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第99話 ブリ鍋②
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「あら、お昼は鍋?」
外出から戻って来た母親が、台所に入って来た。
「光さんからブリ貰ったから、それで鍋しようかなって」
「じゃあ、新しい白菜入手したから使う?」
「いや、足りると思うけど……足らなかったら使う」
「分かったわ。じゃあ、ここに置いとくから」
「ありがとう」
母親は台所から退出していった。私は鍋を戸棚から取り出して、軽く水洗いし、鍋を拭く。
「野菜切り終わりました」
沼霧さんが白菜とニンジン、豆腐を切ってくれたので、それらを鍋に入れる。
しょうゆ少しと昆布の切れ端に水も入れて、火にかけて煮詰めていく。
「出てきた……」
途中、灰汁取りも欠かさず行い、更に煮詰めていく。良いだしの匂いが気がつけば台所中に広がっていた。
「ブリ入れますね」
「お願い」
最後に薄く切ったブリを入れ、火が通ったのを確認すると完成だ。
「よし、完成!」
麦ごはんをお茶碗に盛っている時、ぬらりひょんが丁度良く台所にやって来た。
「良い匂いがする」
「鍋したの。それだと思う」
「ブリの鍋?」
「そう」
「お腹減ったあ……」
「じゃあ、ちょっと手伝ってくれる?」
ぬらりひょんに食卓を拭くのを任せ、私は残りのお茶碗に麦ごはんをよそう。準備が整うといよいよ昼食だ。
「熱いですよ~」
食卓のど真ん中に置かれた鍋敷きに、沼霧さんが鍋を置いた。
「わあ……」
「ぬらりひょん、熱いから気を付けてね」
「うん、冷ましてから食べる」
白い小皿に野菜とブリの切り身1枚を取り分け、ある程度冷ましてから頂く。
「むっ……」
ブリは程よく脂味が乗っていて、とても美味しい。脂っこく無くて、食べやすい味だ。
野菜も柔らかく味が染み出ていて美味しい。
「うん、美味しい……!」
それに、身体も芯からじんわりと温まる。
「温まる!」
「寒い時はやっぱ鍋に限るわね」
「確かにお母さんの言う通りだよ」
鍋のブリは麦ごはんとも合う味だ。麦ごはんももりもりと進む。
「ぬらりひょんどう?」
「ブリ美味しい!」
「ほんと?」
「うん、ごはんおかわり」
早くもぬらりひょんはごはんを完食していた。私は彼女からお茶碗を受け取り、おかわりの分をよそう。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
ぬらりひょんはブリ1枚を麦ごはんに乗せて、一緒にもそもそと食べて行く。
(私もごはんおかわりしようかなあ)
ブリが食欲をかき立てていく。
「よし、おかわりしよ」
外出から戻って来た母親が、台所に入って来た。
「光さんからブリ貰ったから、それで鍋しようかなって」
「じゃあ、新しい白菜入手したから使う?」
「いや、足りると思うけど……足らなかったら使う」
「分かったわ。じゃあ、ここに置いとくから」
「ありがとう」
母親は台所から退出していった。私は鍋を戸棚から取り出して、軽く水洗いし、鍋を拭く。
「野菜切り終わりました」
沼霧さんが白菜とニンジン、豆腐を切ってくれたので、それらを鍋に入れる。
しょうゆ少しと昆布の切れ端に水も入れて、火にかけて煮詰めていく。
「出てきた……」
途中、灰汁取りも欠かさず行い、更に煮詰めていく。良いだしの匂いが気がつけば台所中に広がっていた。
「ブリ入れますね」
「お願い」
最後に薄く切ったブリを入れ、火が通ったのを確認すると完成だ。
「よし、完成!」
麦ごはんをお茶碗に盛っている時、ぬらりひょんが丁度良く台所にやって来た。
「良い匂いがする」
「鍋したの。それだと思う」
「ブリの鍋?」
「そう」
「お腹減ったあ……」
「じゃあ、ちょっと手伝ってくれる?」
ぬらりひょんに食卓を拭くのを任せ、私は残りのお茶碗に麦ごはんをよそう。準備が整うといよいよ昼食だ。
「熱いですよ~」
食卓のど真ん中に置かれた鍋敷きに、沼霧さんが鍋を置いた。
「わあ……」
「ぬらりひょん、熱いから気を付けてね」
「うん、冷ましてから食べる」
白い小皿に野菜とブリの切り身1枚を取り分け、ある程度冷ましてから頂く。
「むっ……」
ブリは程よく脂味が乗っていて、とても美味しい。脂っこく無くて、食べやすい味だ。
野菜も柔らかく味が染み出ていて美味しい。
「うん、美味しい……!」
それに、身体も芯からじんわりと温まる。
「温まる!」
「寒い時はやっぱ鍋に限るわね」
「確かにお母さんの言う通りだよ」
鍋のブリは麦ごはんとも合う味だ。麦ごはんももりもりと進む。
「ぬらりひょんどう?」
「ブリ美味しい!」
「ほんと?」
「うん、ごはんおかわり」
早くもぬらりひょんはごはんを完食していた。私は彼女からお茶碗を受け取り、おかわりの分をよそう。
「はい、どうぞ」
「ありがとう」
ぬらりひょんはブリ1枚を麦ごはんに乗せて、一緒にもそもそと食べて行く。
(私もごはんおかわりしようかなあ)
ブリが食欲をかき立てていく。
「よし、おかわりしよ」
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