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第46話
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前菜はサラダに白身魚を焼いたものだ。白いお皿の真ん中に四角形の焼いた白身魚が配置され、その周囲を葉野菜が彩っている。更に茶色いソースも葉野菜と白身魚の上にかかっている。
「いただきます」
頂く前に私は周囲の貴族や王族の方々の反応を一通り見てみる。皆美味しそうに笑顔を浮かべたり目を丸くさせながら料理を堪能していた。ソヴィはと言うと、ぎこちない手つきで前菜を頂いていた。その右横に座るイリアス様は優雅に前菜を食べていた。
また、メイドからはパンの提供も受ける。パンはいつもクララ様のお屋敷で食べているような、丸くふわっとした形のパンだ。
「マリーナ、食べないの?」
「あっクリス様。皆さんの様子を見てました」
「気になるよね。こんなに大勢の人々が集まる場なんて初めてだし」
「私もです」
白身魚はあっさりとしていて、油分も少なくさっぱりと頂ける。葉野菜もしゃきしゃきとしていて新鮮だ。ソースはお酢か何かで作られているのだろうか、きゅっとした酸味が口からのどにかけて広がっていく。
次に提供されたのはスープ。こちらも野菜がふんだんに使われたものだ。温度も熱すぎず、冷めすぎずと言った所だろう。味付けは薄めだが、だしはしっかり出ている。
「では、メインディッシュとなります」
メインディッシュは鹿肉のステーキだ。白身魚と同じように四角形の形をしたステーキに、ワインレッドと茶色を混ぜたような色をしたソースがかかっている。
「マリーナ、パンのおかわりはいる?」
「いただきます」
「俺もおかわりしようかな、ステーキ美味しいもん」
ふと、ソヴィに目が留まった。彼女はナイフとフォークをぎこちなく動かしながら、ステーキを1口サイズに切って口の中に入れると何かに驚くようなそんな表情を浮かべている。
「あっ」
その様子を私に見られていた事に気が付いたソヴィは慌てて視線をお皿の方に落としたのだった。
彼女の様子を見届けてから私は鹿肉のステーキを頂く。
「……む」
予想以上に柔らかく、口当たりも良くて食べやすい。臭みもほとんどなく、また少しだけ酸味のあるソースとの相性も良い。これはパンとも合いそうな味わいだ。
「美味しいです」
「だろ、すごく美味しい!」
こうしてランチを頂き、集まりは一旦解散となった。招待客のうち国外や遠方から訪れた方々は宮廷近くにある宿泊の場やホテルへとそれぞれ馬車で向かっていった。私とクララ様、ジュリーも一旦クララ様の屋敷に戻ろうとした所、執事に呼び止められた。
「ジェリコ公爵に話があると、国王陛下からです」
「私に話ですか」
「グランバス公爵とそのお弟子様にもご出席いただきたく」
その話にクララ様とジュリーは挨拶を返す。執事に案内されて向かったのは貴賓室の1室だった。
「失礼いたします」
部屋に入室するとすでに金色の椅子には国王陛下と王妃様が座って私達を待っていてくれていた。クリス様も国王陛下の右側に立っている。
「マリーナ、ちょっと時間ある? 父上が話をしたいって」
「はい、大丈夫です」
「では、語ろう。まずは今日の夜のパーティーで君とクリスの結婚について語ろうと思う。結婚は大学院を卒業しクリスが王太子の座に就くのと同時に行いたいと思う」
私とクリス様の結婚について国王様が言及した。大学院は基本1.2年ほど在籍するがその辺は生徒にゆだねられる形でもある。なので5年以上在籍している生徒もいたりするのだ。
「マリーナ・ジェリコ、君はクリスの事を愛しているか?」
「はい、愛しています」
幼い頃からずっと近くにいたのだ。私が地下牢にいた時も、私は当時知らなかったけれど彼は熊のぬいぐるみとしてずっと私のそばにいた。勿論彼以外考えられない。
「それともう1つ。今夜のパーティーにて神託を行う」
「……聖女の神託、ですよね?」
「ああ、そうだ」
神託。聖女の神託。やはり予想通り、今夜行われる。すると国王陛下は私の髪に目線を向け、クララ様を呼んだ。
「髪色、どうだ?」
「だいぶ戻っては来ています。質も向上しました。昔より今の方が魔力の質は高いかもしれません。それにマリーナは大学院で学んでいる最中ですから、伸びしろも十分ある」
「では、今夜神託を行っても大丈夫そうだな?」
「はっきり言います。私はマリーナが聖女だと信じています」
「……グランバスの大魔女がそういうのなら、信じる」
「はい、信じてくださいませ。自信はあります」
クララ様は目を閉じ、笑みを浮かべて国王陛下にそう告げた。彼女のうちからマリーナが聖女である事を信じて疑わないと言うような、硬い信念と近い何かを感じる。
「では、そのように。戻って良いぞ」
「はい、ありがとうございます」
「あの。国王陛下……少々よろしいでしょうか」
「ジェリコ公爵、何かな」
