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最終話

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 今日はロイナ国にクリス様とクララ様、ジュリーと共に訪れている。目的はレーベン様の結婚披露宴の為だ。まさかこうしてまたロイナ国に訪れるとは思わなかったが、平和に行き来が出来るなら歓迎だ。

「あなたがクリス王子ですか? レーベンです。今日はお越し頂きありがとうございます」
「いえいえ。初めまして、クリスです。ご結婚おめでとうございます」
「初めまして、マリーナ・ジェリコです。ご結婚おめでとうございます」

 中庭にて私達は新郎新婦であるレーベン様とリアネの挨拶を受けた。レーベン様はイリアス様と同じ黒い髪だが、イリアス様よりかは短い。肩くらいの長さだ。リアネは茶髪の髪を束ねて美しくセットしてある。リアネは私より背が低いがレーベン様はクリス様より背が高く、イリアス様と同じくらいの背恰好に見える。なので2人の身長差はかなりある。

「皆様お出でいただきありがとうございます。リアネと申します」

 その後、中庭にて私達は互いの身の上話などを語り合う。
 イリアス様は今は開戦の責任を取る形で、王都から大分離れた集落へ流刑となった。今は1人で集落の民から助けられながら、兵の監視の元で暮らしているそうだ。
 国王陛下も来年、レーベン様に譲位する事が決まった。本来は戦争の責任を取る為すぐに退位するつもりだったそうだが王太子イリアスの廃位も同時に行われた為、混乱を防ぐ為にある程度引き継ぎも兼ねて時間を置く事になった。

「私が即位だなんて夢にも思っていませんでした。しかし決まったからにはよき国にすべく努力します」

 そう語るレーベン様は穏やかで、充実した雰囲気に満ち溢れていたのだった。
 それから。私達は無事大学院を卒業し、クリス様は王太子に、私は王太子妃となった。結婚式には国王に即位したレーベン様とリアネも列席していた。他にもフィーン国をはじめ様々な国々から貴族や王族方が出席していた。勿論、大学院の生徒もだ。
 
「では、誓いのキスを」

 そっと私とクリス様の唇が重なると、周囲からは温かくて賑やかな拍手が起こったのだった。
 夜。パーティー後の身体を引きずるようにしてお風呂に入り身を清めた後、寝間着に着替えるとメイド達と共にベッドへ向かう。するとベッドには寝間着姿のクリス様が座って待っていた。

「お待たせしました!」
「いや大丈夫。初夜の儀が何かって神父様が言うから、それならもう俺達はそういう仲だって言ったら無しになったんだ」
「初夜の儀ですか?」
「そう。処女の血を浴びると呪いがうんたらかんたらだから神父が花嫁と最初に致すって話。でも俺達には不要だ。だってもうそういう仲だからな」
「そうですね」

 クリス様が私を抱き寄せる。メイドはこのタイミングで頭を下げて全員部屋からいなくなった。

「実は、ぬいぐるみになった俺をマリーナの元に届けたのは父上と聞いた」
「そうなんですか?」
「せめてもの詫びって事らしい。ああ、これまで長かったけどようやく、俺達は結婚したんだな」
「……はい」
「マリーナ。君をずっと愛している」
「はい、私もです」

 クリス様の唇が私の唇に重なり、舌が入ってきて私の舌を抱くようにして絡んできた。
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