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第35話
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クララ様の屋敷の玄関に、馬車が3台程到着していた。王族が使用する馬車で白馬の美しい毛が日の光に当たり輝いて見える。
「マリーナ! ジュリーさん!」
真ん中に停車している馬車からクリス様が降りてきた。彼も元気そうだ。私達は馬車に乗り込み、クララ様へ手を振って挨拶をした。
「いってらっしゃい」
馬車が勢いよく駆けだしてく。ここからジェリコ公爵家の屋敷まではそこまで離れてはいなかったはず。馬車にしばらく揺れていると窓にはあの、屋敷が見えてきた。外観はあの時とは全く変わっていないように見える。庭や木々もしっかり手入れが行き届いているようだ。
私達は馬車から降りて、屋敷の中に入る。
「懐かしい……」
両親が血を流して倒れていた場所で私は立ち止まる。あれだけ広がっていた血だまりの痕跡は見当たらない。しかしうっすらと赤い血の色が点々と残っていた。
「どうかなさいました?」
「ジュリーさん、ここで私の両親が血を流して倒れていたの」
「……誰かに殺されたとは聞きました。ですが、調査の結果未解決事件とも聞いています」
「……まだ、解決してなかったんですね」
あの後すぐにリリーネ子爵によって地下牢に入れられ、地下牢から脱出してもこの事件についての話は聞いてこなかった。なので、まだ、未解決だとは知らなかったのだった。
「はい、まだ犯人は見つかっていません。迷宮入りと言いますか」
「そうなんですね……」
「……マリーナ」
「クリス様?」
「あのさ、もう一度調べてみない?」
クリス様の目はまっすぐに私を捉えていた。でも、犯人はまだ見つかっていないうえに手掛かりが残っているかどうかも分からない。
「ですが」
「手掛かりはあると信じたい。何か出てくるかもしれないし、そもそもやってみないと分からないと思うんだ」
「……確かに、クリス王子の言う通りかと。調査ならこのジュリーの得意分野ですし。マリーナ様、どうなさいますか?」
「……分かりました。もう一度調べましょう」
「ああ! 父上にも掛け合ってみる」
こうして屋敷内の調査が始まった。だが、今回は領地内を見て回る為に屋敷に来ているので、時間はそこまで取れない。なので手早く調べる必要がある。
「屋敷は事件のまま残されているのかな?」
「血だまりはある程度綺麗にはなっています。所々ついているようにも見えますが」
「魔術であぶってみましょう。こんな感じで」
ジュリーが緑色に発光する魔法薬をバッグから取り出し、瓶のふたを開けて床に垂らした。すると、血に反応したのか、血だまりと両親の倒れていた形跡に沿って、魔法薬が広がっていく。
「この魔法薬は人間の痕跡に反応するものです。掃除しても効き目が失われる事はありません」
ジュリーの魔法薬によって再現された両親の痕跡へ更に私達は目を通していく。
「マリーナ! ジュリーさん!」
真ん中に停車している馬車からクリス様が降りてきた。彼も元気そうだ。私達は馬車に乗り込み、クララ様へ手を振って挨拶をした。
「いってらっしゃい」
馬車が勢いよく駆けだしてく。ここからジェリコ公爵家の屋敷まではそこまで離れてはいなかったはず。馬車にしばらく揺れていると窓にはあの、屋敷が見えてきた。外観はあの時とは全く変わっていないように見える。庭や木々もしっかり手入れが行き届いているようだ。
私達は馬車から降りて、屋敷の中に入る。
「懐かしい……」
両親が血を流して倒れていた場所で私は立ち止まる。あれだけ広がっていた血だまりの痕跡は見当たらない。しかしうっすらと赤い血の色が点々と残っていた。
「どうかなさいました?」
「ジュリーさん、ここで私の両親が血を流して倒れていたの」
「……誰かに殺されたとは聞きました。ですが、調査の結果未解決事件とも聞いています」
「……まだ、解決してなかったんですね」
あの後すぐにリリーネ子爵によって地下牢に入れられ、地下牢から脱出してもこの事件についての話は聞いてこなかった。なので、まだ、未解決だとは知らなかったのだった。
「はい、まだ犯人は見つかっていません。迷宮入りと言いますか」
「そうなんですね……」
「……マリーナ」
「クリス様?」
「あのさ、もう一度調べてみない?」
クリス様の目はまっすぐに私を捉えていた。でも、犯人はまだ見つかっていないうえに手掛かりが残っているかどうかも分からない。
「ですが」
「手掛かりはあると信じたい。何か出てくるかもしれないし、そもそもやってみないと分からないと思うんだ」
「……確かに、クリス王子の言う通りかと。調査ならこのジュリーの得意分野ですし。マリーナ様、どうなさいますか?」
「……分かりました。もう一度調べましょう」
「ああ! 父上にも掛け合ってみる」
こうして屋敷内の調査が始まった。だが、今回は領地内を見て回る為に屋敷に来ているので、時間はそこまで取れない。なので手早く調べる必要がある。
「屋敷は事件のまま残されているのかな?」
「血だまりはある程度綺麗にはなっています。所々ついているようにも見えますが」
「魔術であぶってみましょう。こんな感じで」
ジュリーが緑色に発光する魔法薬をバッグから取り出し、瓶のふたを開けて床に垂らした。すると、血に反応したのか、血だまりと両親の倒れていた形跡に沿って、魔法薬が広がっていく。
「この魔法薬は人間の痕跡に反応するものです。掃除しても効き目が失われる事はありません」
ジュリーの魔法薬によって再現された両親の痕跡へ更に私達は目を通していく。
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