28 / 81
第24話
しおりを挟む
パンは柔らかくて甘味もある。鳥肉のローストにはコクと少し酸味のあるソースもかかっており、パンととても相性が良い。
「美味しい!」
「口にあって良かったわ。ソース酸っぱくない?」
「はい。これくらいなら全然気にはならないですね」
この程度の酸味なら全然酸っぱいとは感じない。それにソースにはコクもある。
(ほんとに美味しい)
その日の夜。合否判定の手紙が魔術大学院からふわふわと風に乗って到着した。封を開け中身を取り出すと合格のしらせと入学の為の書類が同封されていた。
「やった……!」
合格は素直に嬉しい。早速クララ様に書類を見せると朗らかに笑いながら喜んでくれた。
「良かったわマリーナ」
「はい。ふふっ」
「とはいえ入学がゴールではないからね。しっかり励むように」
「はい、頑張ります」
幼い時は家庭教師が付いていたので、学校に通うのはこれが初めてだ。魔術大学院でのこれからの生活に思いを馳せながら、クララ様に教えてもらいつつ書類を書く。
「マリーナ。字大分上手くなったわね」
「ありがとうございます」
クリス様も魔術大学院に通う事が決まった。彼と共に学校生活を送るのは期待しかない。
そして、入学式が訪れた。大学院という事もあり入学を迎える生徒は皆成人を迎えた大人だ。しかも貴族の令嬢令息がかなりいる。勿論庶民もいるが、大体3分の2で貴族が多く見える。
私も深い青色のドレスを着て、入学式が行われる会場に入るのだが、私を見る目が多い。
「あれがジェリコ公爵よ」
「聖女候補で、クリス王子の婚約者よ」
「魔力が高いわね」
「ジェシカ様とは魔力が桁違いすぎない? 離れたほうがいいわよ」
同じく入学式に出席する貴族の令嬢達が扇子で口元を仰ぎながら、ひそひそと私の話をする。
(私と話したいなら、直接来たら良いのに)
そう考えたので、試しに彼女達に近づくと彼女達はすぐに口を閉ざし、顔を青ざめた。
「初めまして。あなたがたも大学院生ですか?」
挨拶をすると、彼女達はええ、はい。と何か気まずそうに返す。
「これからよろしくお願いします。ぜひ仲良くしたいです」
「えっ……?」
「公爵様が私達と?」
「そんな御冗談を」
「いえ、冗談ではないです。私にはまだまだ友人がいないので……」
「聖女候補の公爵様がそのような事を……!」
だんだん彼女達の顔が真っ青になっていく。
「ぜ、ぜひこちらこそよろしくお願い致します!」
「さすがはジェリコ公爵様! 私どもと仲良くなりたいと仰せだなんて光栄にございます!」
「あ、頭をあげて……」
(何か変な事になってきた)
「美味しい!」
「口にあって良かったわ。ソース酸っぱくない?」
「はい。これくらいなら全然気にはならないですね」
この程度の酸味なら全然酸っぱいとは感じない。それにソースにはコクもある。
(ほんとに美味しい)
その日の夜。合否判定の手紙が魔術大学院からふわふわと風に乗って到着した。封を開け中身を取り出すと合格のしらせと入学の為の書類が同封されていた。
「やった……!」
合格は素直に嬉しい。早速クララ様に書類を見せると朗らかに笑いながら喜んでくれた。
「良かったわマリーナ」
「はい。ふふっ」
「とはいえ入学がゴールではないからね。しっかり励むように」
「はい、頑張ります」
幼い時は家庭教師が付いていたので、学校に通うのはこれが初めてだ。魔術大学院でのこれからの生活に思いを馳せながら、クララ様に教えてもらいつつ書類を書く。
「マリーナ。字大分上手くなったわね」
「ありがとうございます」
クリス様も魔術大学院に通う事が決まった。彼と共に学校生活を送るのは期待しかない。
