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第60話 王妃アネーラ懐妊?
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ウィリアはメラニーの元で、少しずつ医師薬師付きのメイドの仕事をこなしていけるようになった。時々ミスもあるがメラニーは叱る事無く上手く立ち回りフォローしてくれているおかげか、ウィリアの飲み込みは思ったより早いと薬師達からの評判だった。
「ウィリアさん頑張ってるわね」
「私達も頑張らなきゃ!」
「皆さんにも良い影響が出ているようですね」
「はい、ハイダさん」
最初出会った時よりも、晴れ晴れとした充実した表情を浮かべているウィリア。やはり彼女はここに来て良かった。
(良かった)
そんな中、こんな噂が流れ出した。
「王妃様最近機嫌良いな」
「もしかしたら、ご懐妊されたかもしれないって?」
「本当か?」
「じゃ、じゃあ王妃様が懐妊されてその子が男子なら王太子殿下はどうなるんだ?」
「王太子の座を降ろされるとか?」
という、王妃アネーラが妊娠したかもしれないという根拠の無い噂話が宮廷内を歩き出していた。
だが、医師の朝の診察では王妃アネーラは特に様子がおかしいといった部分は見せていない。ただ、いつもより機嫌が良いような気はする。
(確かめるべきなんだろうけど)
私は医師達にかけあい、王妃アネーラに妊娠したかどうかの診察をすべきでは? と提案した。
「確かに噂は流れてはいますな。妊娠しているなら我々のサポートは必要になります」
「ただ、御本人は診察時に自身の体調について特に変わらずと仰っているのが……」
「そうですね……」
提案は一旦保留となる。しかし数日後の朝の診察にて。
「最近月のものが来ないの。もしかしたら国王陛下の子を懐妊したかもしれないわ!」
ついに王妃アネーラが私達医師と薬師にそう高らかに打ち明けた。
「アネーラ、本当か?」
「ええ、国王陛下。まだわかりませんが……これには自信があります!」
「おお! アネーラ!」
ベッドの上にて国王陛下と王妃アネーラが歓喜に湧き互いを硬く抱き合った。
「では、診察しましょうか」
「ええ、お願いしますわ」
「気分の悪さとかはありますか?」
「いや、そんなに……」
王妃アネーラの妊娠したかどうかの診察が始まった。国王陛下や私達薬師は一旦部屋の外に出される。診察が終わり部屋に入ると、医師達は顔をしきりに傾けうなっていた。
結果的にその後、王妃アネーラに月のものが訪れ、妊娠していないという結果となった。それにより噂も収束していったのだった。王妃アネーラは残念がってはいたが、何か手応えのようなものを掴んだらしく、機嫌が良いのには変わりはなかったのだった。
「ウィリアさん頑張ってるわね」
「私達も頑張らなきゃ!」
「皆さんにも良い影響が出ているようですね」
「はい、ハイダさん」
最初出会った時よりも、晴れ晴れとした充実した表情を浮かべているウィリア。やはり彼女はここに来て良かった。
(良かった)
そんな中、こんな噂が流れ出した。
「王妃様最近機嫌良いな」
「もしかしたら、ご懐妊されたかもしれないって?」
「本当か?」
「じゃ、じゃあ王妃様が懐妊されてその子が男子なら王太子殿下はどうなるんだ?」
「王太子の座を降ろされるとか?」
という、王妃アネーラが妊娠したかもしれないという根拠の無い噂話が宮廷内を歩き出していた。
だが、医師の朝の診察では王妃アネーラは特に様子がおかしいといった部分は見せていない。ただ、いつもより機嫌が良いような気はする。
(確かめるべきなんだろうけど)
私は医師達にかけあい、王妃アネーラに妊娠したかどうかの診察をすべきでは? と提案した。
「確かに噂は流れてはいますな。妊娠しているなら我々のサポートは必要になります」
「ただ、御本人は診察時に自身の体調について特に変わらずと仰っているのが……」
「そうですね……」
提案は一旦保留となる。しかし数日後の朝の診察にて。
「最近月のものが来ないの。もしかしたら国王陛下の子を懐妊したかもしれないわ!」
ついに王妃アネーラが私達医師と薬師にそう高らかに打ち明けた。
「アネーラ、本当か?」
「ええ、国王陛下。まだわかりませんが……これには自信があります!」
「おお! アネーラ!」
ベッドの上にて国王陛下と王妃アネーラが歓喜に湧き互いを硬く抱き合った。
「では、診察しましょうか」
「ええ、お願いしますわ」
「気分の悪さとかはありますか?」
「いや、そんなに……」
王妃アネーラの妊娠したかどうかの診察が始まった。国王陛下や私達薬師は一旦部屋の外に出される。診察が終わり部屋に入ると、医師達は顔をしきりに傾けうなっていた。
結果的にその後、王妃アネーラに月のものが訪れ、妊娠していないという結果となった。それにより噂も収束していったのだった。王妃アネーラは残念がってはいたが、何か手応えのようなものを掴んだらしく、機嫌が良いのには変わりはなかったのだった。
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