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第13話 助けに入ってくれた

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 媚薬があるのは、棚の上から2段目。私の頭よりもはるかに高い位置にある。

「台、台は……」

 台を探し出して置くと、台の上に乗って媚薬の入っている木箱へ両手を伸ばして木箱を取る。

「……!」

 その時、身体のバランスが崩れた。

(あ……)

 頭の中が真っ白になり、視界は真っ暗になる。

(終わった)
「大丈夫?怪我は無い?」

 恐る恐る目を開くと、アダン様が後ろから私を抱き寄せるようにして支えてくれていた。木箱を頭の上からお腹の位置まで降ろす。木箱もなんともないようだ。私は振り返って彼を見る。

「あ、アダン様……?」
「大丈夫そうだね。ちなみに何を?」
「あ……」

 アダン様の視線は、私の持つ木箱に向けられる。

「媚薬じゃん」
「あ、はい……」
「じゃあ、俺も1つ貰おっと」

 アダン様は軽々と、木箱を開いて媚薬の入った瓶を1本取っていった。
 
「あ、あの……! さっきは」
「これは誰にも秘密ね」

 アダン様はそう言うと、私に軽く口づけし去っていった。

(アダン様……お礼と謝罪出来なかった)

 助けてくれた彼にお礼と謝罪を言い損ねてしまった。だが余韻に浸っている暇は無い。私は木箱から瓶を1本取りそのまま小走りで医務室に戻る。

(片付けは後で!)
「お待たせしました!」
「ジャスミンさん、何かありました?」

 ハイダからそう心配そうな顔をして聞かれる。私はアダン様の事は伏せ、木箱を取るのに手間取った旨は正直に伝えると、瓶を王妃アネーラ直属のメイドに渡した。

「ありがとうございます」

 王妃アネーラ直属のメイドが退出した後、私は木箱を元の位置に戻すべくもう一度医薬庫に向かおうとすると、ハイダが止める。

「私がやっておきます」
「え、でも……私が」
「何かあれば危ないですし、ここは私に任せてください」
「……すみません」
(罪悪感が……)

 ハイダに対して、罪悪感と申し分ない気持ちで胸がいっぱいになる。
 その後、戻ってきたハイダに改めて私は謝罪した。

「大丈夫ですよ、気にしないでください」

 そう笑顔で答えてくれるハイダを見ると、更に申し分なさが沸き立ってしまう。 
 すると私の周りに薬師とメラニーが集まって来た。

「ジャスミンさん、医薬師長が言うのだから大丈夫よ」
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