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第7話 そこまでしてくれるの?
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「レアード様、そこまでしてくださるんですか? だって私は女官で……離婚したから子爵家の令嬢に身分は落ちましたし……それにこれは契約であって」
「それはそうだ。だが、さっきも言っただろう? 俺はお前を愛していると」
レアード様にばっと抱き寄せられたかと思うと、そっと唇が重なる。ふんわりとした花の香りがレアード様から漂い私の鼻腔の奥まで届く。
「んっ……むっ」
彼の舌が唇の割れ目をこじ開けてきて私の舌を抱き寄せるようにして絡みつくと思わず私の肩が跳ねるくらいに驚いてしまった。
こ、これが噂に聞くディープキスというやつか……!
「これでわかったか?」
素早く唇を離され、レアード様からそう告げられた私は頬の赤みを発したままはい……。と答えたのだった。
「……もし、ウィルソン様と結婚してなくて、最初から女官として就職していればどうなっていたでしょうか」
「!」
レアード様の顔が一瞬で凍てつくような厳しさと驚きが混ざり合ったかのような表情になる。
「……すまない。これ以上は」
「! わかりました、こちらこそすみません……!」
「謝らなくて良い。いつかはそう言われる事は覚悟していたが、やはりきついな……」
うん、これ以上根掘り葉掘り聞くのはよそう。何かしら事情があるのかもしれない。
それからはレアード様に王宮を案内してもらい、更に明日から始まる細やかな仕事内容についても、打ち合わせを重ねる。
「メアリー、こちらが女官長だ」
女官長は白髪をほつれ毛なくビシッとまとめた華奢な中年くらいの女性。紺色の地味なドレスを着ているがお化粧はしっかり施している。
「メアリー様、よろしくお願いします」
「はじめまして。よろしくお願いします」
「何かありましたらすぐにお申し付けください」
にこやかに笑いながらお辞儀をする女官長には、可憐さと風格の2つが織り混ざっているように見えた。
それからも王宮の人達と挨拶をしたりするとすぐに夜になった。
「メアリーお疲れ様、これで終わりだ。部屋でゆっくりすると良い」
「こちらこそありがとうございました」
「お望みなら……夜の相手をしても良いぞ?」
「ふぇっ?!」
よ、夜の相手……という事はキス以上の事もしていいって事?! でもそれはまだ心の準備が出来ていない。
「す、すみません! まだ心の準備が出来ていないので……!」
「わかった。無理強いはしない。心の準備が出来たらいつでも言ってくれ」
こうして彼と別れて部屋には1人だけとなる。
「静かでいいわ……」
中庭へと通じるドアを開ける。そこは廊下があって中庭側の方は石柱だけ。
中庭は芝生が広がり、所々大きな木々に花々、東屋などが設置されている。
「秘密の花園……あったりするのかしら」
社交界でささやかれていた噂だが、この中庭のどこかに秘密の花園と呼ばれる区画がある。そこは王家の者以外しか立ち入る事が出来ない禁足地となっているとか。
(禁足地ならむやみやたらとは立ち入らない方が良い。こうして妄想しながら遠くから眺めるのに限る)
「失礼します」
後ろの方からメイドの小さな声がした。私は部屋の扉を開ける。するとメイド2人がカートを引いて夕食を持ってきてくれていた。
「夕食になります。どうぞ」
「ありがとうございます」
机の上にどんどんと夕食が並べられていく。牛肉をメインとしたディナーなのだが、前菜からして具沢山と言うかクオリティーがフローディアス家の夕食よりも上と言うか……。一言で言うなら豪勢なディナーだ。
「お、美味しそう……」
「どうぞ召し上がってください」
「はい、ありがとうございます」
前菜は旬の野菜がふんだんに使われたサラダ。しゃきしゃきしていて新鮮なのがわかる。そしてポタージュスープに白身魚と魚を焼いたもの、そしてメインの牛肉のステーキ。丸いパンの中にはチーズが入っていて、どれも美味しい!
(これが王宮の食事かあ……すんごい美味しい! 今まで食べてきたディナーの中で一番美味しいかも……!)
「ごちそうさまでした!」
あっという間に全て平らげてしまった。ドアの前で待っていてくれたメイドが全てお皿を回収し、カートに乗せて部屋を去っていく。
(食べ過ぎたかも……でもどれも美味しいから食べ過ぎちゃうなこれ……)
天井を見上げながらお腹をさする。天井も装飾や絵画で彩られていて派手で美しい。
(今日からここが新しい居場所。新しい人生を楽しむんだ……!)
