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第30話 宮廷ごっこ③
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私はまずは野菜スープを一口飲む。煮込まれた野菜とコンソメの味がしっかり染みていて美味しい。
「うん、美味しいわね」
スープを飲むと、胃がじんわりと温まる。この心地よさは変わらない。
「お気に召して頂いて、良かったです」
次に食べるのはどれにしようか。卵サンドにしよう。
「んむっ…」
卵の濃厚な味わいとマヨネーズの酸味、塩と黒こしょうの味がどれもバランスよく配置されていて、とても美味しい!
その勢いでハムサンドも口に入れる。ハムの塩気と柔らかい食感はパンにとてもあっている。
「美味しいわ、美味しい!」
「む…我ながら良い出来です」
「もっと喜んでもいいのよ?」
「美味しい!!…こうでしょうか?」
リークの笑みがどこか初々しい。
そして最後は干し肉のサンドイッチ。味はどうだろうか。
「ん…」
干し肉は思った以上に柔らかい。味も濃厚でパンと合う。
「美味しいわ、なんだかおしゃれな味」
「おしゃれな味…?」
「なんだか、洒落ている感じというか」
こうして、サンドイッチとスープを食べ終えた時、雨は小康状態になっていた。
「もう止みそうですわね」
「はい。この後畑見に行ってみます」
「そうね…宮廷ごっこ楽しかった?」
リークは一瞬目を泳がせたが、すぐに楽しかったと口にしたのだった。
「じゃ、着替えて来るわね。口調も元に戻して良いから」
「ああ」
その後、私はドレスから私服に着替え、ドレスをクローゼットにしまう。
(後宮にいた時は楽しかったけれど…今はもうあの頃の私ではない)
ほんの少し寂しい感情を覚えたが、私はそれらを胸の奥にしまったのだった。
「リークを手伝いにいくか」
「うん、美味しいわね」
スープを飲むと、胃がじんわりと温まる。この心地よさは変わらない。
「お気に召して頂いて、良かったです」
次に食べるのはどれにしようか。卵サンドにしよう。
「んむっ…」
卵の濃厚な味わいとマヨネーズの酸味、塩と黒こしょうの味がどれもバランスよく配置されていて、とても美味しい!
その勢いでハムサンドも口に入れる。ハムの塩気と柔らかい食感はパンにとてもあっている。
「美味しいわ、美味しい!」
「む…我ながら良い出来です」
「もっと喜んでもいいのよ?」
「美味しい!!…こうでしょうか?」
リークの笑みがどこか初々しい。
そして最後は干し肉のサンドイッチ。味はどうだろうか。
「ん…」
干し肉は思った以上に柔らかい。味も濃厚でパンと合う。
「美味しいわ、なんだかおしゃれな味」
「おしゃれな味…?」
「なんだか、洒落ている感じというか」
こうして、サンドイッチとスープを食べ終えた時、雨は小康状態になっていた。
「もう止みそうですわね」
「はい。この後畑見に行ってみます」
「そうね…宮廷ごっこ楽しかった?」
リークは一瞬目を泳がせたが、すぐに楽しかったと口にしたのだった。
「じゃ、着替えて来るわね。口調も元に戻して良いから」
「ああ」
その後、私はドレスから私服に着替え、ドレスをクローゼットにしまう。
(後宮にいた時は楽しかったけれど…今はもうあの頃の私ではない)
ほんの少し寂しい感情を覚えたが、私はそれらを胸の奥にしまったのだった。
「リークを手伝いにいくか」
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