【完結】処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜

第111話 皇帝キムの支持率

　ナジャは自分としてはしばらくこの別荘で暮らしたいが、ナターシャと言う名の女が次々と集められている以上ここにいるのも危ない気はする。と持論を展開する。
　実際彼女の言い分はどちらも正しいし、どちらもリスクとメリットが存在する。

「どうしたらいいのかしらね…」

　メイルも私と同じ考えのようだった。

「ナジャがここにいるって知られたら、陸軍の兵士が来るんじゃないの？」
「メイル、そういう時は私はナターシャじゃなくナジャって言い張るつもりよ」
「成程ね…」
「ナターシャは…良いとこの子だったりしない？もしそうだったら顔バレの可能性が考えられるんだけど」

　ナジャにそう言われた私は、農民出身だから大丈夫と答えた。数多いる農民なら顔バレの可能性は低いだろう。

「なら、顔バレの方は大丈夫かしらね」

　最悪モアと名乗れば良い話だし、顔については気にしなくてよいだろう。

「ねえ、ナジャ。戦争ってどれくらい進んでいるの？」
「ああメイル…知ってるかもしれないけど、この国は劣勢に立たされつつある。もう領地を超えて国境に近い都市や集落に相手国の侵攻が及んできているからね」
「そうだったの…」
「ローティカもどうなるか分からない。すぐには総攻撃は受けないとは思うけど、魔術による空襲なんかはもう起きたって不思議じゃない。一応ローティカはその辺守りを固めてるはず」

　私はこのタイミングで、ナジャへ人々がキムについてどう思っているのか聞いてみる事にした。

「半々ね…勿論頼りにしているとか、好意的な人もいれば、否定的に捉えている人もいる」
「半々…」
「半々か…」
「もっと言うと、否定的に捉えている人が、多いかもしれない。皇帝は戦ばかりで内政よりも遠征やそっちを優先してきた節は確かにあるから…」