21 / 61
第21話 癒しのお茶会
しおりを挟む
レアード様とマルクとイーゾルの3人を交えてのお茶会。男だらけのお茶会ははじめてだが、弟達とだんらんするのは楽しみだ。
「ぜひお願いしますとお返事お願いします」
「了解いたしました。メアリー様」
仕事をしながら私は弟達に思いをはせる。
正直、弟達との思い出はそんなにない。両親は弟達を溺愛し私にはきつい態度だった。それに弟達が私に懐こうとするもんならそれを阻止していた。
「あんな地味な女よりも私にかまいなさい!」
と母親はよく言ってたっけ。
でも夜中とか隙を見つけて時々話したりしていた記憶もある。弟達はどちらも星が好きだったなあ。
(楽しみだ。まあ、でもイーゾルがなんか昔以上にチャラくなってるのが気になるけど)
という事で3人を交えたお茶会が王宮の応接室の一室を借りて行われる事となった。私は女官としてお茶会のセッティングを行っているとレアード様がやって来る。
「俺も手伝おう」
「いやいや、大丈夫ですよ。王太子様の手を煩わせるだなんて……」
レアード様に手伝わせるのは女官としてどうなんだ。という気持ちだ。だがレアード様から俺が手伝った方がより早く終わってゆっくり出来ると言われたので、最終的には彼に押し切られる形となった。
(確かに手分けして済ましたらその分早く終わるものね)
「姉ちゃーーん!! あれ、まだ準備中だった?」
「い、イーゾル!」
振り返るとそこにはおちゃらけた表情のイーゾルと慌てて彼を連れて行こうとしているマルクの2人がいた。
「姉さんごめん、こいつが様子見に行きたいって言って……!」
「だって姉ちゃんとのお茶会だぜ? 気になるに決まってるじゃんかよ!」
「いやいや、準備がまだなのにお邪魔したら迷惑だろ! てかお茶会の時間までまだ30分もあるのに!」
兄弟げんかがはじまりそうだったので、彼らをなだめつつもう少ししたらお呼びできるから……と言って一旦2人には廊下で待ってもらう事にした。
でも2人が元気そうなのは何よりだ。姉としてほっとする。
「明るい兄弟だな」
レアード様が横からそうつぶやく。ふふっと笑っているのが見えて私も口を緩めて笑ってしまった。
「あの2人、昔からあんな感じだったんです。優秀だけど決して威張ったりはしなくて。まあイゾールはちょっと軽い感じですけど……2人とも良い貴族令息ですよ」
「彼らの優秀さは聞いていたが、なるほど……愉快な兄弟だな。お茶会が楽しみだ」
こうして準備が終わり、お茶会の時間が来たので廊下で待ってもらっていた彼らを応接室へと招き入れた。
「おっやっとかあ! お茶会のサンドイッチ楽しみーー!」
「お前サンドイッチにしか興味ないのかよ」
「だって王宮のサンドイッチだぜ?! 絶対うまいに決まってるよ!」
「僕も楽しみだけどな。サンドイッチ好きだし」
「ほら、兄貴もやっぱりサンドイッチ楽しみじゃん!」
開始早々、にぎやかな兄弟に私はふふっと笑いながら席に着く。レアード様が挨拶を。と兄弟に声をかけるとにぎやかな空気が一瞬にして消えた。
「初めまして。この度はお茶会にお招きいただき誠にありがとうございます。王太子様。僕はマルク・ラディカルと申します」
「兄と共々お茶会にお招きいただき光栄に存じます。イーゾル・ラディカルと申します」
(出たよ優秀オーラ……)
弟2人から放たれる金色の優秀オーラにまぶしさを感じながら、紅茶をひとくち飲んだ。紅茶はすっとした味わいで味は薄め。飲みやすくて良い。
「ありがとう、どちらも噂通りの優秀な人物だな」
「そう仰っていただけて何よりです」
「マルク、跡継ぎとしてこれからも励めよ。イーゾルもマルクとメアリーを支える良き令息として励め」
「ははっ、王太子様」
それからはレアード様が主導する形でちょっとした雑談をする事となった。最初は互いの近況話から入る。
「僕は最近はもっぱら単独で領地視察したりしていますね。父親からお前はもう単独で視察するように。と言われたもので」
「そうか」