そして、入学式が訪れた。大学院という事もあり入学を迎える生徒は皆成人を迎えた大人だ。しかも貴族の令嬢令息がかなりいる。勿論庶民もいるが、大体3分の2で貴族が多く見える。
私も深い青色のドレスを着て、入学式が行われる会場に入るのだが、私を見る目が多い。
「あれがジェリコ公爵よ」
「聖女候補で、クリス王子の婚約者よ」
「魔力が高いわね」
「ジェシカ様とは魔力が桁違いすぎない? 離れたほうがいいわよ」
同じく入学式に出席する貴族の令嬢達が扇子で口元を仰ぎながら、ひそひそと私の話をする。
(私と話したいなら、直接来たら良いのに)
そう考えたので、試しに彼女達に近づくと彼女達はすぐに口を閉ざし、顔を青ざめた。
「初めまして。あなたがたも大学院生ですか?」
挨拶をすると、彼女達はええ、はい。と何か気まずそうに返す。
「これからよろしくお願いします。ぜひ仲良くしたいです」
「えっ……?」
「公爵様が私達と?」
「そんな御冗談を」
「いえ、冗談ではないです。私にはまだまだ友人がいないので……」
「聖女候補の公爵様がそのような事を……!」
だんだん彼女達の顔が真っ青になっていく。
「ぜ、ぜひこちらこそよろしくお願い致します!」
「さすがはジェリコ公爵様! 私どもと仲良くなりたいと仰せだなんて光栄にございます!」
「あ、頭をあげて……」
(何か変な事になってきた)
3
お気に入りに追加
244
あなたにおすすめの小説
【R18】純情聖女と護衛騎士〜聖なるおっぱいで太くて硬いものを挟むお仕事です〜
河津ミネ
恋愛
フウリ(23)は『眠り姫』と呼ばれる、もうすぐ引退の決まっている聖女だ。
身体に現れた聖紋から聖水晶に癒しの力を与え続けて13年、そろそろ聖女としての力も衰えてきたので引退後は悠々自適の生活をする予定だ。
フウリ付きの聖騎士キース(18)とはもう8年の付き合いでお別れするのが少しさみしいな……と思いつつ日課のお昼寝をしていると、なんだか胸のあたりに違和感が。
目を開けるとキースがフウリの白く豊満なおっぱいを見つめながらあやしい動きをしていて――!?
異世界転移したら、推しのガチムチ騎士団長様の性癖が止まりません
冬見 六花
恋愛
旧題:ロングヘア=美人の世界にショートカットの私が転移したら推しのガチムチ騎士団長様の性癖が開花した件
異世界転移したアユミが行き着いた世界は、ロングヘアが美人とされている世界だった。
ショートカットのために醜女&珍獣扱いされたアユミを助けてくれたのはガチムチの騎士団長のウィルフレッド。
「…え、ちょっと待って。騎士団長めちゃくちゃドタイプなんですけど!」
でもこの世界ではとんでもないほどのブスの私を好きになってくれるわけない…。
それならイケメン騎士団長様の推し活に専念しますか!
―――――【筋肉フェチの推し活充女アユミ × アユミが現れて突如として自分の性癖が目覚めてしまったガチムチ騎士団長様】
そんな2人の山なし谷なしイチャイチャエッチラブコメ。
●ムーンライトノベルズで掲載していたものをより糖度高めに改稿してます。
●11/6本編完結しました。番外編はゆっくり投稿します。
●11/12番外編もすべて完結しました!
●ノーチェブックス様より書籍化します!
【R18】××××で魔力供給をする世界に聖女として転移して、イケメン魔法使いに甘やかされ抱かれる話
もなか
恋愛
目を覚ますと、金髪碧眼のイケメン──アースに抱かれていた。
詳しく話を聞くに、どうやら、私は魔法がある異世界に聖女として転移をしてきたようだ。
え? この世界、魔法を使うためには、魔力供給をしなきゃいけないんですか?
え? 魔力供給って、××××しなきゃいけないんですか?
え? 私、アースさん専用の聖女なんですか?
魔力供給(性行為)をしなきゃいけない聖女が、イケメン魔法使いに甘やかされ、快楽の日々に溺れる物語──。
※n番煎じの魔力供給もの。18禁シーンばかりの変態度高めな物語です。
※ムーンライトノベルズにも載せております。ムーンライトノベルズさんの方は、題名が少し変わっております。
※ヒーローが変態です。ヒロインはちょろいです。
R18作品です。18歳未満の方(高校生も含む)の閲覧は、御遠慮ください。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
美貌の騎士団長は逃げ出した妻を甘い執愛で絡め取る
束原ミヤコ
恋愛
旧題:夫の邪魔になりたくないと家から逃げたら連れ戻されてひたすら愛されるようになりました
ラティス・オルゲンシュタットは、王国の七番目の姫である。
幻獣種の血が流れている幻獣人である、王国騎士団団長シアン・ウェルゼリアに、王を守った褒章として十五で嫁ぎ、三年。
シアンは隣国との戦争に出かけてしまい、嫁いでから話すこともなければ初夜もまだだった。
そんなある日、シアンの恋人という女性があらわれる。
ラティスが邪魔で、シアンは家に戻らない。シアンはずっとその女性の家にいるらしい。
そう告げられて、ラティスは家を出ることにした。
邪魔なのなら、いなくなろうと思った。
そんなラティスを追いかけ捕まえて、シアンは家に連れ戻す。
そして、二度と逃げないようにと、監禁して調教をはじめた。
無知な姫を全力で可愛がる差別種半人外の騎士団長の話。
死に戻りの花嫁は冷徹騎士の執着溺愛から逃げられない
無憂
恋愛
旧題:病める時も健やかなる時も、その溺愛はまやかし~死に戻りの花嫁と聖杯の騎士
結婚式の最中にセシリアは突如、前世の記憶を思い出す。それは、隣に立つ花婿ユードに裏切られ、父は冤罪で殺され、自身も彼の恋人ディートリンデの差し金で、何人もの男たちに陵辱されて死ぬ、という悲惨なものだった。どういう理由か、時戻りしたことに気づいたセシリアは、今度こそ破滅を回避するため、夫ユードと距離を取り、彼の不貞の証拠を掴んで離縁しようと画策する。しかし、ユードの方はセシリアの態度に不満を覚えて、グイグイ距離を詰めてくるのだが……。
*魔法はかなりご都合主義です。
*番外編を投稿します。R18部分には*印をつけました。前世のヒーローはクズ仕様となっておりますので、クズヒーローが許容できない方はご注意ください。
大嫌いな次期騎士団長に嫁いだら、激しすぎる初夜が待っていました
扇 レンナ
恋愛
旧題:宿敵だと思っていた男に溺愛されて、毎日のように求められているんですが!?
*こちらは【明石 唯加】名義のアカウントで掲載していたものです。書籍化にあたり、こちらに転載しております。また、こちらのアカウントに転載することに関しては担当編集さまから許可をいただいておりますので、問題ありません。
――
ウィテカー王国の西の辺境を守る二つの伯爵家、コナハン家とフォレスター家は長年に渡りいがみ合ってきた。
そんな現状に焦りを抱いた王家は、二つの伯爵家に和解を求め、王命での結婚を命じる。
その結果、フォレスター伯爵家の長女メアリーはコナハン伯爵家に嫁入りすることが決まった。
結婚相手はコナハン家の長男シリル。クールに見える外見と辺境騎士団の次期団長という肩書きから女性人気がとても高い男性。
が、メアリーはそんなシリルが実は大嫌い。
彼はクールなのではなく、大層傲慢なだけ。それを知っているからだ。
しかし、王命には逆らえない。そのため、メアリーは渋々シリルの元に嫁ぐことに。
どうせ愛し愛されるような素敵な関係にはなれるわけがない。
そう考えるメアリーを他所に、シリルは初夜からメアリーを強く求めてくる。
――もしかして、これは嫌がらせ?
メアリーはシリルの態度をそう受け取り、頑なに彼を拒絶しようとするが――……。
「誰がお前に嫌がらせなんかするかよ」
どうやら、彼には全く別の思惑があるらしく……?
*WEB版表紙イラストはみどりのバクさまに有償にて描いていただいたものです。転載等は禁止です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる