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第120話 皇帝の顔、見たい?

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 皇帝キムの顔が見たいか見たくないかで言えば、見たい。
 しかし彼とは関わりたくはない。

(どう判断すべきか…)

 最初に声を出したのは、マッシュだった。

「パレードは気になるし、見てみたいのぅ。メイルはどうじゃ?」
「私も行ってみたいわね」

 どちらかというと、皇帝よりパレードが気になるようだ。

(まあ、私の知っている軍事パレードはかなり華やかだったし)

 前世でも軍事パレードは定期的に行われていた。帝都やローティカ、他の街でも行われていたが、予行演習を行っていたかどうかや、軍事パレードの詳細な準備なんかは流石に管轄外だったので覚えていない。

「ナターシャ、すごいだろう」

 軍隊の隊列や最新兵器を前にして、自慢気な顔を見せてきたあの男ならよーく覚えてはいるが。

(なんかあの顔思い出したら腹が立ってきたな…)
「ナターシャ、あなたは?」
「え?」

 ようやくナジャに呼ばれているのに気がついた私は、少し考え込んで皆に任せると告げたのだった。

「リークはどう?」
「ナジャ、自分もナターシャと同じ意見だな」

 リークも私と同じ意見のようだ。だが、彼の顔を見る限りあまり気乗りしてはいないようには見える。

「リーク」
「ナターシャ?」
「…私が言うのもあれだけど、無理はしなくて良いわよ。当日は人が沢山来るでしょうし…」
「ああ…」

 リークは頭を抱えながら考える。そして5分程経過した時彼は重い口を開いた。

「やはり、辞めておく。ここにいる」

 リークはこの別荘に留まる選択を選んだのだった。

「分かったわ」

 ナジャも理解を示したのか、ゆっくりとリークを見て頷いてくれた。

「じゃあ、明日の朝。パレード見に行きたい人はここに集まってね」

 というナジャの言葉を持って、集まりは解散となった。
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