あやかしとシャチとお嬢様の美味しいご飯日和

二位関りをん

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第111話 海の幸を鍋で

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 そしてサザエだ。貝に身が入ったまま焼く、つぼ焼きの状態で調理しているのでこちらも身を取り出してから食べる必要がある。

「竹串持ってきましょうか?」

 沼霧さんからの提案に、私はお願い。と答えた。

「竹串持ってまいりましたどうぞ、気を付けて」
「ありがとう、沼霧さん」

 沼霧さんから竹串を1本貰い、身の真ん中付近に深く突き刺し、貝から身を取り出す。

「取れた……!」

 取れたサザエを半分かじって、口の中で噛む。歯ごたえがあり、しょうゆも効いていて美味しい。

「うん、美味しい……歯ごたえもあるし、食べ応えがある」

 こうして焼き貝とエビを麦ごはんと共に美味しく頂いたのだった。これはまた食べたい。

「ごちそうさまでした」

 夕食はこれらを野菜と共に鍋に煮込んで頂く。こちらも楽しみだ。
 17時過ぎ。台所に降りて沼霧さんと共に夕食の準備を進める。

「サザエは全部頂いたので、後は牡蠣とエビですね」
「エビは殻剥いとく?」
「剥きましょう。カキも殻外しておきます」

  エビは頭を外して殻をむく。竹串を使って背わたを取り出すのも忘れない。エビの殻向きが終わったら器にエビを入れて塩を少し入れて水洗いをして汚れを落とす。
 牡蠣も殻を外した後は、エビと同様に塩を少し入れてから水洗いをして汚れを落としていく。

「これでエビと牡蠣の下処理は終わったかな」

 鍋に使う野菜は白菜とニンジンと太ネギ。これに豆腐も入れる。白菜はちぎりニンジンは細長い短冊形に切ってざるの中に入れて軽く水洗いをしてから、鍋に入れる。豆腐は丸ごと入れて、その周りにエビと牡蠣を入れた。

「しょうゆ……」

 しょうゆを軽く入れて水も入れてから、火にかけて蓋を閉じる。

(ごはんは鍋の〆の雑炊にしようかな)

 湧いてきた所で鍋の蓋を開けて、アクを取り更に煮詰まって来たら完成だ。火を止めた後は食卓を台拭きで拭いてお皿やお箸を並べていく。

「ただいま戻りました」
「篝先生、おかえりなさい」
「千恵子さん、良い匂いがしますね」
「今日の夕食はお鍋にしてみました。沼霧さんが素潜りで採ってきたものです。篝先生もぜひ!」

 篝先生はそれは楽しみですねえ。と言いつつ硬さの抜けた笑みを見せると、そのまま食卓へと歩いていった。

「お待たせしました」

 沼霧さんが熱々のお鍋を持ってきた。鍋敷きの上に乗せると湯気が部屋中に広がっていく。

「エビと牡蠣入ってる!」
「そうだよぬらりひょん。余ってたから入れたの」
「うわあ……どれから食べようかなあ」

 ぬらりひょんは鍋の中を見ながらどれを先に食べようかとじっと目を凝らし続ける。

「どれから食べても大丈夫よ、ぬらりひょん」

 それを母親が優しく声をかけたのだった。






 

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