「神託って、どのような形で行われるのですか?」
本を読んでも神託とはどのようにして行われるのか具体的な内容は載っていない。まさに謎に包まれている部分に対し、私は国王陛下に直接尋ねてみたのだった。
「いただきます」
頂く前に私は周囲の貴族や王族の方々の反応を一通り見てみる。皆美味しそうに笑顔を浮かべたり目を丸くさせながら料理を堪能していた。ソヴィはと言うと、ぎこちない手つきで前菜を頂いていた。その右横に座るイリアス様は優雅に前菜を食べていた。
また、メイドからはパンの提供も受ける。パンはいつもクララ様のお屋敷で食べているような、丸くふわっとした形のパンだ。
「マリーナ、食べないの?」
「あっクリス様。皆さんの様子を見てました」
「気になるよね。こんなに大勢の人々が集まる場なんて初めてだし」
「私もです」
白身魚はあっさりとしていて、油分も少なくさっぱりと頂ける。葉野菜もしゃきしゃきとしていて新鮮だ。ソースはお酢か何かで作られているのだろうか、きゅっとした酸味が口からのどにかけて広がっていく。
次に提供されたのはスープ。こちらも野菜がふんだんに使われたものだ。温度も熱すぎず、冷めすぎずと言った所だろう。味付けは薄めだが、だしはしっかり出ている。
「では、メインディッシュとなります」
メインディッシュは鹿肉のステーキだ。白身魚と同じように四角形の形をしたステーキに、ワインレッドと茶色を混ぜたような色をしたソースがかかっている。
「マリーナ、パンのおかわりはいる?」
「いただきます」
「俺もおかわりしようかな、ステーキ美味しいもん」
ふと、ソヴィに目が留まった。彼女はナイフとフォークをぎこちなく動かしながら、ステーキを1口サイズに切って口の中に入れると何かに驚くようなそんな表情を浮かべている。
「あっ」
その様子を私に見られていた事に気が付いたソヴィは慌てて視線をお皿の方に落としたのだった。
彼女の様子を見届けてから私は鹿肉のステーキを頂く。
「……む」
予想以上に柔らかく、口当たりも良くて食べやすい。臭みもほとんどなく、また少しだけ酸味のあるソースとの相性も良い。これはパンとも合いそうな味わいだ。
「美味しいです」
「だろ、すごく美味しい!」
こうしてランチを頂き、集まりは一旦解散となった。招待客のうち国外や遠方から訪れた方々は宮廷近くにある宿泊の場やホテルへとそれぞれ馬車で向かっていった。私とクララ様、ジュリーも一旦クララ様の屋敷に戻ろうとした所、執事に呼び止められた。
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「私に話ですか」
「グランバス公爵とそのお弟子様にもご出席いただきたく」
その話にクララ様とジュリーは挨拶を返す。執事に案内されて向かったのは貴賓室の1室だった。
「失礼いたします」
部屋に入室するとすでに金色の椅子には国王陛下と王妃様が座って私達を待っていてくれていた。クリス様も国王陛下の右側に立っている。
「マリーナ、ちょっと時間ある? 父上が話をしたいって」
「はい、大丈夫です」
「では、語ろう。まずは今日の夜のパーティーで君とクリスの結婚について語ろうと思う。結婚は大学院を卒業しクリスが王太子の座に就くのと同時に行いたいと思う」
私とクリス様の結婚について国王様が言及した。大学院は基本1.2年ほど在籍するがその辺は生徒にゆだねられる形でもある。なので5年以上在籍している生徒もいたりするのだ。
「マリーナ・ジェリコ、君はクリスの事を愛しているか?」
「はい、愛しています」
幼い頃からずっと近くにいたのだ。私が地下牢にいた時も、私は当時知らなかったけれど彼は熊のぬいぐるみとしてずっと私のそばにいた。勿論彼以外考えられない。
「それともう1つ。今夜のパーティーにて神託を行う」
「……聖女の神託、ですよね?」
「ああ、そうだ」
神託。聖女の神託。やはり予想通り、今夜行われる。すると国王陛下は私の髪に目線を向け、クララ様を呼んだ。
「髪色、どうだ?」
「だいぶ戻っては来ています。質も向上しました。昔より今の方が魔力の質は高いかもしれません。それにマリーナは大学院で学んでいる最中ですから、伸びしろも十分ある」
「では、今夜神託を行っても大丈夫そうだな?」
「はっきり言います。私はマリーナが聖女だと信じています」
「……グランバスの大魔女がそういうのなら、信じる」
「はい、信じてくださいませ。自信はあります」
クララ様は目を閉じ、笑みを浮かべて国王陛下にそう告げた。彼女のうちからマリーナが聖女である事を信じて疑わないと言うような、硬い信念と近い何かを感じる。
「では、そのように。戻って良いぞ」
「はい、ありがとうございます」
「あの。国王陛下……少々よろしいでしょうか」
「ジェリコ公爵、何かな」
「神託って、どのような形で行われるのですか?」
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