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第33話 クジラ狂騒曲①
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私は少しだけ食卓で何して過ごそうかと考えた。私の隣で母親は、また新聞を読んでいる。
「好きだねえ、新聞」
「なんだかんだで面白いもの」
そんな母親を私は横目で見た。
(……光さんの様子でも見に行こうかな)
私は家を出て、桟橋へと向かうと丁度光さんがこちらへと向かって来ていた場面だった。
しかも、いつもより泳ぐ速度が速い気がする。
「光さん!」
「千恵子、漁港行ったか?!」
光さんの語気が強い上になんだか焦りを感じる。何かあったのだろうか。
「何かあったの?!」
「捕鯨船がでっかいクジラ捕まえて漁港に来てる。魚道もいるだろうから詳しい話はそいつに聞きな!!」
「分かった!!」
月館島は、夏になると島の近海に多くのクジラが集まって来る。勿論クジラやイルカは年がら年中、いるのはいるのだが、特に夏になると数が多くなる。
光さんはその事について、北方の海から子育てや繁殖の為に来てるんじゃないかと言う考察を立てている。
そんなクジラを取る為に夏の間、月館島から捕鯨船が行き来するようになる。漁港にクジラの肉が卸されると、多くの島民達がやってきて大賑わいになるのだ。
月館島の場合、捕鯨の対象はヒゲクジラ類。光さんのようなハクジラ類は対象じゃないらしい。余談だが、島民の間ではシャチはまずくて食べられないという「噂」がある。
(今日、クジラ肉はどうだろうか)
漁港へ行く前に家に一旦戻って、お茶を入れていた沼霧さんと、新聞を読み終えた母親にその事を報告する。
「千恵子、クジラの肉ですって?」
「そうそう。クジラ肉。2人はどう?」
「良いですね、ヨシさんはどうですか?」
「……天ぷらでもしちゃう?」
母親は見るからに上機嫌だ。と言う訳で早速徒歩で漁港へ行くと、なんと漁港でクジラが解体されていた。
前見た時は船で解体されて、漁港で分配されていたような記憶があるが、なぜだろうか。
「魚道さん!」
島民の人だかりを交わしつつ、近くにいた魚道さんに、事情を聴いてみる。
「ああ、解体する所の母船は海軍に接収されてるから使えないんだって。だから漁港で解体してる」
聞けば、捕鯨母船と呼ばれる船は全て海軍に接収されているのだという。その為捕獲したクジラをわざわざ漁港の開いている区画まで運び込んでそこで解体し、さばいているようだ。
だが、辺り一面血だらけである。これは掃除が大変そうだ。
「好きだねえ、新聞」
「なんだかんだで面白いもの」
そんな母親を私は横目で見た。
(……光さんの様子でも見に行こうかな)
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しかも、いつもより泳ぐ速度が速い気がする。
「光さん!」
「千恵子、漁港行ったか?!」
光さんの語気が強い上になんだか焦りを感じる。何かあったのだろうか。
「何かあったの?!」
「捕鯨船がでっかいクジラ捕まえて漁港に来てる。魚道もいるだろうから詳しい話はそいつに聞きな!!」
「分かった!!」
月館島は、夏になると島の近海に多くのクジラが集まって来る。勿論クジラやイルカは年がら年中、いるのはいるのだが、特に夏になると数が多くなる。
光さんはその事について、北方の海から子育てや繁殖の為に来てるんじゃないかと言う考察を立てている。
そんなクジラを取る為に夏の間、月館島から捕鯨船が行き来するようになる。漁港にクジラの肉が卸されると、多くの島民達がやってきて大賑わいになるのだ。
月館島の場合、捕鯨の対象はヒゲクジラ類。光さんのようなハクジラ類は対象じゃないらしい。余談だが、島民の間ではシャチはまずくて食べられないという「噂」がある。
(今日、クジラ肉はどうだろうか)
漁港へ行く前に家に一旦戻って、お茶を入れていた沼霧さんと、新聞を読み終えた母親にその事を報告する。
「千恵子、クジラの肉ですって?」
「そうそう。クジラ肉。2人はどう?」
「良いですね、ヨシさんはどうですか?」
「……天ぷらでもしちゃう?」
母親は見るからに上機嫌だ。と言う訳で早速徒歩で漁港へ行くと、なんと漁港でクジラが解体されていた。
前見た時は船で解体されて、漁港で分配されていたような記憶があるが、なぜだろうか。
「魚道さん!」
島民の人だかりを交わしつつ、近くにいた魚道さんに、事情を聴いてみる。
「ああ、解体する所の母船は海軍に接収されてるから使えないんだって。だから漁港で解体してる」
聞けば、捕鯨母船と呼ばれる船は全て海軍に接収されているのだという。その為捕獲したクジラをわざわざ漁港の開いている区画まで運び込んでそこで解体し、さばいているようだ。
だが、辺り一面血だらけである。これは掃除が大変そうだ。
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