あやかしとシャチとお嬢様の美味しいご飯日和

二位関りをん

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第109話 沼霧さんの素潜り漁

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 この日は朝から晴れていて穏やかな天気だ。まだ寒さはあるが、それでも幾分マシに思える。
 朝食後。篝先生はいつも通り陸軍の施設に、母親とぬらりひょんは一緒に婦人会に、私と沼霧さんは桟橋にそれぞれ向かう。

「おはよう、光さん」
「千恵子おはよう、沼霧も」
 
 海には光さんとその家族が何頭か来ていた。そして着物姿の沼霧さんの手には、底が深めの木製の籠が握られている。
 そう。今から沼霧さんは光さんの仲間と共に素潜り漁に向かうのだ。漁のお目当ては貝である。

「では、行ってきますね」
「うん、沼霧さん気をつけて!」

 沼霧さんは籠を右わきに抱えるように持って、綺麗な姿勢で勢いよくばしゃんと海へ飛び込んで行った。

「とりあえず沼霧は妹がいるから置いとくとして、千恵子はどうするんだ?」
「ここで待つつもり」
「おう、そうか。じゃあ、甥っ子と遊ぶか?」
「うん!」

 私は別荘から紙風船を持ち出し、光さんの甥っ子と投げ合って遊ぶ。光さんの甥っ子は上手く頭を使って紙風船を投げてくれる。最初は海面に落としたり勢いが強すぎたりもしたが、何度か遊ぶ内にそれらはほとんど無くなっていった。

(器用だなあ)

 しばらく彼らと遊んでいると、沼霧さんが泳いでこちらへと戻ってきた。1、2時間は経過しただろうか。

「戻りました!」

 沼霧さんは桟橋近くまで泳ぐと、そこから妖力を使って下半身をいつもの人の姿に変えてから、足を伸ばして桟橋に上がった。

「沼霧さん、お疲れ!」

 沼霧さんは手を伸ばして妖力で着物を乾かしてから、笑みを浮かべつつ籠の中を私に見せてくれた。
 籠の中にはエビに牡蠣などの貝がゴロゴロと入っている。

「結構採れました!」
「ほんとだ、すごい……!」
「採ったやつどうすんだ?」

 光さんからの質問に、沼霧さんは一旦考え込むとあ、そうだと何か思いついたような表情を見せる。

「昼は七厘で貝を焼いて、夜は鍋にしましょうか?」

 私は勿論了承した。焼くのも煮るのもどちらも美味しそうだ。

「じゃあ、支度しましょうか」
「光さん、またね」
「おう、気をつけてな」

 光さん達と解散した後は別荘に戻ると台所から七厘を取り出して、別荘の裏に持っていく。
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