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第49話 波乱の婚約パーティー
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結局ウォリアー様の研究材料であるモンクスフードは見つからないまま、婚約パーティーの時間が訪れた。モンクスフード紛失は婚約パーティーに多大なる影響を与える事となり、配られるワインや水には徹底した毒見がなされる事となった。そして出席者には手荷物検査が課せられる事となったのだった。
大広間及びダンスホールの入口にはデスクが設置され、そこで手荷物検査を行っている。その様子を遠くからドレスアップした私は見つめていた。
あのマリアーナ様のひいおばあ様のドレスを着用している。思ったよりもサイズはぴったりかつ余白があってとても着心地も動きやすさも良い。サファイアのネックレスも光り輝いている。
「何度見ても美しい装いですね。見とれてしまいます」
後ろから来た正装姿のギルテット様。少しだけ目がうっとりしているように見えた。そう言ってもらえてとても嬉しいしギルテット様の正装姿も美しい。
「ギルテット様もお美しいですよ」
「いやいやそんな……」
互いに顔が熱くなっているところに正装姿のウォリアー様が現れた。
「ギルテット、シュネル。そこにいたか」
「ああ、兄上。あれから調査に進展は?」
「いや、ない。一応昨日宮廷に来た客人やメイドを調べたが決定的な何かは出てない」
(となると、ジュリエッタは関係なさそうか……)
ちなみにこの婚約パーティーにはマリアーナ様と王太子殿下だけでなく国王陛下夫妻も出席する。まさに大人数のパーティーだ。
「持ち物検査を徹底するしかありませんね、兄上……」
「そうだな。心配かけてしまってすまない」
ウォリアー様は今回のモンクスフード紛失について国王陛下からかなりお叱りを受けているとも聞いた。そりゃあ毒物を紛失したとなれば叱られても仕方ない。
「では俺は一旦失礼する」
ウォリアー様はどこかへと足早に去る。去った方角には宮廷の正門があるので客人を見張るつもりだろうか?
「そろそろ来る頃合いですね」
「ギルテット様、出迎えに行きましょう」
荷物検査のデスクの隣に向かい、出席者を出迎える。到着してすぐに一番最初に訪れた出席者である侯爵家の夫妻の姿が見えた。
「ギルテット様、シュネル様、ごきげんよう」
夫妻は両者とも中年くらい。クラシカルで優雅な雰囲気と装いはまさに貴族の夫婦だ。
「この度は出席くださりありがとうございます」
「いえいえ。シュネル様ぜひお幸せに」
「ありがとうございます」
それからは多くの方々を気が遠くなるくらいに出迎えた。
「シュネル様おめでとうございます」
と、純粋に祝ってくださる方々もいれば。
「あらあ、ソアリス様よりもギルテット様の方がお好きなのかしら?」
と、嫌味を言われた事もあった。嫌味を言う人もいるだろうなと覚悟していたけど、いざ言われるとやっぱり辛い。しかし嫌味を言われた時には……。
「シュネルはソアリスから酷い扱いを受けていたのをあなた知らないんですか?」
「え? そ、それは……」
「嫌味を言うならシュネルについてきちんと調べてからにしてください。それでも婚約に納得出来ないのであれば今からでもお帰り頂いて結構です。俺は何を言われようともシュネルを守り抜く所存です」
「王子、申し訳ありませんでした!」
ギルテット様の毅然とした態度に私の心は救われた。
ああ、この方がいてくれて本当に良かった。
(ギルテット様がいてくれてよかった)
そんな中ジュリエッタもドレスアップしてパーティーへとやって来た。緑色の長袖のドレスに派手なアクセサリーに扇子はいかにもジュリエッタらしい。ドレスのカラーリングはむしろジュリエッタにしてみては地味に見えるような気もするけど。
それに若干着ぶくれしているような?
「あらあ、お姉様。元気そうねえ」
「ジュリエッタ……あなたも来てくれたのね」
「ええ、お姉様を見に来ましたわ。今日はせいぜい主役として楽しんでくださいね」
にやりと悪気交じりな笑みを浮かべたジュリエッタ。ギルテット様が何か言おうとした所彼女は手を振りながら笑顔でその場から逃げるように早足で去っていった。
(……逃げたな)
「あの女、逃げましたね」
「ギルテット様もそう思いましたか?」
「そりゃあ勿論。あの足の速さは逃げてるのも同然でしょう」
「ギルテット王子! シュネル!」
バティス兄様が正装姿で現れた。久しぶりに会ったが元気そうだ。それに若干肌が日焼けしている。
「バティス兄様! お元気そうで何よりです!」
「バティス! 元気でしたか?」
「ええ、もちろん! 領地視察で日焼けしましたけど元気です! むしろ元気有り余ってます!」
にかっと白い歯を見せながら笑うバティス兄様。久しぶりに会えてとても嬉しい! 胸の奥底からわくわくとした感情が湯水のように勢いよく湧いて出て来る。
「あ、そういやバティス兄様がウォリアー様と仲が良かったのね」
「うん、師匠だからね。それに気軽に接してくれるから。って話はよそうか」
近くにいたジュリエッタを見つけたバティス兄様は途中で話を中断した。そっか。聞かれたらまずいか。
「バティス。モンクスフードの話は聞きましたか?」
「はい。聞きました。良くない事に使われないようにと願うばかりです」
「そうですね……お気をつけてください」
「はい、ギルテット王子とシュネルも気を付けてください。もし悪事に使われるとなれば真っ先に狙われてもおかしくはないでしょうから」
バティス兄様の目つきが一瞬にしてきっとした真剣なものへと変わった。そうだ、気を付けないと……!
