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第22話 迫りくる戦の足音

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 私はそれから、ヴァイラールより兵士達の動きや皇帝の動きなどについて聞いた。

 まずは兵士だが、最近この山を降った麓の基地にかなりの数が集結しつつある。その中には先程のような失礼の行いをする兵士もいるのだという。
 おそらくは、統率が上手く取れてないのだろう。
 そして、ここに来る前に通った峠にも、近々兵士が配属されるそうだ。

 兵士及び軍備増強は無論陸軍だけでは無い。海軍及び軍艦も増強しているという話だ。
 ヴァイラールは渋い顔をして、語り続ける。

「あの峠を超えるにはお金を払わなければならなくなる」
「なんと…」
「だから、そろそろ俺は引っ越そうと思う。水晶窟の近くにな」
「ヴァイラール…それがよかろう」
「ああ、これだけは言える。戦が近いのは事実だ。俺にもリークにも召集がかかればいよいよ…」
「そうならんければいいがの」
「ああ…全くだ」

 次に皇帝だが、やはり隣国との戦に備えて軍備を増強するという話を聞いた。
 そんな皇帝だが、まだ皇后はいないらしい。寵愛する側室もいないようだ。
 ちなみにこういった後宮の女性達についての情報自体ほとんど入って来ないらしい。秘匿にでもされているのだろうかと疑ってしまう。

(あの男に寵愛する女がいないとは…)

 どこかピリピリした雰囲気を感じながら、リークの家に戻ったのだった。
 リビングの椅子に腰掛けたリークは、閉ざしていた口を開く。

「戦、か…」

 リークのその声は、暗くて重い。ずしんと巨大な岩のような重さだ。

「嫌?」
「嫌だ」
「でしょうね…」
「ああ…」

 そしてリークが私の方を見る。

「実は戦争に出兵した事があるんだ」
「そうなの?」
「ああ、話すと長くなるが…」


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