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第34話

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「マリーナ……! 気が付いた?」
「は、はい……めまいがして」
「めまいがしたのか?」
「はい。なんだか急に気分が悪くなったので……」

 医師の診察の結果、国王陛下への手当や今回のジェシカの件などで疲労が溜まり、魔力の使用量が激しいのが一因だろうという事だった。

「ゆっくり休んでください。学業も公爵としての仕事も無理の無い範囲で」
「はい、ありがとうございました」

 クララ様とクリス様と話した結果、数日程大学院を休む事になった。

「マリーナ。この屋敷でゆっくり過ごすといいわ」
「はい、クララ様」
「無理せず回復に務めるのよ?」
「勿論です」
「マリーナ。俺、毎日ここに来るよ」
「クリス様?」
「だから、気にせずゆっくり休んで」
「は、はい」

 それから、ジェシカの母親はザパルディ国の山の中にある修道院へと流刑された。彼女は嘆き悲しみながら移送されたという。
 クリス様曰く大学院でジェシカの取り巻きだった女生徒の令嬢達の何人かは自主的に退学したという。理由は彼女が偽の聖女候補だった事を知り、興味が失せたからだとか。2人くらい彼女が偽の聖女ではないので処刑されたのはかわいそうだと言っていたという話もクリス様から聞いた。
 休みの間、私はレポートを書きつつ読書をしたり、睡眠時間を多めに取るなどして回復に努めた。そして体調はすぐに回復出来たのだった。魔力も十分にある。

「おはよう、マリーナ」
「おはようございます、クララ様」

 体調不良から回復し、大学院での生活にも慣れたある日。今日からジェリコ公爵としての仕事に赴く。領地内を見て回るのだ。クリス様とジュリーも一緒に同行してくれる事が決まった。

「おはようございます、マリーナ様、お師匠様。今日はよろしくお願いします」
「ジュリーさん、お願いします」
「まずは、ジェリコ公爵家の屋敷に向かってから領地を見て回るのでよろしいですか?」
「はい、大丈夫です」

 ジェリコ公爵家の屋敷。私がかつて暮らしていた屋敷だ。家族が亡くなってリリーネ子爵の元に移動してからはこの屋敷に住民はいない。クリス様曰く今は王族が管理しているらしい。

「あれから訪れていないんですよね?」
「はい」
「あの、怖くないですか?」

 ジュリーに聞かれて私は正直に少し緊張していると答えた。するとジュリーが私の手を握り、大丈夫ですよと優しく声をかけてくれる。

「王子様もいらっしゃいますし。無理はなさらないでください」
「ありがとうございます、ジュリーさん」
「ええ、マリーナ。何かあればすぐジュリーかクリスを頼るのよ」
「はい、クララ様」

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