「ええ、跡継ぎですからね。それと領地経営の仕事も半分は僕がこなしています。習うより慣れろという感じで」
もうそんなに任されているんだ……。それだけこなしていればもう跡を継いでも大丈夫なんじゃないか? マルクだし。
「それは素晴らしい事だ。マルク」
「ありがとうございます。殿下」
「イーゾルは?」
「俺は……まあぼちぼちやってます。兄貴の領地視察や領地経営の手伝いしたり」
「あとイーゾルは野菜の研究してるんですよね」
え、そうなのか? それは初耳だ。
「そうなの? イーゾル」
「ああ、姉貴はもちろん両親にもまだ言ってないからさ。だって親父に言ったらんなもん平民にやらせとけ! って言いそうじゃん?」
(確かに言いそうだわ)
「クソババア、いや母親に言ったらそんな汚らしいものやめて! とか言いそうだし」
レアード様の面前で容赦なく、己の母親をクソババア呼ばわりするイーゾルに感心してしまっている自分がいた。
「ぜひお願いしますとお返事お願いします」
「了解いたしました。メアリー様」
仕事をしながら私は弟達に思いをはせる。
正直、弟達との思い出はそんなにない。両親は弟達を溺愛し私にはきつい態度だった。それに弟達が私に懐こうとするもんならそれを阻止していた。
「あんな地味な女よりも私にかまいなさい!」
と母親はよく言ってたっけ。
でも夜中とか隙を見つけて時々話したりしていた記憶もある。弟達はどちらも星が好きだったなあ。
(楽しみだ。まあ、でもイーゾルがなんか昔以上にチャラくなってるのが気になるけど)
という事で3人を交えたお茶会が王宮の応接室の一室を借りて行われる事となった。私は女官としてお茶会のセッティングを行っているとレアード様がやって来る。
「俺も手伝おう」
「いやいや、大丈夫ですよ。王太子様の手を煩わせるだなんて……」
レアード様に手伝わせるのは女官としてどうなんだ。という気持ちだ。だがレアード様から俺が手伝った方がより早く終わってゆっくり出来ると言われたので、最終的には彼に押し切られる形となった。
(確かに手分けして済ましたらその分早く終わるものね)
「姉ちゃーーん!! あれ、まだ準備中だった?」
「い、イーゾル!」
振り返るとそこにはおちゃらけた表情のイーゾルと慌てて彼を連れて行こうとしているマルクの2人がいた。
「姉さんごめん、こいつが様子見に行きたいって言って……!」
「だって姉ちゃんとのお茶会だぜ? 気になるに決まってるじゃんかよ!」
「いやいや、準備がまだなのにお邪魔したら迷惑だろ! てかお茶会の時間までまだ30分もあるのに!」
兄弟げんかがはじまりそうだったので、彼らをなだめつつもう少ししたらお呼びできるから……と言って一旦2人には廊下で待ってもらう事にした。
でも2人が元気そうなのは何よりだ。姉としてほっとする。
「明るい兄弟だな」
レアード様が横からそうつぶやく。ふふっと笑っているのが見えて私も口を緩めて笑ってしまった。
「あの2人、昔からあんな感じだったんです。優秀だけど決して威張ったりはしなくて。まあイゾールはちょっと軽い感じですけど……2人とも良い貴族令息ですよ」
「彼らの優秀さは聞いていたが、なるほど……愉快な兄弟だな。お茶会が楽しみだ」
こうして準備が終わり、お茶会の時間が来たので廊下で待ってもらっていた彼らを応接室へと招き入れた。
「おっやっとかあ! お茶会のサンドイッチ楽しみーー!」
「お前サンドイッチにしか興味ないのかよ」
「だって王宮のサンドイッチだぜ?! 絶対うまいに決まってるよ!」
「僕も楽しみだけどな。サンドイッチ好きだし」
「ほら、兄貴もやっぱりサンドイッチ楽しみじゃん!」
開始早々、にぎやかな兄弟に私はふふっと笑いながら席に着く。レアード様が挨拶を。と兄弟に声をかけるとにぎやかな空気が一瞬にして消えた。
「初めまして。この度はお茶会にお招きいただき誠にありがとうございます。王太子様。僕はマルク・ラディカルと申します」
「兄と共々お茶会にお招きいただき光栄に存じます。イーゾル・ラディカルと申します」