(警戒していないと……)
その後は国王陛下夫妻に王太子殿下とマリアーナ様、そしてシュタイナーとの再会にウォリアー様も現れて婚約パーティーが始まった。ギルテット様と私が順番に出席者へと挨拶の言葉を述べる。彼らは温かな拍手を送ってくれたのでそれで少し緊張がほどけた。
挨拶が終わった後は国王陛下がお言葉を述べられた。
「この度は我が子ギルテットがシュネル・ルナリア嬢と婚約する事となった。この婚約パーティーに多くの方々が駆けつけてくれたのはとても喜ばしい限りである」
(ん?)
左端の隅の方にぽつんといたジュリエッタがそそくさと退出しようとしているのが見えた。もしかしてパーティーから出ていこうとする気だろうか?
いや、化粧ルームでもいくつもりか? だが化粧ルームはジュリエッタが向かおうとしている方向にはない。逆方向だ。となると違う、か。
(なんか怪しい。きょろきょろしている)
周囲をきょろきょろと見渡しながら出ていこうとするのが見える。なんだか挙動不審さを感じたので私はすぐに近くにいたシュタイナーを呼んだ。
「なんですか?」
「ジュリエッタを追ってほしいんです。なんだか怪しくて」
「女の勘てやつっすね。了解」
そのままシュタイナーはさっと一瞬で人込みに紛れて消えていった。1分もかからないうちにジュリエッタの何するのよ! という大きな声が広間中に響き渡る。
「どちらへ行かれるおつもりで?」
「そ、それは……」
濁すジュリエッタ。お化粧ルームに行くとかならそういえばいいだけの事だ。もしかして言えない何かがあるのだろうか?
「お化粧ルームですか?」
「あ、そうよ! だからどいて!」
(怪しい。見るからに怪しい)
「お化粧ルームは逆方向ですよ。そっちは厨房へとつながる道っすけど?」
シュタイナーとジュリエッタの問答が続く毎に貴族達からはざわめきが広がっていく。そして自分が向かっている先にあるのが厨房だと言われたジュリエッタの顔は明らかに動揺していた。
厨房と言われたくらいでどうして動揺するのだろうか?
大広間及びダンスホールの入口にはデスクが設置され、そこで手荷物検査を行っている。その様子を遠くからドレスアップした私は見つめていた。
あのマリアーナ様のひいおばあ様のドレスを着用している。思ったよりもサイズはぴったりかつ余白があってとても着心地も動きやすさも良い。サファイアのネックレスも光り輝いている。
「何度見ても美しい装いですね。見とれてしまいます」
後ろから来た正装姿のギルテット様。少しだけ目がうっとりしているように見えた。そう言ってもらえてとても嬉しいしギルテット様の正装姿も美しい。
「ギルテット様もお美しいですよ」
「いやいやそんな……」
互いに顔が熱くなっているところに正装姿のウォリアー様が現れた。
「ギルテット、シュネル。そこにいたか」
「ああ、兄上。あれから調査に進展は?」
「いや、ない。一応昨日宮廷に来た客人やメイドを調べたが決定的な何かは出てない」
(となると、ジュリエッタは関係なさそうか……)
ちなみにこの婚約パーティーにはマリアーナ様と王太子殿下だけでなく国王陛下夫妻も出席する。まさに大人数のパーティーだ。
「持ち物検査を徹底するしかありませんね、兄上……」
「そうだな。心配かけてしまってすまない」
ウォリアー様は今回のモンクスフード紛失について国王陛下からかなりお叱りを受けているとも聞いた。そりゃあ毒物を紛失したとなれば叱られても仕方ない。
「では俺は一旦失礼する」
ウォリアー様はどこかへと足早に去る。去った方角には宮廷の正門があるので客人を見張るつもりだろうか?
「そろそろ来る頃合いですね」
「ギルテット様、出迎えに行きましょう」
荷物検査のデスクの隣に向かい、出席者を出迎える。到着してすぐに一番最初に訪れた出席者である侯爵家の夫妻の姿が見えた。
「ギルテット様、シュネル様、ごきげんよう」
夫妻は両者とも中年くらい。クラシカルで優雅な雰囲気と装いはまさに貴族の夫婦だ。
「この度は出席くださりありがとうございます」
「いえいえ。シュネル様ぜひお幸せに」
「ありがとうございます」
それからは多くの方々を気が遠くなるくらいに出迎えた。
「シュネル様おめでとうございます」
と、純粋に祝ってくださる方々もいれば。
「あらあ、ソアリス様よりもギルテット様の方がお好きなのかしら?」
と、嫌味を言われた事もあった。嫌味を言う人もいるだろうなと覚悟していたけど、いざ言われるとやっぱり辛い。しかし嫌味を言われた時には……。
「シュネルはソアリスから酷い扱いを受けていたのをあなた知らないんですか?」
「え? そ、それは……」
「嫌味を言うならシュネルについてきちんと調べてからにしてください。それでも婚約に納得出来ないのであれば今からでもお帰り頂いて結構です。俺は何を言われようともシュネルを守り抜く所存です」
「王子、申し訳ありませんでした!」
ギルテット様の毅然とした態度に私の心は救われた。
ああ、この方がいてくれて本当に良かった。
(ギルテット様がいてくれてよかった)
そんな中ジュリエッタもドレスアップしてパーティーへとやって来た。緑色の長袖のドレスに派手なアクセサリーに扇子はいかにもジュリエッタらしい。ドレスのカラーリングはむしろジュリエッタにしてみては地味に見えるような気もするけど。
それに若干着ぶくれしているような?
「あらあ、お姉様。元気そうねえ」
「ジュリエッタ……あなたも来てくれたのね」
「ええ、お姉様を見に来ましたわ。今日はせいぜい主役として楽しんでくださいね」
にやりと悪気交じりな笑みを浮かべたジュリエッタ。ギルテット様が何か言おうとした所彼女は手を振りながら笑顔でその場から逃げるように早足で去っていった。
(……逃げたな)
「あの女、逃げましたね」
「ギルテット様もそう思いましたか?」
「そりゃあ勿論。あの足の速さは逃げてるのも同然でしょう」
「ギルテット王子! シュネル!」
バティス兄様が正装姿で現れた。久しぶりに会ったが元気そうだ。それに若干肌が日焼けしている。
「バティス兄様! お元気そうで何よりです!」
「バティス! 元気でしたか?」
「ええ、もちろん! 領地視察で日焼けしましたけど元気です! むしろ元気有り余ってます!」
にかっと白い歯を見せながら笑うバティス兄様。久しぶりに会えてとても嬉しい! 胸の奥底からわくわくとした感情が湯水のように勢いよく湧いて出て来る。
「あ、そういやバティス兄様がウォリアー様と仲が良かったのね」
「うん、師匠だからね。それに気軽に接してくれるから。って話はよそうか」
近くにいたジュリエッタを見つけたバティス兄様は途中で話を中断した。そっか。聞かれたらまずいか。
「バティス。モンクスフードの話は聞きましたか?」
「はい。聞きました。良くない事に使われないようにと願うばかりです」
「そうですね……お気をつけてください」
「はい、ギルテット王子とシュネルも気を付けてください。もし悪事に使われるとなれば真っ先に狙われてもおかしくはないでしょうから」
バティス兄様の目つきが一瞬にしてきっとした真剣なものへと変わった。そうだ、気を付けないと……!
(警戒していないと……)
その後は国王陛下夫妻に王太子殿下とマリアーナ様、そしてシュタイナーとの再会にウォリアー様も現れて婚約パーティーが始まった。ギルテット様と私が順番に出席者へと挨拶の言葉を述べる。彼らは温かな拍手を送ってくれたのでそれで少し緊張がほどけた。
挨拶が終わった後は国王陛下がお言葉を述べられた。
「この度は我が子ギルテットがシュネル・ルナリア嬢と婚約する事となった。この婚約パーティーに多くの方々が駆けつけてくれたのはとても喜ばしい限りである」
(ん?)
左端の隅の方にぽつんといたジュリエッタがそそくさと退出しようとしているのが見えた。もしかしてパーティーから出ていこうとする気だろうか?
いや、化粧ルームでもいくつもりか? だが化粧ルームはジュリエッタが向かおうとしている方向にはない。逆方向だ。となると違う、か。
(なんか怪しい。きょろきょろしている)
周囲をきょろきょろと見渡しながら出ていこうとするのが見える。なんだか挙動不審さを感じたので私はすぐに近くにいたシュタイナーを呼んだ。
「なんですか?」
「ジュリエッタを追ってほしいんです。なんだか怪しくて」
「女の勘てやつっすね。了解」
そのままシュタイナーはさっと一瞬で人込みに紛れて消えていった。1分もかからないうちにジュリエッタの何するのよ! という大きな声が広間中に響き渡る。
「どちらへ行かれるおつもりで?」
「そ、それは……」
濁すジュリエッタ。お化粧ルームに行くとかならそういえばいいだけの事だ。もしかして言えない何かがあるのだろうか?
「お化粧ルームですか?」
「あ、そうよ! だからどいて!」
(怪しい。見るからに怪しい)
「お化粧ルームは逆方向ですよ。そっちは厨房へとつながる道っすけど?」
シュタイナーとジュリエッタの問答が続く毎に貴族達からはざわめきが広がっていく。そして自分が向かっている先にあるのが厨房だと言われたジュリエッタの顔は明らかに動揺していた。
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