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第63話
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「そうですよ、あなたの腕を掴んだのでそのまま吸い込まれたんです。ここ、宮廷の地下深くにあるのですぐには戻れませんよ……ああ、イリアス様に怒られちゃう……どうしたら……」
メイドは先ほどのお堅い表情を崩して今にも泣きそうな目をして私にどうにかしろとでも言いたげな目線を送って来る。そんな目で見てもここに来るのは初めてだし、どうしたら良いのか私にも分からない。
「もしかして……」
ここにはイリアス様にまつわる記録も残されているのではないだろうか。とふと考えが頭をよぎった。試しにひんやりとした床から起き上がって周囲を歩いてみたり、棚に納められた書物の背表紙付近を見てみたりすると、案外近くにイリアス様にまつわる記録が収められた書物が並ぶ棚があった。
「読んでみよう」
「あ、イリアス様のは読まない方が良いですよ!」
「どうして?」
「見たら強力な呪いがかけられるとかなんとか……」
呪いなら私の聖女の力で何とかできないでだろうか。ジェシカの呪いも全て解いたのだ。彼の呪いも解けるのではないだろうかと言う根拠のない自信が何故か胸の奥底から湧いて出てきた。
「よし、やってみよう」
「何をです……?」
「呪いを解いてみます」
「えっ? むっむりですよお!」
「多分できます。私、聖女なので」
私は棚から1冊本を取る。表紙にはイリアス様が調べた古代の神話と書かれていた。もしかしたらザパルディ国の聖女の神話についても何か記述があるかもしれない。
その本を床に置き。私は両手をかざして魔力を本に向けて放出した。額が熱を放ち、私と本の周囲に青白い光の玉が床からぽつぽつと湧いて出て来る。
「聖女様……!」
メイドが私の額を指さしているという事は、聖女の証が今出ているという事だろう。本からあふれ出す黒い靄を私の魔力で浄化し、呪いを消し去っていく。
それは例えるならインクで黒ずんだ水に、無色透明の清らかな水を入れて清めていく。と言った具合だろう。黒い靄は徐々に薄くなっていく。極限まで薄くなり、最後の一点が消え去るまで私は魔力を放出し続ける。
「ふうっ……」
「すごい、呪いが全部消えました……!」
呪いが全て消え去ったのを確認してから、私は表紙をめくった。まず目を通したいのは目次。目次にザパルディ国の神話についての記述が無いかを探すと、あった。
「あった。聖女の記述」
そのページを開くと、最初に記されていたのは今まで見てきた聖女についての神話であった。
この国、ザパルディ国にはある神話がある。
ザパルディ国には1000年に一度、聖女と呼ばれる莫大な魔力を持つ娘が誕生する。
その聖女と結ばれた王子には、莫大な加護がつき、国が豊かになるというものだ。
聖女の特徴は3つ。まずは美しい金髪、次に美しい容姿、そして血のような真っ赤な瞳。その特徴を備えた少女が成人した時に神託を受けると、聖女として目覚め、証が浮かび上がる。
それらを全て兼ね備え、莫大な魔力を有する娘こそが、聖女である。そんな聖女の再来を民はずっと待ちわびている。
……と音読してみると、メイドがあっ。と小さく反応を見せた。何か知ってるのだろうか。
「それ、私も聞いた事あります」
「そうなのですか?」
「学園で考古学を習ってた時に」
その神話の次のページには1000年前と2000年前に現れた聖女についての記述があったので詳しく目を通していく事にする。
(どれどれ……)
1000年前。ザパルディ国はロイナ国と戦争状態にあった。ロイナ国は強大で、魔法も技術もザパルディ国より上だった。
両者との因縁ははるか昔から存在しており、ロイナ国はザパルディ国が建国される前から自身の領土であるその地域に納税を強いていたからだ。ロイナ国が建国されたのは今から大体2000年程前の事で、その時代のザパルディ国はロイナ国の領土の一部だった事が伺える。
(ザパルディ国が建国される前はロイナ国の領土の一部だったのか。それは知らなかった……)
納税方法は毎年春と秋の2回、ありったけの野菜に果物に肉をロイナ国に納める。というものだった。更にザパルディ国があった地域の民へロイナ国の者達が泊まってもてなさなければならないというものまであった。しかもこの時年頃の少女がいれば、ロイナ国の者達の妻や愛人として強制的に連れていかれたのだった。
そして記述は2000年前に現れた聖女についてとなる。彼女は金髪に赤い目をしており、強大な魔力に満ち溢れていた。これがザパルディ国に現れた最初の聖女である。
「これ、聖女?」
金髪に赤い目、強大な魔力は確かに聖女の特徴のそれである。とにかく、聖女と呼ばれた少女は地域を束ね揚げ1つの国を作った。それがザパルディ国であった。兵を率い、ロイナ国に反旗を翻した聖女はその強大な魔力に加えて頭の良さを生かして次々にロイナ国の城や防御拠点を攻め落としていった。
