【完結】処刑後転生した悪女は、狼男と山奥でスローライフを満喫するようです。〜皇帝陛下、今更愛に気づいてももう遅い〜

二位関りをん

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第88話 ケインと釣り①

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 確かに魅力的な話だ。それにリークやマッシュからすれば漁師になれるとあれば金銭面からしても魅力的な話かもしれない。

「漁にも色々あるんだ。船に乗って網で魚を取る漁もありゃあ、貝なんかを取る素潜り漁もある。それにザナドゥには素潜り漁やってる海女もいる」
「へえ…」
「アンタらどうだ?やってみないかい?」

 私はリークを見た。リークは十秒程考え込むと、やってみたいと告げた。
 マッシュも賛成の意思を見せる。

「じゃあ、決まりだな。メイルとナターシャも来るかい?」
「ええ、私もいくわ。ナターシャは?」
「私も行きます」

 こうして、私達の漁の参加が決まった。

「それにしても、ケインは優しいのう、我々のような狼男まで…」
「ははっ、ザナドゥの町長は狼男だからな。ザナドゥの民はそんな迫害なんて真似はしねぇよ」
「そうか…」

 マッシュは感慨深そうに、ケインを見つめる。

「この町に来て良かったのう…」
「おうおう、この町はいいぞ。気に入ってくれて何よりだ」

 マッシュは涙を流している。そんなマッシュをケインとメイルが肩を叩き励ましたのだった。
 その後、私達はケインに連れられ、漁港を訪れた。少数の町と言う事で規模は小さいが、設備は整っているように感じる。

「んじゃまあ、船に乗るか」

 漁船に乗るのは初めてだ。漁船の上は揺れて、しっかり力を入れて歩かないと倒れそうになる。

「ナターシャ、大丈夫か?」
「ええ、なんとか…」
「こっちに捕まれ」

 リークが右腕を差し出す。私は彼の腕にしがみついた。

(ちょっと安定した気がする…)
「みんな、乗ったかい?」

 ケインの声に、私含めて全員が声を出した。

「親分、乗ったぜい!」

 ケインが船の中へそう声をかけた。どうやらケインの上司が船の舵取りをするらしい。

「出港!」

 ケインの上司らしき男の声が、船中に響く。
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