148 / 161
一方その頃
しおりを挟む
ナターシャとナジャが捕らえられ、馬車に乗せられ後宮へ移送され始めた時。メイルとマッシュは縄から解き放たれ大通りから帰るように指示を受けた。
「あの2人はどうなるのじゃ?!」
と、叫ぶように兵士へ尋ねるマッシュ。
「あの2人はこれから陛下の寵愛を受ける」
「し、死にはしないんじゃな?」
「大丈夫だ。殺しはしない。陛下の機嫌を損なうような真似をしなければな」
パレードは勿論中止。ローティカの街から兵士は引き上げていった。街にはまだケインら銃撃戦で犠牲になった者達の死体があちこちに転がっている。
「早く帰りましょ。リークやメイドの皆さん達にも伝えないと…!」
メイルとマッシュは、手を繋いで足早にナジャの別荘へと向かっていく。
街の繁華街から離れ、別荘が遠くに見え始めて来た時、夫婦は誰かに呼び止められる。
「?!」
夫婦がおそるおそる振り返ると、そこには傷だらけのレジスタンスのリーダー、ザナドゥの町長が立っていた。
「メイルとマッシュのご夫妻だな…ケインから話は聞いている」
「!」
「危害は加えない。ところで…リークは?ナターシャらしき人物が皇帝に連行されて行くのは見えたが…」
夫婦は迷った挙げ句、リークは別荘にいる。と正直に伝えた。
「そうか、巻き込まれなくて良かったな」
「確かにそうかもしれないわね。あなた、それより傷が…」
メイルはとりあえずレジスタンスのリーダーを別荘へと連れて行き、そこで医療魔術と手当てをする事に決めた。
別荘へと到着した3人は、メイドや料理長、そしてリークへローティカの街で行われた軍事パレードで起きた事全てを包み隠さず話した。
「…」
「…」
「…ナターシャ…」
リーク含め皆絶句と言った表情だった。更にメイドの顔は真っ青になっている。
リークの拳も小刻みに震えだした。
「ナターシャは、どうなる…?」
「皇帝の寵愛を受けると、言われたという事は…慰み者として扱われるのかもしれないわ」
「そうか…」
レジスタンスのリーダーを自身の医療魔術で応急処置したメイル。メイルは彼を試すように彼女を取り返せるかどうかを聞いた。
「分からない。うちのレジスタンスは…私以外もう生きていないかもしれない。元を辿れば玉砕覚悟の襲撃だった。…彼らの事を思うと自分が情けない」
「情けない事は無いわよ。生きるのは大事な事なんだから」
「…」
「それで、もし取り返せるなら…どう行動する?」
レジスタンスのリーダーは少し考え抜いた後、口を開く。
「残っている各地のレジスタンスと連携して、宮廷を攻める。そして、民の動きがあれば…」
「行けそう?」
「だが、私だけでは無理だ」
「でしょうね」
メイルはリークへ目線を向ける。
「リーク、あなたは…戦える覚悟は出来てる?」
リークはすぐには答える事が出来なかった。
「あの2人はどうなるのじゃ?!」
と、叫ぶように兵士へ尋ねるマッシュ。
「あの2人はこれから陛下の寵愛を受ける」
「し、死にはしないんじゃな?」
「大丈夫だ。殺しはしない。陛下の機嫌を損なうような真似をしなければな」
パレードは勿論中止。ローティカの街から兵士は引き上げていった。街にはまだケインら銃撃戦で犠牲になった者達の死体があちこちに転がっている。
「早く帰りましょ。リークやメイドの皆さん達にも伝えないと…!」
メイルとマッシュは、手を繋いで足早にナジャの別荘へと向かっていく。
街の繁華街から離れ、別荘が遠くに見え始めて来た時、夫婦は誰かに呼び止められる。
「?!」
夫婦がおそるおそる振り返ると、そこには傷だらけのレジスタンスのリーダー、ザナドゥの町長が立っていた。
「メイルとマッシュのご夫妻だな…ケインから話は聞いている」
「!」
「危害は加えない。ところで…リークは?ナターシャらしき人物が皇帝に連行されて行くのは見えたが…」
夫婦は迷った挙げ句、リークは別荘にいる。と正直に伝えた。
「そうか、巻き込まれなくて良かったな」
「確かにそうかもしれないわね。あなた、それより傷が…」
メイルはとりあえずレジスタンスのリーダーを別荘へと連れて行き、そこで医療魔術と手当てをする事に決めた。
別荘へと到着した3人は、メイドや料理長、そしてリークへローティカの街で行われた軍事パレードで起きた事全てを包み隠さず話した。
「…」
「…」
「…ナターシャ…」
リーク含め皆絶句と言った表情だった。更にメイドの顔は真っ青になっている。
リークの拳も小刻みに震えだした。
「ナターシャは、どうなる…?」
「皇帝の寵愛を受けると、言われたという事は…慰み者として扱われるのかもしれないわ」
「そうか…」
レジスタンスのリーダーを自身の医療魔術で応急処置したメイル。メイルは彼を試すように彼女を取り返せるかどうかを聞いた。
「分からない。うちのレジスタンスは…私以外もう生きていないかもしれない。元を辿れば玉砕覚悟の襲撃だった。…彼らの事を思うと自分が情けない」
「情けない事は無いわよ。生きるのは大事な事なんだから」
「…」
「それで、もし取り返せるなら…どう行動する?」
レジスタンスのリーダーは少し考え抜いた後、口を開く。
「残っている各地のレジスタンスと連携して、宮廷を攻める。そして、民の動きがあれば…」
「行けそう?」
「だが、私だけでは無理だ」
「でしょうね」
メイルはリークへ目線を向ける。
「リーク、あなたは…戦える覚悟は出来てる?」
リークはすぐには答える事が出来なかった。
11
お気に入りに追加
232
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました
さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。
王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ
頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。
ゆるい設定です
私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?
新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。
※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!
ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。
自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。
しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。
「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」
「は?」
母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。
「もう縁を切ろう」
「マリー」
家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。
義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。
対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。
「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」
都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。
「お兄様にお任せします」
実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる