95 / 161
第82話 鯛と憂鬱
しおりを挟む
話し合った結果、メイルとマッシュの元に向かい、話を聞いてみる事にしたのだった。
「あら、2人ともどうしたの?」
「ケインから、鯛貰ったんですが、どうやって調理したら良いのかと思って…」
私がそう打ち明けると、メイルは例のウサギを抱えて撫でながらああ、そう言う事ね。と口に出す。
「うちはお米と一緒に炊こうと思って。醤油と刻んだ生姜を入れると良いみたいね。レシピ本持ってく?」
「ありがとうございます…!」
こうしてメイルからレシピ本を受け取り、家に戻った後はリークと読んでみるのだった。
「美味しそうだなあ」
「ね、どれも試してみたいわ」
「とりあえず醤油はある。生姜もあったはずだ」
「お米と一緒に炊いてみましょうか」
こうして晩御飯が決まった。ここで私は自室で休む事に決めた。眠気もあるし、身体が少しだるい。
「一旦休もうかしら」
「そうだな、休んでおこう」
「お休みなさーい」
自室にはいり、ベッドの上に自分の身体を投げ出す。
「はあ~」
これから避難生活が始まる。それもどれくらいかかるか分からない。
あの男の事だ。自分が納得するまで、民など関係なく戦を続けるつもりなのだろう。
(…)
そう考えただけで、軽く絶望の淵に立たされるような気分に至る。
私は布団を被り、目を閉じた。
(また変な夢、見ないといいけど)
これから先。私達はどうなるのか。
リークをなるべく戦争には関わらせたくはない。彼の親切さにはいつも感謝している以上、私は彼の想いを尊重してあげたい。
(おせっかいかもしれないけど…)
それに私も、皇帝キムとはもう関わりたくないし、静かに平穏に暮らしたい。
(ずっと、静かに暮らすんだ…)
だが、戦争が本格的に始まりこの国が劣勢に立たされつつある今、その願いは贅沢なのも理解しつつある。
(それでも…)
「あら、2人ともどうしたの?」
「ケインから、鯛貰ったんですが、どうやって調理したら良いのかと思って…」
私がそう打ち明けると、メイルは例のウサギを抱えて撫でながらああ、そう言う事ね。と口に出す。
「うちはお米と一緒に炊こうと思って。醤油と刻んだ生姜を入れると良いみたいね。レシピ本持ってく?」
「ありがとうございます…!」
こうしてメイルからレシピ本を受け取り、家に戻った後はリークと読んでみるのだった。
「美味しそうだなあ」
「ね、どれも試してみたいわ」
「とりあえず醤油はある。生姜もあったはずだ」
「お米と一緒に炊いてみましょうか」
こうして晩御飯が決まった。ここで私は自室で休む事に決めた。眠気もあるし、身体が少しだるい。
「一旦休もうかしら」
「そうだな、休んでおこう」
「お休みなさーい」
自室にはいり、ベッドの上に自分の身体を投げ出す。
「はあ~」
これから避難生活が始まる。それもどれくらいかかるか分からない。
あの男の事だ。自分が納得するまで、民など関係なく戦を続けるつもりなのだろう。
(…)
そう考えただけで、軽く絶望の淵に立たされるような気分に至る。
私は布団を被り、目を閉じた。
(また変な夢、見ないといいけど)
これから先。私達はどうなるのか。
リークをなるべく戦争には関わらせたくはない。彼の親切さにはいつも感謝している以上、私は彼の想いを尊重してあげたい。
(おせっかいかもしれないけど…)
それに私も、皇帝キムとはもう関わりたくないし、静かに平穏に暮らしたい。
(ずっと、静かに暮らすんだ…)
だが、戦争が本格的に始まりこの国が劣勢に立たされつつある今、その願いは贅沢なのも理解しつつある。
(それでも…)
1
お気に入りに追加
233
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
稀代の悪女として処刑されたはずの私は、なぜか幼女になって公爵様に溺愛されています
水谷繭
ファンタジー
グレースは皆に悪女と罵られながら処刑された。しかし、確かに死んだはずが目を覚ますと森の中だった。その上、なぜか元の姿とは似ても似つかない幼女の姿になっている。
森を彷徨っていたグレースは、公爵様に見つかりお屋敷に引き取られることに。初めは戸惑っていたグレースだが、都合がいいので、かわい子ぶって公爵家の力を利用することに決める。
公爵様にシャーリーと名付けられ、溺愛されながら過ごすグレース。そんなある日、前世で自分を陥れたシスターと出くわす。公爵様に好意を持っているそのシスターは、シャーリーを世話するという口実で公爵に近づこうとする。シスターの目的を察したグレースは、彼女に復讐することを思いつき……。
◇画像はGirly Drop様からお借りしました
◆エール送ってくれた方ありがとうございます!
