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第48話

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 クララ様に断られ、私はクリス様とダンスを踊る事になったのだった。また、クリス様は私とダンスを踊り終えた後はジュリーとも踊る事も決まる。

「すみませんクリス王子……」
「ジュリーさんには日頃お世話になってるからね」
「なんかもう畏れ多くて語彙力が死にそうです……」
「そんなに?」

 私とクリス様とのダンスは一言で言えばとても楽しいものになった。くるっと回るだけで風に乗ったかのような軽やかな気分にさせてくれる。
 ジュリーとクリス様のダンスも見ていて楽しく明るいものだった。それにジュリーは動きが慣れている。経験があったのだろうか。

「ジュリーさんはダンスの経験あるんです?」
「まあ、そんな所ではございますかね。はい」

 すると国王陛下と王妃様がダンスホールに入って来た。いつの間にかダンスホールにはソヴィとイリアス様にリリーネ子爵夫妻の姿があった。私達がダンスしている間に訪れたのだろうか。

「皆様! 静粛に!」

 執事の掛け声でオーケストラの演奏と貴族や王族方の話し声がぴたりと止んだ。

「これより国王陛下より挨拶と報告がございます」
「皆様、こんばんは。お集まり頂き嬉しく思います」

 国王陛下のダンスホール中に響く芯の通った声から発せられる挨拶に、耳を傾ける。

「我が息子、クリスはマリーナ・ジェリコ公爵と婚約を交わしています。クリスの学業が落ち着き、王太子の座に座る時同時に結婚をする予定でございます」

 その国王陛下からの報告に、ダンスホールからは暖かな拍手が巻き起こった。
 イリアス様もにこやかな笑みを浮かべたまま拍手をしているが、ソヴィとリリーネ子爵夫妻は半ば嫌そうかつ雑な拍手だ。

「マリーナ・ジェリコ公爵より、挨拶です」
(えっ)

 国王陛下からいきなり発言場を設けられた私。一体何を言えば良いのか。

「マリーナ、とりあえずよろしくって挨拶しとけ!」
「はっはい!」

 クリス様から小声かつ早口でアドバイスを頂いた私は頭を目一杯働かせて挨拶の文章を考える。

「皆様。初めまして。マリーナ・ジェリコと申します。きょうはこのような場で皆様とお会いできて光栄でございます」
(こんな感じで良いのか……?)
「では、皆様。今からお見せしたいものがございます」

 国王陛下が閉ざされていたダンスホールの扉を開けるように執事へ促した。
 執事が扉をゆっくりと開くと、そこには宮廷にはまずいないはずの存在がいた。

(あ、悪魔の獣?!)
「き、きゃああああああああ!!!」

 ダンスホールに現れたのは、人の倍の大きさを誇る悪魔の獣。それも5頭である。
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