彼女の頭の良さについて具体的に言うと、駆け引きや交渉能力、知略謀略の良さや巧さに秀でていたと記されている。見た目とは裏腹の老獪な人物だったようだ。私とは違うタイプの聖女である。
(私はこういうの絶対無理だわ)
ロイナ国は彼女率いるザパルディ国についに降伏。ザパルディ国へこれ以上攻めない事と税を取り立てない事等を条件に盛り込み、ロイナ国に飲ませたのである。こうしてザパルディ国は戦争に勝ち、人々は幸福に包まれた。という記述で終わる。
この聖女がその後どうなったのかは記述がない。ザパルディ国の建国に関わる者なら大学院でも習うだろうし、そもそも家庭教師から教わっているはずなのだが……。
「ねえ、この聖女なんですけどその後どうなったか知ってます?」
「いや私は何も……本に何かあるんじゃないですか? これはあくまでイリアス様がお集めになった情報ですし」
「そうですね」
話をこの本人戻す。次に現れた聖女もまたザパルディ国とロイナ国の戦争に関与し、ザパルディ国を勝利に導いた。彼女はその後、諸国を旅して周り、ザパルディ国で大往生を遂げたと記されていた。
「つまりは……聖女はこれまで何度もロイナ国を負かし、ザパルディ国を勝利に導いている。と……」
となれば、ロイナ国側からすればザパルディ国に現れる聖女は国に仇なす敵だろう。イリアス様が私を狙う理由も理解出来る。
しかし、それだけでは無い気がする。もっと別の理由があるような、そんな気が……。
私は本棚から次々に本を取り出し、呪いを解除してから1冊1冊調べていく。メイドにも手伝ってもらいながら本を読んで分かった事をメイドが用意してくれた紙とペンを使い、簡潔にまとめていく。
「とりあえず、読み上げていいですか?」
「どうぞ」
まず、ザパルディ国には建国後私含め3人の聖女が現れた。
次に聖女はザパルディ国を勝利に導き、ロイナ国を打ち負かした。その過程で過去2度ロイナ国は大飢饉に見舞われていた事も判明した。
最後に、イリアス様の記録を全て読んで分かった事。それは聖女を上記の理由で嫌い、更にザパルディ国へと攻め込みロイナ国の領土を広げようとしていた事と、今ロイナ国の農業や畜産と言った生産量の低下が続いている事だ。
(要は私を地下牢に押し込めて表舞台に出さないようにする事で、過去2度起こった事態を回避しようとしていた。更に戦争を起こして領土及び恵まれた土地を得られれば生産量回復も期待出来る、という事か)
私はインクが乾いたのを確認してから、書いたメモを折りたたみポケットに入れた。
メイドは先ほどのお堅い表情を崩して今にも泣きそうな目をして私にどうにかしろとでも言いたげな目線を送って来る。そんな目で見てもここに来るのは初めてだし、どうしたら良いのか私にも分からない。
「もしかして……」
ここにはイリアス様にまつわる記録も残されているのではないだろうか。とふと考えが頭をよぎった。試しにひんやりとした床から起き上がって周囲を歩いてみたり、棚に納められた書物の背表紙付近を見てみたりすると、案外近くにイリアス様にまつわる記録が収められた書物が並ぶ棚があった。
「読んでみよう」
「あ、イリアス様のは読まない方が良いですよ!」
「どうして?」
「見たら強力な呪いがかけられるとかなんとか……」
呪いなら私の聖女の力で何とかできないでだろうか。ジェシカの呪いも全て解いたのだ。彼の呪いも解けるのではないだろうかと言う根拠のない自信が何故か胸の奥底から湧いて出てきた。
「よし、やってみよう」
「何をです……?」
「呪いを解いてみます」
「えっ? むっむりですよお!」
「多分できます。私、聖女なので」
私は棚から1冊本を取る。表紙にはイリアス様が調べた古代の神話と書かれていた。もしかしたらザパルディ国の聖女の神話についても何か記述があるかもしれない。
その本を床に置き。私は両手をかざして魔力を本に向けて放出した。額が熱を放ち、私と本の周囲に青白い光の玉が床からぽつぽつと湧いて出て来る。
「聖女様……!」
メイドが私の額を指さしているという事は、聖女の証が今出ているという事だろう。本からあふれ出す黒い靄を私の魔力で浄化し、呪いを消し去っていく。
それは例えるならインクで黒ずんだ水に、無色透明の清らかな水を入れて清めていく。と言った具合だろう。黒い靄は徐々に薄くなっていく。極限まで薄くなり、最後の一点が消え去るまで私は魔力を放出し続ける。
「ふうっ……」
「すごい、呪いが全部消えました……!」
呪いが全て消え去ったのを確認してから、私は表紙をめくった。まず目を通したいのは目次。目次にザパルディ国の神話についての記述が無いかを探すと、あった。
「あった。聖女の記述」
そのページを開くと、最初に記されていたのは今まで見てきた聖女についての神話であった。
