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第57話
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「まずは貴族の令嬢方に掛け合ってみては? 大学や大学院が休みだし、そこに通う生徒の令嬢なら今頃暇してるでしょう」
「わかりました。掛け合ってみます」
確かに彼女達なら適任かもしれない。戦争が始まって大学と大学院が休校となり、パーティーと言った派手な催し物も出来ないとなると暇を持て余している事だろう。
私は早速彼女達をクララ様の屋敷に呼び、この事を手伝えるようにお願いする事にした。
「えーーと、生徒のリストは……」
とはいえ、大学及び大学院に通う貴族の令嬢全てを私は把握している訳ではない。とりあえずメイドを呼び、大学長充てに大学院と大学に通う貴族の令嬢で時間がある者はクララ様の屋敷に来るようにという手紙を書いてメイドに渡してもらうように頼む事にしたのだった。
「これ、大学長へお渡しするようにお願いします」
「わかりました」
休む間は無い。これが終われば次は治療用の魔法薬の開発だ。高度な治癒魔法が使える者は限られている。それなら魔法薬が用意すれば高度な治癒魔法が使えなくても何とか賄えるはずだ。
(これとこれを調合して……)
「マリーナ様、これも調合すると効果があがります」
「ライチですね、ありがとうございます」
この日は夜遅くまで、ジュリーと共に研究と開発に明け暮れていた。
次の日。昼前になって大学長からの返信が届いた。封を開いて手紙を読むと大学長が案内の手紙を生徒である貴族の令嬢達に送った所ほぼ全員が参加する意思を示したと言う内容が記されていた。
「……やった!」
「どれどれ……すごいですね、ありがたいですマリーナ様!」
「私もうれしいです!」
その日の夕方。貴族の令嬢達がクララ様の屋敷に集まった。あまりの数に私は驚きを見せる。
「手伝わせてください、マリーナ様」
「男達が戦争に出向いて私達は何もしないと言うのもどうかと思ったもので」
「夜会もパーティーも自粛、学校も休校。やる事なくて暇を感じてました」
「ぜひ手伝わせてください」
彼女達の声を聴いた私は頭を深々と下げた。本当にありがたいし、感謝しか無い。
「ありがとうございます……!」
彼女達には感謝しかない。早速彼女達を食堂に招き入れると、ジュリーと共に手伝ってほしい作業内容について説明をする。彼女達の家でも生産が出来るように、原材料を袋に入れて渡しておいた。
「それではお願いします」
「あの、私達ここでしばらく泊まって手伝いたいです」
そう申し出たのは、大学院の入学式で話したあの、令嬢達だった。彼女達はこの屋敷で寝泊まりし、私とジュリーと共に生産と開発、研究を手伝いたいのだという。なんで大きなトランクを持っているのかと考えたが、成る程そう言う事だったのか。
「いいんですか?」
「それくらいさせてください」
「これを機にもっと友達になれたら、なんて……」
「私家が遠いので、それならここでお世話になる方がいいかなと思いまして」
彼女からの申し出が、胸の奥底まで温かくじんわりと染み込んできた。
「ありがとうございます……!」
そうと決まれば早速作業開始と言いたい所だが、もう夜である。屋敷に戻って生産する意思を見せた令嬢達は馬車に乗り帰路に就いた。クララ様の屋敷に泊まる意思を見せた令嬢達を私とジュリーはクララ様の元へと連れていく。
「クララ様、いいですか?」
「はい、あら皆様お揃いで……」
「あの、グランバス公爵様、私達ここでしばらくお世話になっても構いませんでしょうか?」
「家が遠いので寝泊まりして手伝いたいと思いまして……」
「いいですか?」
彼女達からの申し出に対し、編み物をしていたクララ様は手を動かすのを止めて安楽椅子から立ち上がり、笑顔を浮かべる。
「勿論、大丈夫よ。部屋も貸すわ。すきに使ってくれて構わない。ただし」
「ただし?」
「無理の無い範囲で手伝うのよ? 手伝うのも大事だけど無理して体調を崩すのも本末転倒だからね」
「……はい!」
「ありがとうございます!」
その後は彼女達をゲストルームにそれぞれ案内し、メイドに食事を提供するように依頼した。私は自室で軽くサンドイッチをつまみ、スープを飲むとまた魔法薬の開発と生産に戻る。
「マリーナ様、実は戦場で必要になっている魔法薬の種類についてクリス王子に聞いてみたんです。その返信が先程届きました」
「ありがとうございます。読んでみていいですか?」
「はい、お願いします」
封を開いて手紙を読む。今戦場で不足しているのは傷を塞ぐ為の治療用の魔法薬。次点で火傷を治療する為の魔法薬に敵を広範囲に攻撃する魔法弾の火薬と記されていた。前者は特に最優先で欲しいとも記されている。
「ジュリーさん、どうぞ」
「ふむふむ……これは早目に生産して納品しなければ、ですねえ……」
「そうですね、進めていきましょう」
私はすぐに傷を塞ぐ用の魔法薬の調合を進める。この原材料にこの魔法陣……と言った具合で調合して、ひとまずは仮の魔法薬が完成した。色は水色に近い緑色とやや奇抜な色にはなった。後は効果だ。
(効果を確かめる必要がある)
「ジュリーさん、ナイフありますか?」
「……もしや、ご自身の身体を傷つけて効果を確かめるおつもりで?」
「はい、私がやります」
「いやいや、私がやりますよ! マリーナ様は聖女様ですし何かありましたら……!」
ジュリーが慌てて手を振りながら制する。だが、ジュリーを傷つける訳にもいかない。痛いのは嫌だがここは私がやる方が良い。成功したら痛いのは一瞬で終わるし。
「で、では……気をつけてくださいね?」
「はい」
私はジュリーから金色に輝く持ち手をしたナイフを受け取り左腕の肘に近い部分を薄く切った。切った箇所からは血が流れる。それに痛みが走る。
「かけます!」
ナイフで切った箇所に魔法薬をかける。すると魔法薬をかけた場所が魔法薬と同じ色に輝き、傷がみるみるうちに綺麗に塞いで、元通りになった。それと同時に痛みも消える。
「治った……!」
「……治るスピードも申し分なし、傷も残っていない。完璧ですね!」
「や、やった……!」
ひとまずは魔法薬を完成させる事が出来た。
「わかりました。掛け合ってみます」
確かに彼女達なら適任かもしれない。戦争が始まって大学と大学院が休校となり、パーティーと言った派手な催し物も出来ないとなると暇を持て余している事だろう。
私は早速彼女達をクララ様の屋敷に呼び、この事を手伝えるようにお願いする事にした。
「えーーと、生徒のリストは……」
とはいえ、大学及び大学院に通う貴族の令嬢全てを私は把握している訳ではない。とりあえずメイドを呼び、大学長充てに大学院と大学に通う貴族の令嬢で時間がある者はクララ様の屋敷に来るようにという手紙を書いてメイドに渡してもらうように頼む事にしたのだった。
「これ、大学長へお渡しするようにお願いします」
「わかりました」
休む間は無い。これが終われば次は治療用の魔法薬の開発だ。高度な治癒魔法が使える者は限られている。それなら魔法薬が用意すれば高度な治癒魔法が使えなくても何とか賄えるはずだ。
(これとこれを調合して……)
「マリーナ様、これも調合すると効果があがります」
「ライチですね、ありがとうございます」
この日は夜遅くまで、ジュリーと共に研究と開発に明け暮れていた。
次の日。昼前になって大学長からの返信が届いた。封を開いて手紙を読むと大学長が案内の手紙を生徒である貴族の令嬢達に送った所ほぼ全員が参加する意思を示したと言う内容が記されていた。
「……やった!」
「どれどれ……すごいですね、ありがたいですマリーナ様!」
「私もうれしいです!」
その日の夕方。貴族の令嬢達がクララ様の屋敷に集まった。あまりの数に私は驚きを見せる。
「手伝わせてください、マリーナ様」
「男達が戦争に出向いて私達は何もしないと言うのもどうかと思ったもので」
「夜会もパーティーも自粛、学校も休校。やる事なくて暇を感じてました」
「ぜひ手伝わせてください」
彼女達の声を聴いた私は頭を深々と下げた。本当にありがたいし、感謝しか無い。
