44 / 81
第39話
しおりを挟む
それから数日後。
「リリーネ子爵が戻らない? 屋敷も誰もいない?」
という報告が国王陛下及び私達にもたらされた。どうもリリーネ子爵とその妻はロイナ国にずっと留まっているのだと言う。確かソヴィが政略結婚によってロイナ国の王太子イリアス様の元に嫁いではいるが、それからずっと2人は戻ってきていないと従者及びジュリーから聞いた。
「屋敷ももぬけの殻みたいですね。人の出入りも無いとか」
「ジュリーさん。調べてくださりありがとうございます」
「いえいえ。何なんでしょうね。ソヴィ様がまだ向こうの宮廷に慣れないとか?」
「あーー……」
確かにソヴィがわがままばかりで向こうの人と関係がうまく行ってないというのはなんとなく想像出来た。出来てしまった。
「まあ何か事情があるんでしょうね」
「でしょうね……」
「それに、そろそろ親善交流パーティーがあるんでしょう? そのタイミングで帰国する可能性もあるんじゃないでしょうか?」
「そうですね」
大学院では何事もなく、平和に講義や研究に打ち込めている。あちらの教授は皆優しく、分からない事があればすぐに教えてくれる。それに堅苦しい部分もなく、楽だ。
また、最近ちょっとした変化もあった。
「マリーナ、髪の色だいぶ戻って来たんじゃない?」
「そうですか?」
私の髪色が金色に近くなってきている。クララ様のビスケットを欠かさず摂取しているおかげか、魔力の質も向上し髪の色も金色に近いクリーム色になってきていたのだった。
しかも髪の毛を日の光に透かして見ると、完全に金色に見える。
「まだビスケットは食べるのよ」
「はいっ」
(見た目が戻りつつあるのは素直にうれしい)
それと大学院でジェシカを語る者はいなくなった。あれだけ目立っていた存在がぱっと消えるとすぐに誰にも語られなくなっていくのは、なんだか寂しさも感じられるがそれだけ彼女は大罪を犯してしまったのだ。こうなっても致し方ないだろう。
エイリンからはたまに手紙が来る。今はシスターとして神に祈りを捧げる敬虔な生活を送っているが、今後は魔術大学院に入学し、魔術の勉強をする事も考えているという。
(エイリン達も入学して来たら楽しみだ)
そんな中魔術大学院ではそろそろテストが行われる。テストと言っても実技ではあるが。
「テスト範囲はここまでとなります。1回目で手順通りに完成させれば100点です」
(頑張らないと)
「リリーネ子爵が戻らない? 屋敷も誰もいない?」
という報告が国王陛下及び私達にもたらされた。どうもリリーネ子爵とその妻はロイナ国にずっと留まっているのだと言う。確かソヴィが政略結婚によってロイナ国の王太子イリアス様の元に嫁いではいるが、それからずっと2人は戻ってきていないと従者及びジュリーから聞いた。
「屋敷ももぬけの殻みたいですね。人の出入りも無いとか」
「ジュリーさん。調べてくださりありがとうございます」
「いえいえ。何なんでしょうね。ソヴィ様がまだ向こうの宮廷に慣れないとか?」
「あーー……」
確かにソヴィがわがままばかりで向こうの人と関係がうまく行ってないというのはなんとなく想像出来た。出来てしまった。
「まあ何か事情があるんでしょうね」
「でしょうね……」
「それに、そろそろ親善交流パーティーがあるんでしょう? そのタイミングで帰国する可能性もあるんじゃないでしょうか?」
「そうですね」
大学院では何事もなく、平和に講義や研究に打ち込めている。あちらの教授は皆優しく、分からない事があればすぐに教えてくれる。それに堅苦しい部分もなく、楽だ。
また、最近ちょっとした変化もあった。
「マリーナ、髪の色だいぶ戻って来たんじゃない?」
「そうですか?」
私の髪色が金色に近くなってきている。クララ様のビスケットを欠かさず摂取しているおかげか、魔力の質も向上し髪の色も金色に近いクリーム色になってきていたのだった。
しかも髪の毛を日の光に透かして見ると、完全に金色に見える。
「まだビスケットは食べるのよ」
「はいっ」
(見た目が戻りつつあるのは素直にうれしい)
それと大学院でジェシカを語る者はいなくなった。あれだけ目立っていた存在がぱっと消えるとすぐに誰にも語られなくなっていくのは、なんだか寂しさも感じられるがそれだけ彼女は大罪を犯してしまったのだ。こうなっても致し方ないだろう。
エイリンからはたまに手紙が来る。今はシスターとして神に祈りを捧げる敬虔な生活を送っているが、今後は魔術大学院に入学し、魔術の勉強をする事も考えているという。
(エイリン達も入学して来たら楽しみだ)
そんな中魔術大学院ではそろそろテストが行われる。テストと言っても実技ではあるが。
「テスト範囲はここまでとなります。1回目で手順通りに完成させれば100点です」
(頑張らないと)
2
お気に入りに追加
247
あなたにおすすめの小説
美人の偽聖女に真実の愛を見た王太子は、超デブス聖女と婚約破棄、今さら戻ってこいと言えずに国は滅ぶ
青の雀
恋愛
