あやかしとシャチとお嬢様の美味しいご飯日和

二位関りをん

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第50話 ほうとう③

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「私もおにぎり食べて良い?」

 沼霧さんに聞くと、ぜひ!と答えてくれたので、私もおにぎりを頂く事にした。 

「むっ」

 麦ごはんの甘味と、梅干しのしょっぱさが上手く均衡がとれていて美味しい。梅干しは塩分控えめというが酸っぱさはしっかりある上に、酸っぱさの奥にはコクがある。

「美味しい」

 試しにほうとうの中におにぎりを入れて、崩して食べてみた。梅干しの酸っぱい味に味噌のコクとが混ざり合いごはんが進む味になる。

(食べ方あんまり綺麗じゃないけど。すごいさらさらいける)

 そんな中、海風も私と同じ食べ方をし始めた。

「どう?」
「千恵子さん、この食べ方良いかもです。すごいさらさらいけます」
「でしょ?」
「千恵子。よそではそういう食べ方だめよ」
 
 母親にくぎを刺され。はい。と答えるのだった。

「ごちそうさまでした」

 ほうとうもおにぎりも美味しくいただけた。海風も完食できたようだ。海風の顔色もだいぶ良くなっている。

「一応漢方飲んでおきます? 食後になっちゃいますが」

 沼霧さんからの提案も受け、海風は念のため沼霧さんが用意した熱さましの漢方を飲んだ。

「海風さん。あまり無理はなさらないでくださいね」
「はい。あ、私はどこでいたらいいですかね?」
「ヨシさん。空部屋お貸ししても大丈夫ですか?」

 沼霧さんが母親に尋ねると、母親は快諾した。母親には今度は詳細も含めて、海風についての話をする。

「あらまあ……お母さん早く見つかるといいわね」
「ええ……」
「私と千恵子は人間だけど、あやかしは沼霧さんとか良い子達がたくさんいるから、何かあれば頼って頂戴」
「はい。お気遣いありがとうございます」

 海風を先ほどまでいた2階の部屋に連れて行く。一旦私の部屋の窓から海を眺めてみたが、光さんらしき背びれは見当たらない。

(流石にまだ、だよね……)

 すると、私の部屋に海風がゆっくりと入ってきた。

「良い眺めですね。海が沖合まで見渡せます」
「うん。私の部屋。眺め綺麗でしょ?ここ気に入ってるんだ」
「ええ!」

 この家の中でも、この部屋は特に好きだ。沖まで見通せて、船もシャチもクジラもイルカも見れる。

「お母さん、早く見つかるといいね」
「ええ、早く見つかってほしいです」
「光さんが見つけてくれるって。絶対」
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