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第11話 こんな空気で初夜なんて嫌なんだけど
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部屋に戻った私は、メイド達の力を借りてドレスを脱ぎ化粧をクレンジングの水で落とした。
「オトネ様。少々お早いですが入浴されますか?」
「はい、入ります」
「ご準備致しますので少々お待ちくださいませ。お腹は空いてませんですか?」
そういえばお昼も食が進まなかったせいかほとんど食べていない。そのせいかここに来てお腹が鳴る音がした。
「お腹、空きました……」
「お料理、お持ち致します」
体感で数分後、入浴の準備をしつつメイドが料理の乗った白いプレートを、シルバートレイに乗せて持ってきてくれた。
「ありがとうございます。頂きます」
ああ、ローストビーフやマカロニサラダが身に染みる……。それにピラフぽい料理も美味しい……。
「あの、おかわりください」
「かしこまりました」
欲に身を任せてひたすらに食事を頂く。ヤケ食いがこんなにはかどるのは、入職したてでミスをあれこれやらかし、お局看護師達からきっついお小言をいつものように言われていた時以来だ。
同じくお局看護師からガミガミ言われていた同期達と行く、格安ビュッフェ形式レストランはドカ食いのメッカ的な場所だったのも思い出す。
「ん~オイシイ……」
「オトネ様、お腹が空いていたようでございますね。くくっ」
「へへっ……結構おなかすいていたみたいです。ツォルグさんは普段こういう料理食べないんですか?」
「私は基本栄養補助食を立ち食いで済ます程度でございますので……」
執事だからあんまり休む時間は取れないって事かな。他のメイド達に尋ねると、メイドはちゃんと勤務シフトが細かく定められていて、週休2日制かつ勤務日には1時間分休憩があるみたい。
うんわぁ、うらやましいなあ……うちの病院の看護師よりもメイドの方が勤務体系しっかりしてるじゃん。
「アルグレート様はその辺しっかりしてらっしゃるお方ですから。でも他の貴族……それも下級貴族だとそうもいかない所もあると聞きます」
ツォルグさん曰く、男爵家や子爵家、伯爵家ではメイドが満足な休憩も無いまま住み込みで働いていたり、妾の子供をメイドとして扱う事例もよくあるそうだ。
「へえ……」
「ちなみに我々メイドはまかないを食べております」
「ツォルグさんまかない食べないんですか? やっぱ忙しいから無理そうですか?」
「はは、私小食なもので、忙しさに関わらずあまり食欲はわかないのですよ。ですから栄養補助食で事足ります」
あっ忙しいのは関係ないんだ。まあ食欲は個人差あるもんね……。
「オトネ様、入浴の準備が終わりました」
食事を終え、一旦休憩する頃には外は真っ暗になっていた。入浴が済むといよいよ初夜。でもあんな空気で初夜なんて嫌なんだけど……。
「オトネ様、どうかいたしましたか?」
ツォルグさんがタイミングよく声をかけてきてくれたので、私は彼とマリアとのやり取りを全部打ち明けてみる事にした。
「はあ……そのような事が。申し訳ございませんでした」
「ツォルグさん、謝らなくて良いですよ」
「元はと言えば、世継ぎを作った方が良いとアルグレート様に進言したのは私でございます。この責任は私にあるといっていいでしょう。大変申し訳ございませんでした」
ご丁寧に謝るツォルグさんに慌てふためきながら頭を上げてほしい。と言うのがやっとだ。
勿論、彼が世継ぎを作った方が良いと言ったの事に悪気なんてないはず。そりゃあ、マリアがいるならそいつと結婚して子供なんていらなかったでしょ? なんて考えもまだ少しだけあるけど……。だからこそ彼の誠意ある対応は、見ていて胸が苦しくなる。
「謝らないでください。ツォルグさんは何にも悪くないですよ。悪いのはあんな態度してくるアイツでしょう」
「アイツ……くっくっく。思わず笑ってしまいました。失礼を」
「いえいえ。お気になさらず」
「この件に関しては私から忠告いたします」
そうきっぱり言ってくれるのは助かる。ツォルグさんは深々と頭を下げると部屋からひとりで去っていった。
