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第113話 鹿肉と野菜の鍋
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「夕食の準備が整いつつありますので、食堂へどうぞ」
部屋に入ってきたコックに促され、私は食堂に入室した。食卓テーブルの上には、既に大きな鍋敷きが置かれている。私が座った隣にはリークもいた。
「鍋ですって」
「どんな感じなんだろうな」
「気になるわよね…」
程なくしてマッシュとメイル、ナジャも到着して各々椅子に座る。
「楽しみ~」
既にナジャはテンション高めのようだ。腕を上げ下げしながらうきうきとはしゃいでいる姿は可愛らしい。
「皆さん揃いましたか?」
料理長がやってきた。
「全員揃ってるわよ~」
「お嬢様了解いたしました。ではお鍋をご用意いたします」
コックによって持ち運ばれたのは、黒いぐつぐつと煮えた丸い大鍋だ。コックは分厚い布で鍋の持ち手を持ち、身長に食卓テーブルの真ん中に置かれた、鍋時期へと置く。
「すごい、ぐつぐつ言ってる」
ナジャの言う通り、ぐつぐつと煮える音がダイレクトに聞こえてくる。席から立って鍋の中をのぞき込むと、お肉と野菜が良い感じで煮えていた。
「なんか、薬作っている時の鍋みたい」
と、魔女のメイルがくすっと笑いながら呟く。確かにこの鍋も、鍋でぐつぐつ何かを煮込むというシチュエーションもどこか、おとぎ話に出て来そうな、そんな雰囲気を感じさせてくれる。
(よく悪党がこういう沸騰したお湯の入った鍋に落ちて、こらしめられるみたいな話は聞いた事があるな)
するとコックが白い小皿を用意し、鍋に入った鹿肉と野菜を取り分けてくれた。
「皆さん熱いので気を付けてください。鍋から食材を取り分ける際は、私達へ申しつけください」
料理長の気遣いは助かる。これだけ煮えていたら、熱さで少し危なさそうだ。
(冷ましてから食べよう…)
部屋に入ってきたコックに促され、私は食堂に入室した。食卓テーブルの上には、既に大きな鍋敷きが置かれている。私が座った隣にはリークもいた。
「鍋ですって」
「どんな感じなんだろうな」
「気になるわよね…」
程なくしてマッシュとメイル、ナジャも到着して各々椅子に座る。
「楽しみ~」
既にナジャはテンション高めのようだ。腕を上げ下げしながらうきうきとはしゃいでいる姿は可愛らしい。
「皆さん揃いましたか?」
料理長がやってきた。
「全員揃ってるわよ~」
「お嬢様了解いたしました。ではお鍋をご用意いたします」
コックによって持ち運ばれたのは、黒いぐつぐつと煮えた丸い大鍋だ。コックは分厚い布で鍋の持ち手を持ち、身長に食卓テーブルの真ん中に置かれた、鍋時期へと置く。
「すごい、ぐつぐつ言ってる」
ナジャの言う通り、ぐつぐつと煮える音がダイレクトに聞こえてくる。席から立って鍋の中をのぞき込むと、お肉と野菜が良い感じで煮えていた。
「なんか、薬作っている時の鍋みたい」
と、魔女のメイルがくすっと笑いながら呟く。確かにこの鍋も、鍋でぐつぐつ何かを煮込むというシチュエーションもどこか、おとぎ話に出て来そうな、そんな雰囲気を感じさせてくれる。
(よく悪党がこういう沸騰したお湯の入った鍋に落ちて、こらしめられるみたいな話は聞いた事があるな)
するとコックが白い小皿を用意し、鍋に入った鹿肉と野菜を取り分けてくれた。
「皆さん熱いので気を付けてください。鍋から食材を取り分ける際は、私達へ申しつけください」
料理長の気遣いは助かる。これだけ煮えていたら、熱さで少し危なさそうだ。
(冷ましてから食べよう…)
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