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第26話 教会の炊き出し
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この日は朝から王族の公務にハイダと共に同行している。場所はユングミル城の近くにある教会。ここで今回行う公務の一部である炊き出しと無償の診察の為に同行をしているのだった。
診察の補助と炊き出しにと、やる事はたくさんある。まず教会についてすぐに炊き出しとして農民に配るスープを作るのを手伝い、更に診察を行う区画を整備した。
「診察希望の方はこちらに並んでください」
診察が始まってからは、農民達の誘導を任される。教会にはすでに沢山の農民がぎゅうぎゅうに押し寄せて、診察の区画にも大きな列ができていた。どうやら遠くから駆けつけてきた農民もいるようだ。しれっとこないだ襲い掛かってきた盗賊も何人か農民に紛れて列に並んでいる。
まだ王族はおでましになっていなくてこれである。来たら一体どのようになってしまうのか。
「どうぞ。こちらへ」
「お願いします」
区画ではハイダが診察の手伝いをしていた。診察が終わると、必要な者には薬を与える。
「こちらが薬です。早く良く治りますように」
「ハイダ様ありがとうございます」
老婆がハイダから痛み止めの薬草をもらい、深々と礼をして去っていく。その次には中年くらいの女性が現れて椅子に座った。
「身体のほてりが止まらなくて……」
「では、この薬草を使ってみてください。後はこちらの野菜を食べて、熱を身体が覚めない程度に取るようにしてみてください。ハイダさん、薬を」
「はい、こちらです」
「お医者さんに薬師さん、ありがとうございます。やってみます」
「では、次の方どうぞ」
すると列の後方付近から大きな歓声と従者の声が響き渡る。
「王族方のおでましである!」
露払いの為の従者を先頭に、国王陛下、王妃アネーラ、アダン様が列を成して教会の正門を潜ってこちらへとやって来た。
「陛下ーー!」
「王太子殿下ーー!」
大歓声に包まれながら、彼らは炊き出しの方へと歩き、そしてアダン様が玉杓子を持ち直接お皿にスープをよそい農民へと配り始めた。
「はい、これ食べて元気になってね」
「お、王太子殿下! ありがたき幸せ……!」
とびっきりの笑顏を浮かべながら、スープを配り続けるアダン様を国王陛下は農民と歓談しながら優しい目で見つめていた。
「ああ、王太子殿下かっこいい!」
「文武両道の完璧な王太子殿下! ああ、私が貴族の生まれだったらなあ」
少女から若い女性にかけ、黄色い歓声を浴びるアダン様の女性人気のすごさを改めて実感する。
しかも彼女達は、スープをよそうアダン様に握手をしようと手を伸ばし、従者に危ないと注意を受けていた。
(すごいモテモテだ)
診察の補助と炊き出しにと、やる事はたくさんある。まず教会についてすぐに炊き出しとして農民に配るスープを作るのを手伝い、更に診察を行う区画を整備した。
「診察希望の方はこちらに並んでください」
診察が始まってからは、農民達の誘導を任される。教会にはすでに沢山の農民がぎゅうぎゅうに押し寄せて、診察の区画にも大きな列ができていた。どうやら遠くから駆けつけてきた農民もいるようだ。しれっとこないだ襲い掛かってきた盗賊も何人か農民に紛れて列に並んでいる。
まだ王族はおでましになっていなくてこれである。来たら一体どのようになってしまうのか。
「どうぞ。こちらへ」
「お願いします」
区画ではハイダが診察の手伝いをしていた。診察が終わると、必要な者には薬を与える。
「こちらが薬です。早く良く治りますように」
「ハイダ様ありがとうございます」
老婆がハイダから痛み止めの薬草をもらい、深々と礼をして去っていく。その次には中年くらいの女性が現れて椅子に座った。
「身体のほてりが止まらなくて……」
「では、この薬草を使ってみてください。後はこちらの野菜を食べて、熱を身体が覚めない程度に取るようにしてみてください。ハイダさん、薬を」
「はい、こちらです」
「お医者さんに薬師さん、ありがとうございます。やってみます」
「では、次の方どうぞ」
すると列の後方付近から大きな歓声と従者の声が響き渡る。
「王族方のおでましである!」
露払いの為の従者を先頭に、国王陛下、王妃アネーラ、アダン様が列を成して教会の正門を潜ってこちらへとやって来た。
「陛下ーー!」
「王太子殿下ーー!」
大歓声に包まれながら、彼らは炊き出しの方へと歩き、そしてアダン様が玉杓子を持ち直接お皿にスープをよそい農民へと配り始めた。
「はい、これ食べて元気になってね」
「お、王太子殿下! ありがたき幸せ……!」
とびっきりの笑顏を浮かべながら、スープを配り続けるアダン様を国王陛下は農民と歓談しながら優しい目で見つめていた。
「ああ、王太子殿下かっこいい!」
「文武両道の完璧な王太子殿下! ああ、私が貴族の生まれだったらなあ」
少女から若い女性にかけ、黄色い歓声を浴びるアダン様の女性人気のすごさを改めて実感する。
しかも彼女達は、スープをよそうアダン様に握手をしようと手を伸ばし、従者に危ないと注意を受けていた。
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