どうも、死んだはずの悪役令嬢です。
西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。
皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。
アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。
「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」
こっそり呟いた瞬間、
《願いを聞き届けてあげるよ!》
何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。
「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」
義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。
今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで…
ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。
はたしてアシュレイは元に戻れるのか?
剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。
ざまあが書きたかった。それだけです。
この度、猛獣公爵の嫁になりまして~厄介払いされた令嬢は旦那様に溺愛されながら、もふもふ達と楽しくモノづくりライフを送っています~
柚木崎 史乃
ファンタジー
名門伯爵家の次女であるコーデリアは、魔力に恵まれなかったせいで双子の姉であるビクトリアと比較されて育った。
家族から疎まれ虐げられる日々に、コーデリアの心は疲弊し限界を迎えていた。
そんな時、どういうわけか縁談を持ちかけてきた貴族がいた。彼の名はジェイド。社交界では、「猛獣公爵」と呼ばれ恐れられている存在だ。
というのも、ある日を境に文字通り猛獣の姿へと変わってしまったらしいのだ。
けれど、いざ顔を合わせてみると全く怖くないどころか寧ろ優しく紳士で、その姿も動物が好きなコーデリアからすれば思わず触りたくなるほど毛並みの良い愛らしい白熊であった。
そんな彼は月に数回、人の姿に戻る。しかも、本来の姿は類まれな美青年なものだから、コーデリアはその度にたじたじになってしまう。
ジェイド曰くここ数年、公爵領では鉱山から流れてくる瘴気が原因で獣の姿になってしまう奇病が流行っているらしい。
それを知ったコーデリアは、瘴気の影響で不便な生活を強いられている領民たちのために鉱石を使って次々と便利な魔導具を発明していく。
そして、ジェイドからその才能を評価され知らず知らずのうちに溺愛されていくのであった。
一方、コーデリアを厄介払いした家族は悪事が白日のもとに晒された挙句、王家からも見放され窮地に追い込まれていくが……。
これは、虐げられていた才女が嫁ぎ先でその才能を発揮し、周囲の人々に無自覚に愛され幸せになるまでを描いた物語。
他サイトでも掲載中。
【完結】元お飾り聖女はなぜか腹黒宰相様に溺愛されています!?
雨宮羽那
恋愛
元社畜聖女×笑顔の腹黒宰相のラブストーリー。
◇◇◇◇
名も無きお飾り聖女だった私は、過労で倒れたその日、思い出した。
自分が前世、疲れきった新卒社会人・花菱桔梗(はなびし ききょう)という日本人女性だったことに。
運良く婚約者の王子から婚約破棄を告げられたので、前世の教訓を活かし私は逃げることに決めました!
なのに、宰相閣下から求婚されて!? 何故か甘やかされているんですけど、何か裏があったりしますか!?
◇◇◇◇
お気に入り登録、エールありがとうございます♡
※ざまぁはゆっくりじわじわと進行します。
※「小説家になろう」「エブリスタ」様にも掲載しております(アルファポリス先行)。
※この作品はフィクションです。特定の政治思想を肯定または否定するものではありません(_ _*))
毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。
克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。
悪役令嬢ですが、ヒロインの恋を応援していたら婚約者に執着されています
窓辺ミナミ
ファンタジー
悪役令嬢の リディア・メイトランド に転生した私。
シナリオ通りなら、死ぬ運命。
だけど、ヒロインと騎士のストーリーが神エピソード! そのスチルを生で見たい!
騎士エンドを見学するべく、ヒロインの恋を応援します!
というわけで、私、悪役やりません!
来たるその日の為に、シナリオを改変し努力を重ねる日々。
あれれ、婚約者が何故か甘く見つめてきます……!
気付けば婚約者の王太子から溺愛されて……。
悪役令嬢だったはずのリディアと、彼女を愛してやまない執着系王子クリストファーの甘い恋物語。はじまりはじまり!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる