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第24話

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 パンは柔らかくて甘味もある。鳥肉のローストにはコクと少し酸味のあるソースもかかっており、パンととても相性が良い。

「美味しい!」
「口にあって良かったわ。ソース酸っぱくない?」
「はい。これくらいなら全然気にはならないですね」

 この程度の酸味なら全然酸っぱいとは感じない。それにソースにはコクもある。

(ほんとに美味しい)

 その日の夜。合否判定の手紙が魔術大学院からふわふわと風に乗って到着した。封を開け中身を取り出すと合格のしらせと入学の為の書類が同封されていた。

「やった……!」

 合格は素直に嬉しい。早速クララ様に書類を見せると朗らかに笑いながら喜んでくれた。

「良かったわマリーナ」
「はい。ふふっ」
「とはいえ入学がゴールではないからね。しっかり励むように」
「はい、頑張ります」

 幼い時は家庭教師が付いていたので、学校に通うのはこれが初めてだ。魔術大学院でのこれからの生活に思いを馳せながら、クララ様に教えてもらいつつ書類を書く。

「マリーナ。字大分上手くなったわね」
「ありがとうございます」

 クリス様も魔術大学院に通う事が決まった。彼と共に学校生活を送るのは期待しかない。
 そして、入学式が訪れた。大学院という事もあり入学を迎える生徒は皆成人を迎えた大人だ。しかも貴族の令嬢令息がかなりいる。勿論庶民もいるが、大体3分の2で貴族が多く見える。
 私も深い青色のドレスを着て、入学式が行われる会場に入るのだが、私を見る目が多い。

「あれがジェリコ公爵よ」
「聖女候補で、クリス王子の婚約者よ」
「魔力が高いわね」
「ジェシカ様とは魔力が桁違いすぎない? 離れたほうがいいわよ」

 同じく入学式に出席する貴族の令嬢達が扇子で口元を仰ぎながら、ひそひそと私の話をする。

(私と話したいなら、直接来たら良いのに)

 そう考えたので、試しに彼女達に近づくと彼女達はすぐに口を閉ざし、顔を青ざめた。

「初めまして。あなたがたも大学院生ですか?」

 挨拶をすると、彼女達はええ、はい。と何か気まずそうに返す。

「これからよろしくお願いします。ぜひ仲良くしたいです」
「えっ……?」
「公爵様が私達と?」
「そんな御冗談を」
「いえ、冗談ではないです。私にはまだまだ友人がいないので……」
「聖女候補の公爵様がそのような事を……!」

 だんだん彼女達の顔が真っ青になっていく。

「ぜ、ぜひこちらこそよろしくお願い致します!」
「さすがはジェリコ公爵様! 私どもと仲良くなりたいと仰せだなんて光栄にございます!」
「あ、頭をあげて……」
(何か変な事になってきた)


 
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