元聖女候補の監禁令嬢は元婚約者の王子から一途な溺愛を注がれる。

二位関りをん

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第25話

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 彼女達をなだめつつ、会場に入ると中には貴族の令嬢や令息が席に座っていたり、立って話をしたりしている。

「皆様、席についてください! お静かに!」

 いきなり会場に執事が数人入ってきて、大きな声で私達に席につくように告げる。私の席は1番前の右端だ。

(よいしょ)
「王子様が来られます」

 やはり、クリス様が来るので私達に着席するようにと告げたのか。執事に先導されてクリス様が中央の赤い絨毯を踏みながら歩いてくる。そして1番前の真ん中の席に座った。

(クリス様……)

 静かな空気のまま、入学式が始まった。ステージには学長らしき人物にワインレッドのドレスを着たクララ様も座っている。

「グランバスの大魔女様だ」
「あれが、グランバス公爵様か」
「すごい、大学院に公爵様が何人も……」

 というひそひそした呟きが漏れているのが耳に入る。来賓の祝辞がいくつか述べられ、やや眠気を覚えつつある時だった。

「生徒を代表して、クリス王子のお言葉がございます」

 司会進行役がそうアナウンスすると、クリス様はびしっと立ち上がり、きびきびとした歩きで階段を登りステージに上がった。

「この度は、皆様と共に勉学に励める事、誠に嬉しく思います」

 彼の声は芯の通った凛々しい声だ。

「これからも、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願い致します」

 クリス様が挨拶を終えて、自身の席に着いた。彼の挨拶のあとも来賓の祝辞や手紙が紹介される。国王陛下と王妃様からの祝いのお言葉もあった。
 入学式が無事に終わると、私はそのままクララ様と共に屋敷に戻る。すると、クリス様も時間差でクララ様の屋敷に訪れた。

「入学式お疲れ様、マリーナ」
「お疲れ様です、クリス様。挨拶良かったです」
「へへっ、ちょっと緊張したけど噛まなくて良かった」

 入学式の後は夜の入学歓迎パーティーが控えている。それまではこの屋敷で時間を潰す事になる。

「昼食にしましょう。クリスも食べていく?」
「はい!」

 クララ様の掛け声で私達は昼食を取る事になる。昼食のパンと肉と野菜を焼いたものを食べているとジュリーが屋敷に戻ってきた。

「皆様入学式お疲れ様です。夜のパーティーにもご出席なされるご予定で?」
「はい、マリーナもです」
「上級生も何人か出席なさるようです。あの聖女候補のジェシカ様も出席なさるとか。気をつけておいた方が良いかと」

 ジュリーの低い声に、私は頷く。クリス様もまた、何度も確かめるようにして首を縦に振った。

「マリーナ。俺がすぐ近くにいるから」
「は、はい……」






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