3 / 8
第3話 夕食ともしも
しおりを挟む
メイドに手伝ってもらいながら服を脱ぎ、シャワーを浴びる。湯船には乳白色の入浴剤が使われており紅白のバラの花びらもちりばめられていた。
(良い匂いがする……)
まるでうっとりしてしまうくらいの良い匂い。ゆっくり入浴を済ませた後はコーディ様のメイドが用意してくれたドレスに身を通す。
ワインレッドのドレスは素材からして高級そうなのが見ただけで伝わってくる。
「シャワーお疲れ様」
メイドに案内され広大な食堂に入室すると、先にコーディ様がシャワーを済ませて着席していた。私が急いで席に座ろうとすると笑って焦らなくても良いから。と制した。
「薔薇の花びらどうだった?」
「あ、はい。とても良い香りがして良かったです」
「あれはうちの中庭に咲いているものなんだ。今度良かったら見る?」
「あ……よろしければ」
「ははっ。一緒に見ようか」
私達の元に夕食が運ばれて来る。前菜は野菜のサラダに小さな白身魚のソテー。魚には臭みは無く、骨も処理されていてとても食べやすい。
「美味しいです。白身魚の身も柔らかくて口の中で溶けていきますね」
「うちのコックは指折りの腕でね。メインディッシュもぜひ期待して欲しい」
メインディッシュは鹿肉のステーキ。ワインレッドと茶色を混ぜたソースがふんだんに使われている。
ひと口口の中に入れてみると思った以上に柔らかくてしかも臭みも無い。
「とても美味しいです……!」
ここまで美味しいステーキも鹿肉の料理も初めてだ。さすがは公爵家……!
「気に入ってくれて良かった。パンもステーキもおかわりあるからね」
「おかわりしていいんですか?」
バトラーは大食い……よく食べる女性はそこまで好きではない。なので彼と食事をする際はよく己の食欲を我慢していたものだ。
「ああ。食欲の向くままに食べたらいいよ。食べないよりかはましだし」
「ありがとうございます……! では、おかわりさせて頂きます」
こうして夕食後、私はメイドにより寝間着に着替えてゲストルームに案内された。広い部屋に紅い天蓋付きのベッド。目を丸くさせながら部屋中を見渡していると、部屋にコーディ様が入って来た。
「寝る前に話でもしないか?」
「あ……はい。私でよければ」
「はは、イヴだから話したいんだよ」
メイドが一礼をして部屋から去る。そして部屋の中でコーディ様と2人っきりになった。
「今、イヴがバトラーと婚約しているのがあまりに惜しい」
「……コーディ様?」
コーディ様は私に近づく。そして右手を取って愛しそうに両手で握り頬ずりをする。
「俺がもしもイヴの婚約者なら……こんな寂しい思いはさせないのに」
(良い匂いがする……)
まるでうっとりしてしまうくらいの良い匂い。ゆっくり入浴を済ませた後はコーディ様のメイドが用意してくれたドレスに身を通す。
ワインレッドのドレスは素材からして高級そうなのが見ただけで伝わってくる。
「シャワーお疲れ様」
メイドに案内され広大な食堂に入室すると、先にコーディ様がシャワーを済ませて着席していた。私が急いで席に座ろうとすると笑って焦らなくても良いから。と制した。
「薔薇の花びらどうだった?」
「あ、はい。とても良い香りがして良かったです」
「あれはうちの中庭に咲いているものなんだ。今度良かったら見る?」
「あ……よろしければ」
「ははっ。一緒に見ようか」
私達の元に夕食が運ばれて来る。前菜は野菜のサラダに小さな白身魚のソテー。魚には臭みは無く、骨も処理されていてとても食べやすい。
「美味しいです。白身魚の身も柔らかくて口の中で溶けていきますね」
「うちのコックは指折りの腕でね。メインディッシュもぜひ期待して欲しい」
メインディッシュは鹿肉のステーキ。ワインレッドと茶色を混ぜたソースがふんだんに使われている。
ひと口口の中に入れてみると思った以上に柔らかくてしかも臭みも無い。
「とても美味しいです……!」
ここまで美味しいステーキも鹿肉の料理も初めてだ。さすがは公爵家……!
「気に入ってくれて良かった。パンもステーキもおかわりあるからね」
「おかわりしていいんですか?」
バトラーは大食い……よく食べる女性はそこまで好きではない。なので彼と食事をする際はよく己の食欲を我慢していたものだ。
「ああ。食欲の向くままに食べたらいいよ。食べないよりかはましだし」
「ありがとうございます……! では、おかわりさせて頂きます」
こうして夕食後、私はメイドにより寝間着に着替えてゲストルームに案内された。広い部屋に紅い天蓋付きのベッド。目を丸くさせながら部屋中を見渡していると、部屋にコーディ様が入って来た。
「寝る前に話でもしないか?」
「あ……はい。私でよければ」
「はは、イヴだから話したいんだよ」
メイドが一礼をして部屋から去る。そして部屋の中でコーディ様と2人っきりになった。
「今、イヴがバトラーと婚約しているのがあまりに惜しい」
「……コーディ様?」
コーディ様は私に近づく。そして右手を取って愛しそうに両手で握り頬ずりをする。
「俺がもしもイヴの婚約者なら……こんな寂しい思いはさせないのに」
116
お気に入りに追加
290
あなたにおすすめの小説
妹を叩いた?事実ですがなにか?