ちょっと満腹が落ち着いてきた所でシャワールームでシャワーを浴び、用意された寝間着に着替えたのだった。
そして朝。夜明けとともに目が覚めてしまった。
「ふうーー……目が覚めてしまった……」
中庭には太陽の光があふれていて、その光がこの部屋にも差し込んできている。どこか幻想的な雰囲気が感じられる。ベッドから起きた私は中庭に繋がるドアを開けて、中庭へと足を踏み入れた。さわさわとした芝生の感触が足へと伝わって来る。
(綺麗だなあ……)
「メアリー、おはよう。よく眠れたか?」
声がする方へと振り返ると、そこにはレアード様が立っていた。
「それはそうだ。だが、さっきも言っただろう? 俺はお前を愛していると」
レアード様にばっと抱き寄せられたかと思うと、そっと唇が重なる。ふんわりとした花の香りがレアード様から漂い私の鼻腔の奥まで届く。
「んっ……むっ」
彼の舌が唇の割れ目をこじ開けてきて私の舌を抱き寄せるようにして絡みつくと思わず私の肩が跳ねるくらいに驚いてしまった。
こ、これが噂に聞くディープキスというやつか……!
「これでわかったか?」
素早く唇を離され、レアード様からそう告げられた私は頬の赤みを発したままはい……。と答えたのだった。
「……もし、ウィルソン様と結婚してなくて、最初から女官として就職していればどうなっていたでしょうか」
「!」
レアード様の顔が一瞬で凍てつくような厳しさと驚きが混ざり合ったかのような表情になる。
「……すまない。これ以上は」
「! わかりました、こちらこそすみません……!」
「謝らなくて良い。いつかはそう言われる事は覚悟していたが、やはりきついな……」
うん、これ以上根掘り葉掘り聞くのはよそう。何かしら事情があるのかもしれない。
それからはレアード様に王宮を案内してもらい、更に明日から始まる細やかな仕事内容についても、打ち合わせを重ねる。
「メアリー、こちらが女官長だ」
女官長は白髪をほつれ毛なくビシッとまとめた華奢な中年くらいの女性。紺色の地味なドレスを着ているがお化粧はしっかり施している。
「メアリー様、よろしくお願いします」
「はじめまして。よろしくお願いします」
「何かありましたらすぐにお申し付けください」
にこやかに笑いながらお辞儀をする女官長には、可憐さと風格の2つが織り混ざっているように見えた。
それからも王宮の人達と挨拶をしたりするとすぐに夜になった。
「メアリーお疲れ様、これで終わりだ。部屋でゆっくりすると良い」
「こちらこそありがとうございました」
「お望みなら……夜の相手をしても良いぞ?」
「ふぇっ?!」
よ、夜の相手……という事はキス以上の事もしていいって事?! でもそれはまだ心の準備が出来ていない。
「す、すみません! まだ心の準備が出来ていないので……!」
「わかった。無理強いはしない。心の準備が出来たらいつでも言ってくれ」
こうして彼と別れて部屋には1人だけとなる。
「静かでいいわ……」
中庭へと通じるドアを開ける。そこは廊下があって中庭側の方は石柱だけ。
中庭は芝生が広がり、所々大きな木々に花々、東屋などが設置されている。
「秘密の花園……あったりするのかしら」
社交界でささやかれていた噂だが、この中庭のどこかに秘密の花園と呼ばれる区画がある。そこは王家の者以外しか立ち入る事が出来ない禁足地となっているとか。
(禁足地ならむやみやたらとは立ち入らない方が良い。こうして妄想しながら遠くから眺めるのに限る)
「失礼します」
後ろの方からメイドの小さな声がした。私は部屋の扉を開ける。するとメイド2人がカートを引いて夕食を持ってきてくれていた。
「夕食になります。どうぞ」
「ありがとうございます」
机の上にどんどんと夕食が並べられていく。牛肉をメインとしたディナーなのだが、前菜からして具沢山と言うかクオリティーがフローディアス家の夕食よりも上と言うか……。一言で言うなら豪勢なディナーだ。
「お、美味しそう……」
「どうぞ召し上がってください」
「はい、ありがとうございます」
前菜は旬の野菜がふんだんに使われたサラダ。しゃきしゃきしていて新鮮なのがわかる。そしてポタージュスープに白身魚と魚を焼いたもの、そしてメインの牛肉のステーキ。丸いパンの中にはチーズが入っていて、どれも美味しい!
(これが王宮の食事かあ……すんごい美味しい! 今まで食べてきたディナーの中で一番美味しいかも……!)
「ごちそうさまでした!」
あっという間に全て平らげてしまった。ドアの前で待っていてくれたメイドが全てお皿を回収し、カートに乗せて部屋を去っていく。
(食べ過ぎたかも……でもどれも美味しいから食べ過ぎちゃうなこれ……)
天井を見上げながらお腹をさする。天井も装飾や絵画で彩られていて派手で美しい。
(今日からここが新しい居場所。新しい人生を楽しむんだ……!)
ちょっと満腹が落ち着いてきた所でシャワールームでシャワーを浴び、用意された寝間着に着替えたのだった。
そして朝。夜明けとともに目が覚めてしまった。
「ふうーー……目が覚めてしまった……」
中庭には太陽の光があふれていて、その光がこの部屋にも差し込んできている。どこか幻想的な雰囲気が感じられる。ベッドから起きた私は中庭に繋がるドアを開けて、中庭へと足を踏み入れた。さわさわとした芝生の感触が足へと伝わって来る。
(綺麗だなあ……)
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声がする方へと振り返ると、そこにはレアード様が立っていた。
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