この国、ザパルディ国にはある神話がある。
ザパルディ国には1000年に一度、聖女と呼ばれる莫大な魔力を持つ娘が誕生する。
その聖女と結ばれた王子には、莫大な加護がつき、国が豊かになるというものだ。
聖女の特徴は3つ。まずは美しい金髪、次に美しい容姿、そして血のような真っ赤な瞳。その特徴を備えた少女が成人した時に神託を受けると、聖女として目覚め、証が浮かび上がる。
それらを全て兼ね備え、莫大な魔力を有する娘こそが、聖女である。そんな聖女の再来を民はずっと待ちわびている。
……と音読してみると、メイドがあっ。と小さく反応を見せた。何か知ってるのだろうか。
「それ、私も聞いた事あります」
「そうなのですか?」
「学園で考古学を習ってた時に」
その神話の次のページには1000年前と2000年前に現れた聖女についての記述があったので詳しく目を通していく事にする。
(どれどれ……)
1000年前。ザパルディ国はロイナ国と戦争状態にあった。ロイナ国は強大で、魔法も技術もザパルディ国より上だった。
両者との因縁ははるか昔から存在しており、ロイナ国はザパルディ国が建国される前から自身の領土であるその地域に納税を強いていたからだ。ロイナ国が建国されたのは今から大体2000年程前の事で、その時代のザパルディ国はロイナ国の領土の一部だった事が伺える。
(ザパルディ国が建国される前はロイナ国の領土の一部だったのか。それは知らなかった……)
納税方法は毎年春と秋の2回、ありったけの野菜に果物に肉をロイナ国に納める。というものだった。更にザパルディ国があった地域の民へロイナ国の者達が泊まってもてなさなければならないというものまであった。しかもこの時年頃の少女がいれば、ロイナ国の者達の妻や愛人として強制的に連れていかれたのだった。
そして記述は2000年前に現れた聖女についてとなる。彼女は金髪に赤い目をしており、強大な魔力に満ち溢れていた。これがザパルディ国に現れた最初の聖女である。
「これ、聖女?」
金髪に赤い目、強大な魔力は確かに聖女の特徴のそれである。とにかく、聖女と呼ばれた少女は地域を束ね揚げ1つの国を作った。それがザパルディ国であった。兵を率い、ロイナ国に反旗を翻した聖女はその強大な魔力に加えて頭の良さを生かして次々にロイナ国の城や防御拠点を攻め落としていった。
彼女の頭の良さについて具体的に言うと、駆け引きや交渉能力、知略謀略の良さや巧さに秀でていたと記されている。見た目とは裏腹の老獪な人物だったようだ。私とは違うタイプの聖女である。
(私はこういうの絶対無理だわ)
ロイナ国は彼女率いるザパルディ国についに降伏。ザパルディ国へこれ以上攻めない事と税を取り立てない事等を条件に盛り込み、ロイナ国に飲ませたのである。こうしてザパルディ国は戦争に勝ち、人々は幸福に包まれた。という記述で終わる。
この聖女がその後どうなったのかは記述がない。ザパルディ国の建国に関わる者なら大学院でも習うだろうし、そもそも家庭教師から教わっているはずなのだが……。
「ねえ、この聖女なんですけどその後どうなったか知ってます?」
「いや私は何も……本に何かあるんじゃないですか? これはあくまでイリアス様がお集めになった情報ですし」
「そうですね」
話をこの本人戻す。次に現れた聖女もまたザパルディ国とロイナ国の戦争に関与し、ザパルディ国を勝利に導いた。彼女はその後、諸国を旅して周り、ザパルディ国で大往生を遂げたと記されていた。
「つまりは……聖女はこれまで何度もロイナ国を負かし、ザパルディ国を勝利に導いている。と……」
となれば、ロイナ国側からすればザパルディ国に現れる聖女は国に仇なす敵だろう。イリアス様が私を狙う理由も理解出来る。
しかし、それだけでは無い気がする。もっと別の理由があるような、そんな気が……。
私は本棚から次々に本を取り出し、呪いを解除してから1冊1冊調べていく。メイドにも手伝ってもらいながら本を読んで分かった事をメイドが用意してくれた紙とペンを使い、簡潔にまとめていく。
「とりあえず、読み上げていいですか?」
「どうぞ」
まず、ザパルディ国には建国後私含め3人の聖女が現れた。
次に聖女はザパルディ国を勝利に導き、ロイナ国を打ち負かした。その過程で過去2度ロイナ国は大飢饉に見舞われていた事も判明した。
最後に、イリアス様の記録を全て読んで分かった事。それは聖女を上記の理由で嫌い、更にザパルディ国へと攻め込みロイナ国の領土を広げようとしていた事と、今ロイナ国の農業や畜産と言った生産量の低下が続いている事だ。
(要は私を地下牢に押し込めて表舞台に出さないようにする事で、過去2度起こった事態を回避しようとしていた。更に戦争を起こして領土及び恵まれた土地を得られれば生産量回復も期待出来る、という事か)
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