「お風呂、入ろうか……」
この後は初夜。ああ、とうとうアイツに処女を捧げなくちゃいけないんだ。そう考えると憂鬱である。
「オトネ様。少々お早いですが入浴されますか?」
「はい、入ります」
「ご準備致しますので少々お待ちくださいませ。お腹は空いてませんですか?」
そういえばお昼も食が進まなかったせいかほとんど食べていない。そのせいかここに来てお腹が鳴る音がした。
「お腹、空きました……」
「お料理、お持ち致します」
体感で数分後、入浴の準備をしつつメイドが料理の乗った白いプレートを、シルバートレイに乗せて持ってきてくれた。
「ありがとうございます。頂きます」
ああ、ローストビーフやマカロニサラダが身に染みる……。それにピラフぽい料理も美味しい……。
「あの、おかわりください」
「かしこまりました」
欲に身を任せてひたすらに食事を頂く。ヤケ食いがこんなにはかどるのは、入職したてでミスをあれこれやらかし、お局看護師達からきっついお小言をいつものように言われていた時以来だ。
同じくお局看護師からガミガミ言われていた同期達と行く、格安ビュッフェ形式レストランはドカ食いのメッカ的な場所だったのも思い出す。
「ん~オイシイ……」
「オトネ様、お腹が空いていたようでございますね。くくっ」
「へへっ……結構おなかすいていたみたいです。ツォルグさんは普段こういう料理食べないんですか?」
「私は基本栄養補助食を立ち食いで済ます程度でございますので……」
執事だからあんまり休む時間は取れないって事かな。他のメイド達に尋ねると、メイドはちゃんと勤務シフトが細かく定められていて、週休2日制かつ勤務日には1時間分休憩があるみたい。
うんわぁ、うらやましいなあ……うちの病院の看護師よりもメイドの方が勤務体系しっかりしてるじゃん。
「アルグレート様はその辺しっかりしてらっしゃるお方ですから。でも他の貴族……それも下級貴族だとそうもいかない所もあると聞きます」
ツォルグさん曰く、男爵家や子爵家、伯爵家ではメイドが満足な休憩も無いまま住み込みで働いていたり、妾の子供をメイドとして扱う事例もよくあるそうだ。
「へえ……」
「ちなみに我々メイドはまかないを食べております」
「ツォルグさんまかない食べないんですか? やっぱ忙しいから無理そうですか?」
「はは、私小食なもので、忙しさに関わらずあまり食欲はわかないのですよ。ですから栄養補助食で事足ります」
あっ忙しいのは関係ないんだ。まあ食欲は個人差あるもんね……。
「オトネ様、入浴の準備が終わりました」
食事を終え、一旦休憩する頃には外は真っ暗になっていた。入浴が済むといよいよ初夜。でもあんな空気で初夜なんて嫌なんだけど……。
「オトネ様、どうかいたしましたか?」
ツォルグさんがタイミングよく声をかけてきてくれたので、私は彼とマリアとのやり取りを全部打ち明けてみる事にした。
「はあ……そのような事が。申し訳ございませんでした」
「ツォルグさん、謝らなくて良いですよ」
「元はと言えば、世継ぎを作った方が良いとアルグレート様に進言したのは私でございます。この責任は私にあるといっていいでしょう。大変申し訳ございませんでした」
ご丁寧に謝るツォルグさんに慌てふためきながら頭を上げてほしい。と言うのがやっとだ。
勿論、彼が世継ぎを作った方が良いと言ったの事に悪気なんてないはず。そりゃあ、マリアがいるならそいつと結婚して子供なんていらなかったでしょ? なんて考えもまだ少しだけあるけど……。だからこそ彼の誠意ある対応は、見ていて胸が苦しくなる。
「謝らないでください。ツォルグさんは何にも悪くないですよ。悪いのはあんな態度してくるアイツでしょう」
「アイツ……くっくっく。思わず笑ってしまいました。失礼を」
「いえいえ。お気になさらず」
「この件に関しては私から忠告いたします」
そうきっぱり言ってくれるのは助かる。ツォルグさんは深々と頭を下げると部屋からひとりで去っていった。
「お風呂、入ろうか……」
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