メープル国には二人の聖女候補がいるが、一人は超デブスな醜女、もう一人は見た目だけの超絶美人
世界旅行を続けていく中で、痩せて見違えるほどの美女に変身します。
デブスは本当の聖女で、美人は偽聖女
小国は栄え、大国は滅びる。
記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
毒吐き蛇侯爵の、甘い呪縛
卯崎瑛珠
恋愛
カクヨム中編コンテスト 最終選考作品です。
第二部を加筆して、恋愛小説大賞エントリーいたします。
-----------------------------
「本当は優しくて照れ屋で、可愛い貴方のこと……大好きになっちゃった。でもこれは、白い結婚なんだよね……」
ラーゲル王国の侯爵令嬢セレーナ、十八歳。
父の命令で、王子の婚約者選定を兼ねたお茶会に渋々参加したものの、伯爵令嬢ヒルダの策略で「強欲令嬢」というレッテルを貼られてしまう。
実は現代日本からの異世界転生者で希少な魔法使いであることを隠してきたセレーナは、父から「王子がダメなら、蛇侯爵へ嫁げ」と言われる。
恐ろしい刺青(いれずみ)をした、性格に難ありと噂される『蛇侯爵』ことユリシーズは、王国一の大魔法使い。素晴らしい魔法と結界技術を持つ貴族であるが、常に毒を吐いていると言われるほど口が悪い!
そんな彼が白い結婚を望んでくれていることから、大人しく嫁いだセレーナは、自然の中で豊かに暮らす侯爵邸の素晴らしさや、身の回りの世話をしてくれる獣人たちとの交流を楽しむように。
そして前世の知識と魔法を生かしたアロマキャンドルとアクセサリー作りに没頭していく。
でもセレーナには、もう一つ大きな秘密があった――
「やりたいんだろ? やりたいって気持ちは、それだけで価値がある」
これは、ある強い呪縛を持つ二人がお互いを解き放って、本物の夫婦になるお話。
-----------------------------
カクヨム、小説家になろうでも公開しています。
護国の聖女、婚約破棄の上、国外追放される。〜もう護らなくていいんですね〜
ココちゃん
恋愛
平民出身と蔑まれつつも、聖女として10年間一人で護国の大結界を維持してきたジルヴァラは、学園の卒業式で、冤罪を理由に第一王子に婚約を破棄され、国外追放されてしまう。
護国の大結界は、聖女が結界の外に出た瞬間、消滅してしまうけれど、王子の新しい婚約者さんが次の聖女だっていうし大丈夫だよね。
がんばれ。
…テンプレ聖女モノです。
【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。
みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」
魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。
ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。
あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。
【2024年3月16日完結、全58話】
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り
楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。
たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。
婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。
しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。
なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。
せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。
「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」
「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」
かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。
執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?!
見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。
*全16話+番外編の予定です
*あまあです(ざまあはありません)
*2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる