異世界転移した処女看護師と竜人公爵様の子作り契約婚

二位関りをん

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第16話 そりゃあ元の世界に戻りたいけど

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「あなたは誰ですか?」

 なんか見る限り怪しい気もするけど。

「ああ、はじめまして! 僕はソワレと申します!」
「は、はじめまして……」
「あなた、人間だよね? ああ、ここでは話しづらいだろうから場所を移す事にしよう!」

 ソワレさんに右手をつかまれたかと思いきや、彼の身体は瞬時に羊へと変化し、私を背に乗せて路地裏を駆け巡りだした。

「わっ、ちょっ!」
「しっかりつかまっていないと死んじゃうよぅ?」

 ここで死ぬ訳にはいかないので、彼の首根っこを両手で掴み、更に足に力を入れて振り落とされないように気をつける。
 だんだんと道幅が狭くなり、暗くなってきた。人通りもほとんどない。

「あの、どちらに向かっているんですか?」
「僕の家ですよ!」

 えっ、家!? いきなり家に行っちゃっていいの!?

「あなた人間でしょ? 元の世界に戻りたいよねぇ!?」
「そりゃあ、元の世界に戻りたいに決まってる!」

 当たり前だ! もうこんな世界早くおさらばしてやるんだ……!

「僕はこれまでたくさんの人間を元の世界に戻してきたからね。安心してよ」
「ほ、本当?」
「本当だよ。君を元の世界に戻せるのは僕だけだ」

 断言したという事は信じていい……って事かな。

「お願い、私を元の世界に戻してください!」
「お安い御用だねぇ。そろそろうちにつくよぅ」

 陽の光が当たらない細い路地裏を曲がりくねり、右側の黒い鉄製の扉の前でソワレは止まる。

「ついたよ。中に入ろう。開けゴマ」

 この世界にも開けゴマの言葉はあるんだね。鉄製の扉はぎっ……。と音を立てながら開く。
 羊の亜人の姿に身を変えたソワレさんに背中をさすられながら中に入ると、ぱっと部屋や廊下に灯りが灯りつつ扉が勝手に閉まった。

「奥の階段を降りてね」
「あ、はい」

 階段を降りていくと、その先には部屋があった。私の実家の子供部屋みたいなインテリアで、白い簡素なベッドと安楽椅子に丸い机がある。

「君はしばらくここにいてもらうよ。準備かあるからね。トイレはベッドの右横にある」

 確かに茶色い扉を開けるとトイレとシャワーがあった。ホテルによくあるユニットバス形式ね。

「あ……!」

 振り返るとソワレさんは姿を消していた。一体どこに行ってしまったのだろう。

「ここにいれば、アルグレートは来ないよね」

 そう考えるとほっと気持ちが和らいだ。元の世界に戻れるまであと少し。辛抱しないと。

「ちょっとベッドで横になろうかな」

 ベッドの寝心地はアルグレートの屋敷より劣るけどまあこんなもんかな。病院のベッドよりかは柔らかい感じがする。

「元の世界に戻ったら……ゆっくり休もう」

 ベッドの上で大の字になりながら、元の世界に戻ったらやりたい事を考えるのだった。
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