「ありがとうございます……!」
彼女達には感謝しかない。早速彼女達を食堂に招き入れると、ジュリーと共に手伝ってほしい作業内容について説明をする。彼女達の家でも生産が出来るように、原材料を袋に入れて渡しておいた。
「それではお願いします」
「あの、私達ここでしばらく泊まって手伝いたいです」
そう申し出たのは、大学院の入学式で話したあの、令嬢達だった。彼女達はこの屋敷で寝泊まりし、私とジュリーと共に生産と開発、研究を手伝いたいのだという。なんで大きなトランクを持っているのかと考えたが、成る程そう言う事だったのか。
「いいんですか?」
「それくらいさせてください」
「これを機にもっと友達になれたら、なんて……」
「私家が遠いので、それならここでお世話になる方がいいかなと思いまして」
彼女からの申し出が、胸の奥底まで温かくじんわりと染み込んできた。
「ありがとうございます……!」
そうと決まれば早速作業開始と言いたい所だが、もう夜である。屋敷に戻って生産する意思を見せた令嬢達は馬車に乗り帰路に就いた。クララ様の屋敷に泊まる意思を見せた令嬢達を私とジュリーはクララ様の元へと連れていく。
「クララ様、いいですか?」
「はい、あら皆様お揃いで……」
「あの、グランバス公爵様、私達ここでしばらくお世話になっても構いませんでしょうか?」
「家が遠いので寝泊まりして手伝いたいと思いまして……」
「いいですか?」
彼女達からの申し出に対し、編み物をしていたクララ様は手を動かすのを止めて安楽椅子から立ち上がり、笑顔を浮かべる。
「勿論、大丈夫よ。部屋も貸すわ。すきに使ってくれて構わない。ただし」
「ただし?」
「無理の無い範囲で手伝うのよ? 手伝うのも大事だけど無理して体調を崩すのも本末転倒だからね」
「……はい!」
「ありがとうございます!」
その後は彼女達をゲストルームにそれぞれ案内し、メイドに食事を提供するように依頼した。私は自室で軽くサンドイッチをつまみ、スープを飲むとまた魔法薬の開発と生産に戻る。
「マリーナ様、実は戦場で必要になっている魔法薬の種類についてクリス王子に聞いてみたんです。その返信が先程届きました」
「ありがとうございます。読んでみていいですか?」
「はい、お願いします」
封を開いて手紙を読む。今戦場で不足しているのは傷を塞ぐ為の治療用の魔法薬。次点で火傷を治療する為の魔法薬に敵を広範囲に攻撃する魔法弾の火薬と記されていた。前者は特に最優先で欲しいとも記されている。
「ジュリーさん、どうぞ」
「ふむふむ……これは早目に生産して納品しなければ、ですねえ……」
「そうですね、進めていきましょう」
私はすぐに傷を塞ぐ用の魔法薬の調合を進める。この原材料にこの魔法陣……と言った具合で調合して、ひとまずは仮の魔法薬が完成した。色は水色に近い緑色とやや奇抜な色にはなった。後は効果だ。
(効果を確かめる必要がある)
「ジュリーさん、ナイフありますか?」
「……もしや、ご自身の身体を傷つけて効果を確かめるおつもりで?」
「はい、私がやります」
「いやいや、私がやりますよ! マリーナ様は聖女様ですし何かありましたら……!」
ジュリーが慌てて手を振りながら制する。だが、ジュリーを傷つける訳にもいかない。痛いのは嫌だがここは私がやる方が良い。成功したら痛いのは一瞬で終わるし。
「で、では……気をつけてくださいね?」
「はい」
私はジュリーから金色に輝く持ち手をしたナイフを受け取り左腕の肘に近い部分を薄く切った。切った箇所からは血が流れる。それに痛みが走る。
「かけます!」
ナイフで切った箇所に魔法薬をかける。すると魔法薬をかけた場所が魔法薬と同じ色に輝き、傷がみるみるうちに綺麗に塞いで、元通りになった。それと同時に痛みも消える。
「治った……!」
「……治るスピードも申し分なし、傷も残っていない。完璧ですね!」
「や、やった……!」
ひとまずは魔法薬を完成させる事が出来た。
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