あやかしとシャチとお嬢様の美味しいご飯日和

二位関りをん

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第93話 竹槍訓練のお達し

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「千恵子、これ」

 朝食を食べ終わり、居間でぬらりひょんとお手玉で遊んでいた時母親からビラを貰う。

「竹槍訓練?」
「来週学校の運動場で行うの。島にいる婦女子全員が対象って書いてあるわ」

 確かにビラには島にすむ婦女子は全員参加するようにという文言が表記されている。

「それに、千恵子はまだ竹槍訓練出た事ないでしょ?」

 母親の言う通り、私はまだ一度も訓練には参加した事が無い。母親は島の婦人会で何度か体験した事があるようだ。

「竹槍訓練どうなの?」
「どうなのって言われたら……普通に突いたり差したり……」
「千恵子姉ちゃん、私も行きたい!」

 ぬらりひょんが手をあげて、私も竹槍訓練に参加したいという意志を示す。

「お母さん。子供は参加出来るの?」
「出来るみたい。じゃあ、ぬらりひょんもいく?」
「いくいく!」
「沼霧さんも合わせたら4人か」
「ええ、そうなるわね」

 こうして私達の竹槍訓練への参加が決まったのだった。
 昼食は、麦ごはんの余りをおにぎりにして頂く。

「頂きます」

 麦ごはんの甘味が噛めば噛むほど口の中で広がり、美味しい。飽きない味だ。

「最近、ごはん少ないなあ」

 私と対称的にぬらりひょんは不満があるようだ。

「毎日ぜいたく出来るわけじゃないし……」
「うん……だけど今はごちそうが食べたい気分」

 ぬらりひょんの言う事もなんとなく理解出来る。なので私は彼女の言い分を否定しづらい気分だ。

「……今日の夕食、奮発します?」
「沼霧さん、何にする?」
「ほうとうはどうですか? 具沢山で」
「ほうとう?! 食べたい!」

 ぬらりひょんが目を輝かせて食いついてきた。

「じゃあ、決まりね」

 ほうとうに使う具材は、太ネギと白菜、ニンジンと玉ねぎを使う。
 そして手打ちのうどんだ。私は自室で一休みしてから、台所で沼霧さんとうどんを作る。

「小麦粉は……」
「その棚の中です」
「あ、あった」

 入れ物に小麦粉を入れると、うどん作りが始まる。

「よいしょ……よいしょ……」
「千恵子さん、もっと腰落としたら力が入りやすいかと」
「こう?」
「そうです。……代わりましょうか?」
「いや、やる」
 
 なんとか生地を練り終わると、しばらく寝かせる。

「一旦休みましょうか」
「そうだね……疲れたあ」

 うどんを作るだけでどっと疲れが出る。

(体力が落ちてるのかな……)
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