(出たよ優秀オーラ……)
弟2人から放たれる金色の優秀オーラにまぶしさを感じながら、紅茶をひとくち飲んだ。紅茶はすっとした味わいで味は薄め。飲みやすくて良い。
「ありがとう、どちらも噂通りの優秀な人物だな」
「そう仰っていただけて何よりです」
「マルク、跡継ぎとしてこれからも励めよ。イーゾルもマルクとメアリーを支える良き令息として励め」
「ははっ、王太子様」
それからはレアード様が主導する形でちょっとした雑談をする事となった。最初は互いの近況話から入る。
「僕は最近はもっぱら単独で領地視察したりしていますね。父親からお前はもう単独で視察するように。と言われたもので」
「そうか」
「ええ、跡継ぎですからね。それと領地経営の仕事も半分は僕がこなしています。習うより慣れろという感じで」
もうそんなに任されているんだ……。それだけこなしていればもう跡を継いでも大丈夫なんじゃないか? マルクだし。
「それは素晴らしい事だ。マルク」
「ありがとうございます。殿下」
「イーゾルは?」
「俺は……まあぼちぼちやってます。兄貴の領地視察や領地経営の手伝いしたり」
「あとイーゾルは野菜の研究してるんですよね」
え、そうなのか? それは初耳だ。
「そうなの? イーゾル」
「ああ、姉貴はもちろん両親にもまだ言ってないからさ。だって親父に言ったらんなもん平民にやらせとけ! って言いそうじゃん?」
(確かに言いそうだわ)
「クソババア、いや母親に言ったらそんな汚らしいものやめて! とか言いそうだし」
レアード様の面前で容赦なく、己の母親をクソババア呼ばわりするイーゾルに感心してしまっている自分がいた。
842
お気に入りに追加
2,291
あなたにおすすめの小説

事情があってメイドとして働いていますが、実は公爵家の令嬢です。
木山楽斗
恋愛
ラナリアが仕えるバルドリュー伯爵家では、子爵家の令嬢であるメイドが幅を利かせていた。
彼女は貴族の地位を誇示して、平民のメイドを虐げていた。その毒牙は、平民のメイドを庇ったラナリアにも及んだ。
しかし彼女は知らなかった。ラナリアは事情があって伯爵家に仕えている公爵令嬢だったのである。

溺愛されている妹の高慢な態度を注意したら、冷血と評判な辺境伯の元に嫁がされることになりました。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるラナフィリアは、妹であるレフーナに辟易としていた。
両親に溺愛されて育ってきた彼女は、他者を見下すわがままな娘に育っており、その相手にラナフィリアは疲れ果てていたのだ。
ある時、レフーナは晩餐会にてとある令嬢のことを罵倒した。
そんな妹の高慢なる態度に限界を感じたラナフィリアは、レフーナを諫めることにした。
だが、レフーナはそれに激昂した。
彼女にとって、自分に従うだけだった姉からの反抗は許せないことだったのだ。
その結果、ラナフィリアは冷血と評判な辺境伯の元に嫁がされることになった。
姉が不幸になるように、レフーナが両親に提言したからである。
しかし、ラナフィリアが嫁ぐことになった辺境伯ガルラントは、噂とは異なる人物だった。
戦士であるため、敵に対して冷血ではあるが、それ以外の人物に対して紳士的で誠実な人物だったのだ。
こうして、レフーナの目論見は外れ、ラナフェリアは辺境で穏やかな生活を送るのだった。

【完結】引きこもりが異世界でお飾りの妻になったら「愛する事はない」と言った夫が溺愛してきて鬱陶しい。
千紫万紅
恋愛
男爵令嬢アイリスは15歳の若さで冷徹公爵と噂される男のお飾りの妻になり公爵家の領地に軟禁同然の生活を強いられる事になった。
だがその3年後、冷徹公爵ラファエルに突然王都に呼び出されたアイリスは「女性として愛するつもりは無いと」言っていた冷徹公爵に、「君とはこれから愛し合う夫婦になりたいと」宣言されて。
いやでも、貴方……美人な平民の恋人いませんでしたっけ……?
と、お飾りの妻生活を謳歌していた 引きこもり はとても嫌そうな顔をした。

戻る場所がなくなったようなので別人として生きます
しゃーりん
恋愛
医療院で目が覚めて、新聞を見ると自分が死んだ記事が載っていた。
子爵令嬢だったリアンヌは公爵令息ジョーダンから猛アプローチを受け、結婚していた。
しかし、結婚生活は幸せではなかった。嫌がらせを受ける日々。子供に会えない日々。
そしてとうとう攫われ、襲われ、森に捨てられたらしい。
見つかったという遺体が自分に似ていて死んだと思われたのか、別人とわかっていて死んだことにされたのか。
でももう夫の元に戻る必要はない。そのことにホッとした。
リアンヌは別人として新しい人生を生きることにするというお話です。
竜神に愛された令嬢は華麗に微笑む。〜嫌われ令嬢? いいえ、嫌われているのはお父さまのほうでしてよ。〜
石河 翠
恋愛
侯爵令嬢のジェニファーは、ある日父親から侯爵家当主代理として罪を償えと脅される。
それというのも、竜神からの預かりものである宝石に手をつけてしまったからだというのだ。
ジェニファーは、彼女の出産の際に母親が命を落としたことで、実の父親からひどく憎まれていた。
執事のロデリックを含め、家人勢揃いで出かけることに。
やがて彼女は別れの言葉を告げるとためらいなく竜穴に身を投げるが、実は彼女にはある秘密があって……。
虐げられたか弱い令嬢と思いきや、メンタル最強のヒロインと、彼女のためなら人間の真似事もやぶさかではないヒロインに激甘なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:4950419)をお借りしています。

継母の嫌がらせで冷酷な辺境伯の元に嫁がされましたが、噂と違って優しい彼から溺愛されています。
木山楽斗
恋愛
侯爵令嬢であるアーティアは、継母に冷酷無慈悲と噂されるフレイグ・メーカム辺境伯の元に嫁ぐように言い渡された。
継母は、アーティアが苦しい生活を送ると思い、そんな辺境伯の元に嫁がせることに決めたようだ。
しかし、そんな彼女の意図とは裏腹にアーティアは楽しい毎日を送っていた。辺境伯のフレイグは、噂のような人物ではなかったのである。
彼は、多少無口で不愛想な所はあるが優しい人物だった。そんな彼とアーティアは不思議と気が合い、やがてお互いに惹かれるようになっていく。
2022/03/04 改題しました。(旧題:不器用な辺境伯の不器用な愛し方 ~継母の嫌がらせで冷酷無慈悲な辺境伯の元に嫁がされましたが、溺愛されています~)
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……

とある虐げられた侯爵令嬢の華麗なる後ろ楯~拾い人したら溺愛された件
紅位碧子 kurenaiaoko
恋愛
侯爵令嬢リリアーヌは、10歳で母が他界し、その後義母と義妹に虐げられ、
屋敷ではメイド仕事をして過ごす日々。
そんな中で、このままでは一生虐げられたままだと思い、一念発起。
母の遺言を受け、自分で自分を幸せにするために行動を起こすことに。
そんな中、偶然訳ありの男性を拾ってしまう。
しかし、その男性がリリアーヌの未来を作る救世主でーーーー。
メイド仕事の傍らで隠れて淑女教育を完璧に終了させ、語学、経営、経済を学び、
財産を築くために屋敷のメイド姿で見聞きした貴族社会のことを小説に書いて出版し、それが大ヒット御礼!
学んだことを生かし、商会を設立。
孤児院から人材を引き取り育成もスタート。
出版部門、観劇部門、版権部門、商品部門など次々と商いを展開。
そこに隣国の王子も参戦してきて?!
本作品は虐げられた環境の中でも懸命に前を向いて頑張る
とある侯爵令嬢が幸せを掴むまでの溺愛×サクセスストーリーです♡
*誤字脱字多数あるかと思います。
*初心者につき表現稚拙ですので温かく見守ってくださいませ
*ゆるふわ設定です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる