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第42話 爵位継承
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父親の葬儀が終わり程なくしてバティス兄様は宮廷に呼び出された。正式にグレゴリアス子爵家の当主となった事を示す為である。
立派な正装に身を包んだバティス兄様。髪もいつも以上に綺麗にセットされ、ぴしっと居住まいを正したその姿からは気さくさに毒舌な雰囲気は微塵も感じられない。しかしながら緊張さが隠し切れないではいる。
「……シュネル、僕変じゃないよな?」
「どこが?」
「なんかその……全体的にというか」
「そんな事ないわよ。立派な貴族の方に見えるわよ。堂々としていればいいんじゃないかしら」
「そうっすよバティス様」
「バティス。緊張するでしょうけど堂々とすれば大丈夫です。頑張って」
「皆……ありがとう。頑張ってきます」
「その意気ですよ。新たなるグレゴリアス子爵」
ギルテット様がにこっとバティス兄様に微笑んでくれた。彼は一瞬目を丸くさせるがほっと一息ついて王の間へと堂々とした佇まいで歩いていったのだった。
「バティス・グレゴリアスをグレゴリアス子爵とする」
宮廷内にある王の間にて、国王陛下からそう宣言を受けたバティス兄様。私も同席したが彼の顔はやっぱりほんの少し緊張感に彩られていた。でもさっきよりかは遥かにましだろう。
これから彼はグレゴリアス家の当主としての働きが始まる。その為しばらくはデリアの町から離れて王都やグレゴリアス子爵家の領地を転々とする生活を送る事になった。
国王陛下との謁見を終えたバティス兄様は私と共にギルテット王子とシュタイナーの元へと出向き、しばしの別れの挨拶を交わした。
「ギルテット王子、シュタイナーさん。寂しくなりますがよろしくお願いします」
「ええ、バティス。子爵としてよき働きを期待していますよ」
「いやあ、またお会いした時にはレスリングでもいっちょやりましょうよ」
「シュタイナーさん、トレーニングしてきますんで今度は負けませんから! ギルテット王子もお健やかに。シュネルもしばらく会えないけど体調に気をつけてな」
「はい、ありがとうございます。バティス兄様もお体気を付けて」
彼はそのまま自身の屋敷に戻っていった。彼は引き続き自身の屋敷に住むそうだ。本家の屋敷にはジュリエッタがいるしそうなるのも無理はない。
なおバティス兄様は本家の屋敷に移動しジュリエッタは管理がしやすい別荘に引っ越してもらおうと考えていたようだが、ジュリエッタが拒否するのはわかりきっているのでまだ計画には移さない事にしたようである。
バティス兄様の小さくなっていく後ろ姿を見送りながらこれから始まる新たな生活へと期待しつつ気を引き締め直したのだった。
立派な正装に身を包んだバティス兄様。髪もいつも以上に綺麗にセットされ、ぴしっと居住まいを正したその姿からは気さくさに毒舌な雰囲気は微塵も感じられない。しかしながら緊張さが隠し切れないではいる。
「……シュネル、僕変じゃないよな?」
「どこが?」
「なんかその……全体的にというか」
「そんな事ないわよ。立派な貴族の方に見えるわよ。堂々としていればいいんじゃないかしら」
「そうっすよバティス様」
「バティス。緊張するでしょうけど堂々とすれば大丈夫です。頑張って」
「皆……ありがとう。頑張ってきます」
「その意気ですよ。新たなるグレゴリアス子爵」
ギルテット様がにこっとバティス兄様に微笑んでくれた。彼は一瞬目を丸くさせるがほっと一息ついて王の間へと堂々とした佇まいで歩いていったのだった。
「バティス・グレゴリアスをグレゴリアス子爵とする」
宮廷内にある王の間にて、国王陛下からそう宣言を受けたバティス兄様。私も同席したが彼の顔はやっぱりほんの少し緊張感に彩られていた。でもさっきよりかは遥かにましだろう。
これから彼はグレゴリアス家の当主としての働きが始まる。その為しばらくはデリアの町から離れて王都やグレゴリアス子爵家の領地を転々とする生活を送る事になった。
国王陛下との謁見を終えたバティス兄様は私と共にギルテット王子とシュタイナーの元へと出向き、しばしの別れの挨拶を交わした。
「ギルテット王子、シュタイナーさん。寂しくなりますがよろしくお願いします」
「ええ、バティス。子爵としてよき働きを期待していますよ」
「いやあ、またお会いした時にはレスリングでもいっちょやりましょうよ」
「シュタイナーさん、トレーニングしてきますんで今度は負けませんから! ギルテット王子もお健やかに。シュネルもしばらく会えないけど体調に気をつけてな」
「はい、ありがとうございます。バティス兄様もお体気を付けて」
彼はそのまま自身の屋敷に戻っていった。彼は引き続き自身の屋敷に住むそうだ。本家の屋敷にはジュリエッタがいるしそうなるのも無理はない。
なおバティス兄様は本家の屋敷に移動しジュリエッタは管理がしやすい別荘に引っ越してもらおうと考えていたようだが、ジュリエッタが拒否するのはわかりきっているのでまだ計画には移さない事にしたようである。
バティス兄様の小さくなっていく後ろ姿を見送りながらこれから始まる新たな生活へと期待しつつ気を引き締め直したのだった。
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