これは健康管理?それとも恋愛? ――答え合わせの前に、まず“階段(概念)“をご確認ください。

屋上の合鍵

守 秀斗
恋愛
夫と家庭内離婚状態の進藤理央。二十五才。ある日、満たされない肉体を職場のビルの地下倉庫で慰めていると、それを同僚の鈴木哲也に見られてしまうのだが……。

処理中です...