基本二度寝
恋愛
王太子エリシオンにはクアンナという婚約者がいた。
冷たい瞳をした婚約者には愛らしい妹マゼンダがいる。
婚約者に向けるべき愛情をマゼンダに向けていた。
そんな愛らしいマゼンダが、物陰でひっそり泣いていた。
頬を押えて。
誰が!一体何が!?
口を閉ざしつづけたマゼンダが、打った相手をようやく口にして、エリシオンの怒りが頂点に達した。
あの女…!
※えろなし
※恋愛カテゴリーなのに恋愛させてないなと思って追加21/08/09
わたしは不要だと、仰いましたね
ごろごろみかん。
恋愛
十七年、全てを擲って国民のため、国のために尽くしてきた。何ができるか、何が出来ないか。出来ないものを実現させるためにはどうすればいいのか。
試行錯誤しながらも政治に生きた彼女に突きつけられたのは「王太子妃に相応しくない」という婚約破棄の宣言だった。わたしに足りないものは何だったのだろう?
国のために全てを差し出した彼女に残されたものは何も無い。それなら、生きている意味も──
生きるよすがを失った彼女に声をかけたのは、悪名高い公爵子息。
「きみ、このままでいいの?このまま捨てられて終わりなんて、悔しくない?」
もちろん悔しい。
だけどそれ以上に、裏切られたショックの方が大きい。愛がなくても、信頼はあると思っていた。
「きみに足りないものを教えてあげようか」
男は笑った。
☆
国を変えたい、という気持ちは変わらない。
王太子妃の椅子が使えないのであれば、実力行使するしか──ありませんよね。
*以前掲載していたもののリメイク
【完結】浮気者と婚約破棄をして幼馴染と白い結婚をしたはずなのに溺愛してくる
ユユ
恋愛
私の婚約者と幼馴染の婚約者が浮気をしていた。
私も幼馴染も婚約破棄をして、醜聞付きの売れ残り状態に。
浮気された者同士の婚姻が決まり直ぐに夫婦に。
白い結婚という条件だったのに幼馴染が変わっていく。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
私のバラ色ではない人生
野村にれ
恋愛
ララシャ・ロアンスラー公爵令嬢は、クロンデール王国の王太子殿下の婚約者だった。
だが、隣国であるピデム王国の第二王子に見初められて、婚約が解消になってしまった。
そして、後任にされたのが妹であるソアリス・ロアンスラーである。
ソアリスは王太子妃になりたくもなければ、王太子妃にも相応しくないと自負していた。
だが、ロアンスラー公爵家としても責任を取らなければならず、
既に高位貴族の令嬢たちは婚約者がいたり、結婚している。
ソアリスは不本意ながらも嫁ぐことになってしまう。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
転生幼女。神獣と王子と、最強のおじさん傭兵団の中で生きる。
餡子・ロ・モティ
ファンタジー
ご連絡!
4巻発売にともない、7/27~28に177話までがレンタル版に切り替え予定です。
無料のWEB版はそれまでにお読みいただければと思います。
日程に余裕なく申し訳ありませんm(__)m
※おかげさまで小説版4巻もまもなく発売(7月末ごろ)! ありがとうございますm(__)m
※コミカライズも絶賛連載中! よろしくどうぞ<(_ _)>
~~~ ~~ ~~~
織宮優乃は、目が覚めると異世界にいた。
なぜか身体は幼女になっているけれど、何気なく出会った神獣には溺愛され、保護してくれた筋肉紳士なおじさん達も親切で気の良い人々だった。
優乃は流れでおじさんたちの部隊で生活することになる。
しかしそのおじさん達、実は複数の国家から騎士爵を賜るような凄腕で。
それどころか、表向きはただの傭兵団の一部隊のはずなのに、実は裏で各国の王室とも直接繋がっているような最強の特殊傭兵部隊だった。
彼らの隊には大国の一級王子たちまでもが御忍びで参加している始末。
おじさん、王子、神獣たち、周囲の人々に溺愛されながらも、波乱万丈な冒険とちょっとおかしな日常を平常心で生きぬいてゆく女性の物語。
私が悪役令嬢? 喜んで!!
星野日菜
恋愛
つり目縦ロールのお嬢様、伊集院彩香に転生させられた私。
神様曰く、『悪女を高校三年間続ければ『私』が死んだことを無かったことにできる』らしい。
だったら悪女を演じてやろうではありませんか!
世界一の悪女はこの私よ! ……私ですわ!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる