【完結】処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜

第119話 回復そしてパレード前夜

　それから私の体調は何とか回復し、ナジャの別荘での生活にも大分慣れて来た。
　裏山で山菜やキノコを採ったり、中庭の畑で野菜を収穫する日は本当に楽しい。

（やっぱり、今の私にはこういう生活が向いている）

　後宮での派手な暮らしよりも、静かなスローライフの方が私には向いている。
　
　この日。朝食を食べ終えた私はナジャとリークと共に中庭の畑に出向き野菜を収穫し終えると、部屋で休憩に入った。

「ふう～」

　このベッドは寝心地も圧も本当にちょうど良い。

「寝てしまおうか…」

　昼食まで、少しだけ寝てしまおうかと考えた時。いきなりドーン！！と何かが爆発するような音が聞こえて来た。

「何？！」

　部屋の窓から、音のした方の空を見る。すると白い煙が天へと立ち込めていた。

「なんだろう…」

　私は部屋を出て、ナジャを探した。ナジャは中庭でリークと共に空に浮かぶ白い煙を注意深く眺めている。

「ナジャ！リーク！あれは…？！」
「ナターシャ、あれは多分明日の軍事パレードの予行演習かも…！」
「あ…」
「いよいよ明日みたいね」

　ナジャの厳しい目つきと、リークのどこか怯えたような目つきが私の胸に突き刺さった。
　その夜。ナジャの呼びかけにより夕食後に全員が食堂に集まり、明日の事についての話をする事になった。

「知ってる人もいるかもだけど、明日ローティカで皇帝が軍事パレードを開くわ」

　静かな、ピリピリした空気が食堂に流れる。先程食べた鹿肉のシチューの味が舌から一気に消えていくのが分かる。

「だから、明日…街へ行くか行かないか…皆に聞いてみようと思う。皇帝の顔、見たい人…いる？」