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第51話 新たな医薬師長
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この日は何も無く平穏に仕事をしていた。その夕方の事。
「私が医薬師長になるんですか?!」
ハイダからのいきなりの知らせに私は目を丸くして驚く事しか出来ない。
私はまだまだ実績も足りないというのに、いきなり医薬師長になって良いものなのだろうか。
「ええ、もう大丈夫でしょう。王太后様も最近ジャスミンさんが処方した薬がかなり効いていると喜んで仰っていますし、アダン様の専属薬師という立場も経験しています」
「ですが……」
「これも、経験ですよ。若いあなたの事です。敢えて若い内から医薬師長として研鑽を積む。私はあなたにはそれが良いと考えたのです」
「医薬師長は今後どうするのですか?」
「そのまま薬師として残り、あなた達をサポートするつもりです。ですから困った時は必ず頼ってください」
「は、はい!」
こうして、私は正式に医薬師長に就任した。ハイダへこれからなんて呼べば良いかと尋ねると、ハイダさんで良いという返事があった。
「よろしくお願いします、ハイダさん」
「ええ、医薬師長」
(緊張する!)
私が正式に医薬師長になった事は、アダン様方王族も把握済みである。国王陛下からは直々に任命書を頂いた。ちなみに国王陛下曰く私が医薬師長になるにあたり、王太后様とアダン様からの推薦もあったという。アダン様からはユングミル城での彼への看病が推薦理由として挙げられたようだ。
「ジャスミン・ヨージス。これからも励むように」
「はい、国王陛下」
国王陛下から頂いた任命書は、部屋の中に飾った。それをちらっと横目で見るたびに自分が誇らしい気分になる。
「へへへ……」
医薬師長になり、1週間の事。
「ハイダさん、薬草の調査ですか?」
「はい、北部の国境近くの街です。周囲に森林や山々があり貴重な薬草もあると聞いています」
「ぜひ、参加したいです!」
「そう言うと思ったので、既に参加の旨をアダン様に伝えておきました」
「ありがとうございます!」
(アダン様も同行するのか)
現地で調査するとなると、やはり胸が昂る。薬の実物に枯れる前の姿を見たいという欲が、胸の内から湧いて出てくるのだ。
「ハイダさん、留守をお願いします」
「はい、お任せください」
にこりと笑うハイダに頼りがいを感じた。そして調査へ向かう日、私が乗る馬車はアダン様が乗る馬車である事を彼の従者から知らされる。
「そうですか、分かりました」
(そうなるか……)
「ジャスミンさん、お嫌ですか?」
「いや! そんな事は無いです!」
(嫌といえば不敬になりそうで怖いし、かといってアダン様と従者と一緒となると緊張するなあ……)
馬車は王族のものという事で下見をした。金色の豪華な装飾がふんだんに使われた最高級クラスのものだ。座席もふかふかで座り心地がこれまで座ってきた馬車の中では一番良い。
私が玄関でトランクを持ち待っていると、アダン様が従者を従えてやって来た。
「私が医薬師長になるんですか?!」
ハイダからのいきなりの知らせに私は目を丸くして驚く事しか出来ない。
私はまだまだ実績も足りないというのに、いきなり医薬師長になって良いものなのだろうか。
「ええ、もう大丈夫でしょう。王太后様も最近ジャスミンさんが処方した薬がかなり効いていると喜んで仰っていますし、アダン様の専属薬師という立場も経験しています」
「ですが……」
「これも、経験ですよ。若いあなたの事です。敢えて若い内から医薬師長として研鑽を積む。私はあなたにはそれが良いと考えたのです」
「医薬師長は今後どうするのですか?」
「そのまま薬師として残り、あなた達をサポートするつもりです。ですから困った時は必ず頼ってください」
「は、はい!」
こうして、私は正式に医薬師長に就任した。ハイダへこれからなんて呼べば良いかと尋ねると、ハイダさんで良いという返事があった。
「よろしくお願いします、ハイダさん」
「ええ、医薬師長」
(緊張する!)
私が正式に医薬師長になった事は、アダン様方王族も把握済みである。国王陛下からは直々に任命書を頂いた。ちなみに国王陛下曰く私が医薬師長になるにあたり、王太后様とアダン様からの推薦もあったという。アダン様からはユングミル城での彼への看病が推薦理由として挙げられたようだ。
「ジャスミン・ヨージス。これからも励むように」
「はい、国王陛下」
国王陛下から頂いた任命書は、部屋の中に飾った。それをちらっと横目で見るたびに自分が誇らしい気分になる。
「へへへ……」
医薬師長になり、1週間の事。
「ハイダさん、薬草の調査ですか?」
「はい、北部の国境近くの街です。周囲に森林や山々があり貴重な薬草もあると聞いています」
「ぜひ、参加したいです!」
「そう言うと思ったので、既に参加の旨をアダン様に伝えておきました」
「ありがとうございます!」
(アダン様も同行するのか)
現地で調査するとなると、やはり胸が昂る。薬の実物に枯れる前の姿を見たいという欲が、胸の内から湧いて出てくるのだ。
「ハイダさん、留守をお願いします」
「はい、お任せください」
にこりと笑うハイダに頼りがいを感じた。そして調査へ向かう日、私が乗る馬車はアダン様が乗る馬車である事を彼の従者から知らされる。
「そうですか、分かりました」
(そうなるか……)
「ジャスミンさん、お嫌ですか?」
「いや! そんな事は無いです!」
(嫌といえば不敬になりそうで怖いし、かといってアダン様と従者と一緒となると緊張するなあ……)
馬車は王族のものという事で下見をした。金色の豪華な装飾がふんだんに使われた最高級クラスのものだ。座席もふかふかで座り心地がこれまで座ってきた馬車の中では一番良い。
私が玄関でトランクを持ち待っていると、アダン様が従者を従えてやって来た。
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