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第98話 ブリ鍋①
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この日は朝から雨が降っている。冬という事で梅雨どきに降る雨とは雰囲気が違う。具体的に言うと、雨の雫は冷たさを纏っている。
「羽織……」
朝の診察が終わると、私服に着替えて布団の傍らに置いてある羽織を羽織る。
これを着るのと着ないのとではかなり違う。
「さむいさむい……」
朝食後、私は傘を差してぬらりひょんと一緒に桟橋へ、光さんの元に向かった。
「光さん、おはよう」
光さんと甥っ子が桟橋近くの海にいる。よく見ると海底のじゃりで垢すりをしているようだ。
「千恵子とぬらりひょんじゃねえか。おはよう」
「光さん、寒くない?」
「全然?」
「そ、そうなんだ……」
「シャチはこれくらい平気よ」
そう自慢気に語る光さん。甥っ子も口を開けて元気そうな表情を見せる。
「シャチ!」
ぬらりひょんがその場にしゃがんで、甥っ子の顔を覗き込んでいる。
「落ちたら危ないよ」
「へいきへいき」
「千恵子の言う通り、落ちないように気をつけろよ。あっ千恵子。これやる」
光さんの自前の網を私は手を伸ばして受け取った。網の中身はブリが丸々1匹入っている。
「ブリだ」
「すげえ良さそうだと思って取ってきたのよ」
「ありがとう、今日のごはんにする。網返すね」
「千恵子姉ちゃん、今日はブリ?」
ぬらりひょんに尋ねられ、私はそうしようかな。と返した所、ぬらりひょんは楽しみだあ。と呟いた。
「喜んでるようで良かったが、お前らが寒いなら長居は無用だ、じゃあな」
「光さんありがとう、またね」
「おうよ」
別荘に戻ると、早速沼霧さんにブリを手渡す。
「立派なブリですねえ」
「ブリの煮付けにでもします? それとも鍋に?」
「そうしましょう。昼鍋で夕食に煮付けにしますか」
「じゃあ、それでいこう」
まずはブリの解体。内臓を出したりする下処理を沼霧さんと2人で進めていく。
「よいしょ……」
「沼霧さん、大丈夫?」
「いけます、ここ、しっかりと押さえて頂けたら……!」
「了解!」
内臓を取り出し、さばき終えると今度は身を何個かに切って分けていく。
分け終えると更に1つ分を薄く切る。この薄く切った身を鍋に使う。
「沼霧さん、それにしても包丁さばき綺麗だよね」
「慣れ、ですかね」
「やっぱり?」
「そうです」
やはり、日頃からの積み重ねは大事なのだろう。
「羽織……」
朝の診察が終わると、私服に着替えて布団の傍らに置いてある羽織を羽織る。
これを着るのと着ないのとではかなり違う。
「さむいさむい……」
朝食後、私は傘を差してぬらりひょんと一緒に桟橋へ、光さんの元に向かった。
「光さん、おはよう」
光さんと甥っ子が桟橋近くの海にいる。よく見ると海底のじゃりで垢すりをしているようだ。
「千恵子とぬらりひょんじゃねえか。おはよう」
「光さん、寒くない?」
「全然?」
「そ、そうなんだ……」
「シャチはこれくらい平気よ」
そう自慢気に語る光さん。甥っ子も口を開けて元気そうな表情を見せる。
「シャチ!」
ぬらりひょんがその場にしゃがんで、甥っ子の顔を覗き込んでいる。
「落ちたら危ないよ」
「へいきへいき」
「千恵子の言う通り、落ちないように気をつけろよ。あっ千恵子。これやる」
光さんの自前の網を私は手を伸ばして受け取った。網の中身はブリが丸々1匹入っている。
「ブリだ」
「すげえ良さそうだと思って取ってきたのよ」
「ありがとう、今日のごはんにする。網返すね」
「千恵子姉ちゃん、今日はブリ?」
ぬらりひょんに尋ねられ、私はそうしようかな。と返した所、ぬらりひょんは楽しみだあ。と呟いた。
「喜んでるようで良かったが、お前らが寒いなら長居は無用だ、じゃあな」
「光さんありがとう、またね」
「おうよ」
別荘に戻ると、早速沼霧さんにブリを手渡す。
「立派なブリですねえ」
「ブリの煮付けにでもします? それとも鍋に?」
「そうしましょう。昼鍋で夕食に煮付けにしますか」
「じゃあ、それでいこう」
まずはブリの解体。内臓を出したりする下処理を沼霧さんと2人で進めていく。
「よいしょ……」
「沼霧さん、大丈夫?」
「いけます、ここ、しっかりと押さえて頂けたら……!」
「了解!」
内臓を取り出し、さばき終えると今度は身を何個かに切って分けていく。
分け終えると更に1つ分を薄く切る。この薄く切った身を鍋に使う。
「沼霧さん、それにしても包丁さばき綺麗だよね」
「慣れ、ですかね」
「やっぱり?」
「そうです」
やはり、日頃からの積み重ねは大事なのだろう。
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