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第64話 ごめんね、添い寝は出来ないや
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「これで以上になります」
「代読ありがとうございます」
メイドが去っていくのを見届けると、外の景色は雲で覆われてちょっと暗くなってきた。照明をつけるか否か迷う暗さだけど、めんどくさいからこのままにしておこう。
「自分で考えろ、か」
無難ともいえる返信内容が記された手紙を、私はベッド横の机の引き出しの中に入れた。アルグレートには見せなくていいだろう。
「自分ではわからないから手紙書いたのになあ……」
彼女達に答えを出してもらおうなんておこがましいのは十分理解しているけど、自分で考えろと言われた事に対してがっかりした気分もある。でも今の脳みそではいくら考えたって良い考えは浮かんでこない。
「アルグレートも向こうへ連れてく? でもそれだとグスタフ公爵家に迷惑をかけちゃうし……」
結局答えが出ないまま、そしてアルグレートと話を切り出せないまま時間だけが過ぎ去っていった。
◇ ◇ ◇
自堕落ともいえる日々を過ごし、いよいよ安定期に突入した。つわり専用の魔法薬ともおさらばしたが代わりにおなかが目立ってきている。なので着ているドレスも締め付けが弱めでお腹も目立ちにくいデザインのものになっている。
「おはようございます。オトネ様。今日もよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
今朝も日勤のメイド達から挨拶を受けた。食欲はつわりが収まったタイミングで増え、毎日のように朝食をおかわりしてしまっている。う~ん、食べ過ぎはよくないけど食欲にブレーキが利かないんだよね。
「オトネ様、こちらもしよろしければ目を通してみてくださいとアルグレート様からのお達しでございます」
アルグレートからというパンフレットには、丘を歩く妊婦の姿が描かれている。
「これは……」
「散歩ですね。アルグース帝国では妊婦の健康法のひとつでもあります。田舎の爽やかな空気を吸いながら散歩するのが良いのだとか」
確かに運動も大事だもんね、屋敷の周りをウォーキングしてみようか……。
すると部屋の外から入るぞ。と彼の声が聞こえてくる。
「どうぞ~」
「オトネ、失礼するぞ。良かったら俺と近くの丘でも歩いてみないか?」
「いいよ、ぜひぜひ!」
「それと……今日の夜からまた一緒に寝たい」
私はこれまでアルグレートと別れて自室で眠ってたが、安定期に突入した事で医者からの許可が降り、ツォルグさんとも相談した結果、添い寝だけなら大丈夫という事になったらしい。
でも、私はそんな気にはなれなかった。
「ごめん、それはやめておく」
「どうしてだ?」
「だって……これは契約婚だから」
「代読ありがとうございます」
メイドが去っていくのを見届けると、外の景色は雲で覆われてちょっと暗くなってきた。照明をつけるか否か迷う暗さだけど、めんどくさいからこのままにしておこう。
「自分で考えろ、か」
無難ともいえる返信内容が記された手紙を、私はベッド横の机の引き出しの中に入れた。アルグレートには見せなくていいだろう。
「自分ではわからないから手紙書いたのになあ……」
彼女達に答えを出してもらおうなんておこがましいのは十分理解しているけど、自分で考えろと言われた事に対してがっかりした気分もある。でも今の脳みそではいくら考えたって良い考えは浮かんでこない。
「アルグレートも向こうへ連れてく? でもそれだとグスタフ公爵家に迷惑をかけちゃうし……」
結局答えが出ないまま、そしてアルグレートと話を切り出せないまま時間だけが過ぎ去っていった。
◇ ◇ ◇
自堕落ともいえる日々を過ごし、いよいよ安定期に突入した。つわり専用の魔法薬ともおさらばしたが代わりにおなかが目立ってきている。なので着ているドレスも締め付けが弱めでお腹も目立ちにくいデザインのものになっている。
「おはようございます。オトネ様。今日もよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
今朝も日勤のメイド達から挨拶を受けた。食欲はつわりが収まったタイミングで増え、毎日のように朝食をおかわりしてしまっている。う~ん、食べ過ぎはよくないけど食欲にブレーキが利かないんだよね。
「オトネ様、こちらもしよろしければ目を通してみてくださいとアルグレート様からのお達しでございます」
アルグレートからというパンフレットには、丘を歩く妊婦の姿が描かれている。
「これは……」
「散歩ですね。アルグース帝国では妊婦の健康法のひとつでもあります。田舎の爽やかな空気を吸いながら散歩するのが良いのだとか」
確かに運動も大事だもんね、屋敷の周りをウォーキングしてみようか……。
すると部屋の外から入るぞ。と彼の声が聞こえてくる。
「どうぞ~」
「オトネ、失礼するぞ。良かったら俺と近くの丘でも歩いてみないか?」
「いいよ、ぜひぜひ!」
「それと……今日の夜からまた一緒に寝たい」
私はこれまでアルグレートと別れて自室で眠ってたが、安定期に突入した事で医者からの許可が降り、ツォルグさんとも相談した結果、添い寝だけなら大丈夫という事になったらしい。
でも、私はそんな気にはなれなかった。
「ごめん、それはやめておく」
「どうしてだ?」
「だって……これは契約婚だから」
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